バッタもんは、関西ではパチモンとも呼ばれる、「にせもの」を意味するスラング(卑語・俗語)です。
関西で使われる「パチモン」は、大阪の方言で「盗む」を意味する「パチる」が語源で、「パチる」→「パチったもの」→「パチったもん」→「パチモン」になったとする説が一般的です。
パチモンもんに「盗品」というニュアンスがあるのは、語源が「盗む」を意味する「パチる」だから。
一方で、「バッタもん」の語源は古道具商の間で使われていた隠語の「ばった」です。
関西には「にせもの」を「パチモン」、正規なルートで仕入れていない「本物」を「バッタもん」、と区別して使っている人もいます。
バッタもんは何故「にせもの」を意味するようになったのか?英訳すると「fake」や「imitation」より「Knockoff」が何故しっくりくるのか?くわしく・わかりやすく解説します。
バッタもんの語源は「ばった」
「バッタもん」が「にせもの」という意味でつかわれようになったのは、「バッタ屋」が「にせもの」を売っていたから。
バッタもんは、古道具商の間で使われていた、隠語「ばった」に由来します。
「ばった」は、捨てるように安い値段で売ること、極端に安い値段で売ることで、そこから、極端に安く売る商人(店)を「ばった屋」「バッタ屋」と呼ぶようになります。
「バッタ屋」は、安く売るために、正規のルートを通さず、倒産寸前の問屋や店から仕入れたり、客がもちこむ素性のしれないものを仕入れたりすることありました。
「バッタ屋」は、正規のルートを通さずに仕入れた「本物」も売っていました。
関西には「にせもの」を「パチモン」、正規なルートで仕入れていない「本物」を「バッタもん」、と区別して使っている人もいます。
「バッタ屋」は、客がもちこむ素性のしれないものも売っていました。
そのなかには、「盗品」や「にせもの」も含まれていて、いつしか「バッタ屋」は「にせもの」を安く売っている商人(店)というイメージで世に浸透(しんとう)していきます。
「バッタもん」が「にせもの」という意味でつかわれようになったのは、「バッタ屋」が「にせもの」を売っていたからです。
「バッタ屋で売っているもの」→「バッタで売ってるもの」→「バッタもの」→「バッタもん」になったとする説が一般的です。
英訳するとKnockoffがしっくりくる
「にせもの」を、英語に訳すと、fakeとかimitationと英語に訳すのが一般的です。
fakeとかimitaitionは、公的な場でも使われる語です。トランプ大統領が「フェイク(fake)・ニュース」という言葉を頻繁(ひんぱん)に使っていましたよね。
一方で、Knockoffは、カジュアルな場でしか使われることのない言葉で、スラング(卑語・俗語)です。
knock~offは、「中断する」という意味のほかに、「許可なく商品をまねる」という意味もあり、そこから、Knockoffは「コピー商品」という意味でつかわれます。
This is a knockoff Gucci bag. これは、グッチのにせもの(コピー商品)のバッグだ。
knock~offには「盗む」「強盗にはいる」という意味もあり、そこから、Knockoffは「盗品」という意味でつかわれます。
This car is a knockoff. この車は「盗品」だ。
「バッタもん」にふくまれる、素性のしれないもの・いかがわしい品物というニュアンスを考えると、fake とか imitaition より、Knockoff がしっくりきます。
なにより、「バッタもん」は、公的な場で使われることのないスラングです。
まとめ
「バッタもん」は、「にせもの」を意味するスラング(卑語・俗語)です。
古道具屋なかまで使われていた隠語の「ばった」が語源です。
そこから、素性のしれない商品を捨て値で商品をうる商人を「バッタ屋」と呼ぶようになり、バッタ屋が扱う商品は「にせもの」だということが世に浸透し、にせもの=「バッタもん」となります。
「バッタもん」を英訳すると、fakeとかimitation より、スラングの Knockoff がしっくりきます。
AIがどんどん進歩して、「バッタもんの人間」と「本物の人間」の区別がつかなくなったとき、あなたは「バッタもんの人間」を使いこなす自信がありますか?