なまじを漢字で書くと憖じ。
なまじの意味は、「なまじっか」と同じ。
なまじ・なまじっかの意味は、「しなくてもいいことをするさま」「中途半端」「かりそめ」。
「なまじ手を出したばかりに失敗した」は、しなくてもいいことに手を出して失敗したという意味。
「なまじっかな知識をふりまわす」は、中途半端な知識をふりまわすという意味。
なまじの意味と正しい使い方・用例、語源をわかりやすく解説します。
なまじの意味と用例
「なまじ」と「なまじっか」は同じ意味の言葉です。
なまじは、一般には好ましい条件が、かえって好ましくない結果をまねくようすをあらわす言葉です。
なまじ・なまじっかの意味
① しなくてもいいことをするさま。~するためにかえって
② 中途半端。かりそめ。不徹底なさま。
③ できそうもないことを無理にするさま。
なまじ・なまじっかの正しい使い方・用例
なまじ・なまじっかは、おもに副詞として用いられます。
※副詞:名詞以外の内容語とか文の意味を、くわしくしたり、整えたりする語
なまじ・なまじっかは、本来ならプラスになることが、ゼロより悪いマイナスの事態を引き起こすことを表現する時に使う言葉です。
A なまじ親切心をだして、ひどい目にあった:ださなくてもいい親切心をだために、ひどい目にあった。
B なまじ収納がある分ものが増える:中途半端に収納があるためにかえってものが増える。
C なまじ知らない方がよいこともある:無理をして知らなくてもよいこともある。
D なまじっかお金があると騙される:中途半端にお金をもっていると騙される。
E なまじっかモテルので、トラブルがたえない:中途半端にモテルためにトラブルがたえない。
F なまじっか器用なために大成しない:中途半端に器用なために大成しない。
G なまじ変なアプローチをして嫌われる:しなくてもよい変なアプローチをしたために嫌われる。
なまじ(憖じ)の語源
なまじは、憖じいが音変化した(転じた)言葉。
憖じい(ひ)→ 憖じ → なまじっか
※憖じひは憖じいの古いかなづかい(歴史的かなづかい)です。
万葉集(奈良時代末期ころ・日本最古の歌集)に、「物思ふ人に見えじとなまじひに常の思へりありそかねつる」(物思いを人にさとられないようになまじ心を抑えて、常に物思いをしています)とあるように、憖じひは奈良時代末期には使われていた言葉です。
なまらの語源はなまじ?
北海道の方言で「とても」「すごく」を意味する、「なまら」の語源には諸説あります。
もともと「なまら」は、中途半端なようすを表す言葉だったという説が有力で、なまらの語源は、その意味をもつ言葉といわれています。
なまらの語源(諸説)
① 「生半可」が語源とする説
生半可の意味:どちらともつかず中途半端なさま。未熟。
生半可が音変化して(転じて)「なまら」になったとする説です。
生半可 → なまら
② 「なまじ」が語源とする説
なまじの意味:中途半端。かりそめ。
なまじが音変化して(転じて)「なまら」になったとする説です。
なまじ → なまら
※なぜ「中途半端」という意味の言葉が「とても」とか「すごく」という意味に変化したのか?どちらの説が正しいのか?は不明です。
まとめ
「なまじ」と「なまじっか」は同じ語源をもつ同じ意味の言葉です。
なまじ・なまじっかは、本来ならプラスになることが、ゼロより悪いマイナスの事態を引き起こすことを表現する時に使う言葉です。
なまじを漢字で書くと憖じ。
なまじの語源は憖じい(ひ)です。
意味は「中途半端」「しなくてもいいことをするさま」「できそうもないことを無理にするさま」
北海道の方言「なまら」の語源が、「なまじ」とする説もあります。
なまじ自信があるから、ミスをする。
なまじ食べると、かえって空腹感が増す。
なまじタフなふりをしても、ストレスがたまるばかり。
年をとると、なまじ要領がよくなって、努力しなくなり、あげくのはてにボケてしまいます。