おしゃれを漢字で書くと「お洒落」、だじゃれを漢字で書くと「駄洒落」、しゃらくさいを漢字でかくと「洒落臭い」、よく間違えるのが「洒落」の「洒」と「酒」の漢字です。
お洒落、駄洒落、洒落臭い、の「洒」は、氵(さんずい)に「西」、氵に「酉」と書く「酒」ではありません。
「洒」は、音読みで「サイ」・「シャ」、訓読みで「そそぐ」と読みます。
お洒落・駄洒落・洒落臭いの「洒落」の意味とは?なぜ「洒」で「酒」は間違いなのか?わかりやすく解説します。
洒落の3つの読み方とそれぞれの意味
洒落の読み方は、「しゃら」・「しゃらく」「しゃれ」、読み方によってそれぞれ意味が違います。
しゃらと読む洒落の意味
1:しゃれていること。しゃれているさま。粋(いき)
2:しゃらくさいこと。しゃらくさいさま。生意気なさま。小癪(こしゃく)。
3:遊女
1の意味で「しゃらな風情」、2の意味で「しゃらなヤツ」、というような使い方をします。
洒落臭い
2の意味を用いた言葉が「洒落臭い」。
洒落臭いは、「生意気である」「分をこえてしゃれたまねをする」という意味。
「洒落臭せぇこと言ってんじゃねぇよ」というような使い方をします。
しゃらくと読む洒落の意味
物事にこだわらず、さっぱりしていること。わだかまりがなく、あっさりしているさま。
「しゃらくな人」、「しゃらくな人柄」、というような使い方をします。
しゃれと読む洒落の意味
1:その場に「おもしろみ」をそえる、気のきいた文句。地口(舌切り雀を、着たきり雀と言ったりすること)。
2:たわむれに軽くふざけてすること。冗談ごと。
3:服装や化粧に気を配って身をかざること。華やかによそおうこと。
4:気のきいたさま。粋。
1の意味で「しゃれが通じない」、2の意味で「しゃれにならない」、3の意味で「しゃれこんで出かける」、4の意味で「しゃれた風情」、というような使い方をします。
駄洒落
1の意味を用いた言葉が「駄洒落」。
駄洒落は、「つまらないしゃれ・へたなしゃれ」という意味です。
「猫が寝こんだ」・「屋根がない、ヤーネー」・「布団がふっとんだ」みたいのが駄洒落です、ちょっと笑えますよね。
お洒落
3の意味を用いた言葉が「お洒落」。
お洒落は、「服装や化粧に気を配った装い・華やかな装い」という意味です。
「ずいぶんとお洒落してるじゃねぇか、デートか?」というような使い方をします。
洒落は「洒」、「酒」は間違いです
戯れ(ざれ)は「ざれること」で、「たわむれる」「ふざける」「しゃれる」「気がきいている」「趣がある」という意味。
ざれは古くは「され」と発音されていて、それが、やがて音変化して「しゃれ」となり、江戸時代に「しゃれ」に「洒落」という漢字が当てられました。
洒落(しゃれ)は、もともと漢語の洒落(しゃらく)で、「さっぱりとして心にわだかまりがない」「木の葉やちりなどがさっと落ちる」という意味。
発音が似ていて、なんとなく意味も似ているので「しゃれ」に「洒落」という漢字が当てられたとする説が一般的です。
「戯れ(され)」→「しゃれ」→「洒落」
「しゃれ」の当て字は、もともと漢語の「洒落」なので、しゃれの漢字に「酒」を用いるのは間違いです。
洒を用いたおもな言葉
洒洒(しゃあしゃあ)意味:あつかましくて、恥を恥とも思わないさま 「いけ洒洒」
瀟洒(しょうしゃ) 意味:上品であかぬけている 「瀟洒な装い」
洒脱(しゃだつ) 意味:俗気を脱してさっぱりとしていること 「洒脱な人」
洒落声(しゃらごえ)意味:はしゃいでわめく声 「女学生の洒落声」
洒洒落落(しゃしゃらくらく)意味:性質・言動などがさっぱりとして、こだわるところのないさま 「洒洒落落な生き方」
まとめ
よく間違えるのが、洒落の「洒」と「酒」。
洒落の語源は「戯れ(され)」で、「され」が音変化して「しゃれ」となって、しゃれに漢語の「洒落(しゃらく)」という漢字を当てた語が「洒落」です。
もともとが漢語の「洒落」なので、洒落は「洒」で「酒」は間違いです。
恥ずかしい話ですが、友人に「お洒落」の「洒」の漢字が「酒」でないと聞くまで、ずーっと「酒」だと思っていました。
勘違いではなく、なんの疑いもなく、50年ちかい間。
「洒」という漢字を知りませんでしたし、お洒落という漢字をみても、酒落と思い込んでいたので、よく字を見ることもありませんでした。
読んでくれた皆様が、こんご「洒落」を「酒落」と書いて、恥をかかれませんよう、お祈り申し上げます。