泥酔は、正体を失うほど、立てないほどに酒に酔うこと。
酩酊は、俗にいう酔っぱらうことで、陽気になったり、顔が赤くなったりする症状も含まれます。
酩酊は、「単純酩酊」と「異常酩酊」に分かれていて、泥酔は単純酩酊の第5ステージにあたります。
泥酔の「泥」は、中国の書物「異物志」にでてくる空想上の虫「泥」。
酩酊は、「酩(よう)」と「酊(よう)」、酒に酔うという意味の二つの漢字が組み合わされて出来た言葉(語)。
泥酔、酩酊、どちらも飲酒で、「酔っぱらう」ことを表現する言葉です。
泥酔とは?泥酔の血中/呼気中のアルコール濃度は?酩酊とは?酩酊のステージとは?血中アルコール濃度とは?わかりやすく解説します。
泥酔
泥酔とは、意識(いしき)がはっきりしない、立てない、わけがわからなくなるほど、ひどく酔うことで、
俗にいう「泥のように酔う」ことです。
泥酔の血中アルコール濃度の目安は、310~400㎎/dl(厚生労働省 e-ヘルスネット参照)
*一部の国語辞典などでは、200㎎/dlで泥酔としています。どちらの数値も間違いではありませんが、この記事では310~400㎎/dlを泥酔とします。
呼気中アルコール濃度に換算すると(血中1ml中に含まれるアルコール量は呼気約2000ml(2l)に含まれるアルコール量とほぼ等しい)
血中アルコール濃度 310mg/dl=3.1mg/mlは、呼気中アルコール濃度に換算すると1.55㎎/l
*血中アルコール濃度については後章でくわしく解説します
泥酔の語源
泥酔の語源には諸説ありますが
中国の書物「異物志」にでてくる空想上の虫「泥」が、語源という説が定説になっています。
泥酔の「泥」は、中国の書物「異物志」にでてくる空想上の虫で、南海に住み、水がなくなると泥土(でいど)のようになり正体を失ってしまう。
この虫「泥」の変貌(へんぼう)する様子に例えて、「泥」のように「酔う」こと”酔って正体を失くすこと”を「泥酔」としたという説。
この説のほかには
「土の泥」が語源とする説があります。
酔っぱらった人がグニャグニャして「泥」のようにとらえどころがないところから、「泥」のように「酔う」ことを「泥酔」としたという説。
酩酊
酩酊とは、飲酒によって、精神的・身体的にいろいろな症状を起こすことで、
俗にいう酔っぱらうことです。
酩酊は「単純酩酊」と「異常酩酊」に分かれていて、「異常酩酊」は「複雑酩酊」と「病的酩酊」に分かれます。
泥酔は「単純酩酊」の第5ステージにあたります。
(厚生労働省 e-ヘルスネット参考)
単純酩酊
単純酩酊は、飲酒量によって生じる普通の酩酊のことで、血中アルコール濃度に応じて以下のステージにわけれます。
1・爽快期(そうかいき)
血中アルコール濃度目安:20~40㎎/dl(0.02~0.04%)
症状:陽気になる・顔とか皮膚が赤くなる
2・ほろ酔い期
血中アルコール濃度目安:50~100㎎/dl(0.05~0.1%)
症状:気分がよくなる・口数が多くなる・手足の動きが活発になる
3・酩酊初期(めいていしょき)
血中アルコール濃度目安:110~150㎎/dl(0.11~0.15%)
症状:気が大きくなる・声が大きくなる・ふらつく
4・酩酊極期(めいていごくき)
血中アルコール濃度目安:160~300㎎/dl(0.16~0.3%)
症状:なんども同じことを言う・ろれつが怪しくなる・ちどりあし
5・泥酔(でいすい)
血中アルコール濃度目安:310~400㎎/dl(0.31~0.4%)
症状:意識がはっきりしない・わけのわからないことを言う・立てない
6・昏睡期(こんすいき)
血中アルコール濃度目安:410㎎/dl以上(0.41%以上)
症状:おこしても起きない・呼吸抑制(よくせい)から死に至ることもある
異常酩酊
「異常酩酊」は「複雑酩酊」と「病的酩酊」に分かれます。
複雑酩酊
複雑酩酊は、俗にいう「酒癖がわるい」・「酒乱」と呼ばれるものです。
飲酒によって起きる興奮(こうふん)が、きわだって目立ち、その強さと持続性が単純酩酊と量的に異なるものをいいます。
病的酩酊
本当に病的酩酊が存在するのか?専門家の間でも議論があります。
複雑酩酊と異なり、飲酒量に関係なく、強い酩酊になることもあるとされています。
普通では考えられないような異常な行動をとってしまうことが特徴で、
強い意識障害を伴う「もうろう型病的酩酊」と、アルコール離脱症状のひとつとして起こる「せん妄型病的酩酊」に分けられます。
血中アルコール濃度とは
飲酒して消化器官から吸収されたアルコールの血液中の濃度を、血中アルコール濃度といいます。
アルコールは、胃で25%、残りの大部分は小腸で吸収され、吸収されるとほほ全量が血液中に入ります。
胃ではアルコールの吸収速度が遅く、小腸ではアルコールの吸収速度が速く、胃に食物があると吸収は遅くなります。
なにかを食べながら飲むと、「酔わない」は間違いで、「酔うのが遅くなる」だけです。
次の数式で、おおよその血液中のアルコール濃度を求めることができるとされているので、
身体の大きい人(太っている人)は、「お酒に強い」というのは、ほぼ正解です。
血中アルコール濃度(%)=飲酒量(ml)×アルコール度数(%)÷( 833×体重(㎏))
ただし、体質などによって個人差があるので、全くの正解とはいえません。
上記の式を用いると、20歳以上の日本人平均体重は、男性 67.3㎏ 女性 53.5㎏(政府統計ポータルサイトe-Stat参考)なので、
ビール(アルコール度数5%)だと、日本人の男性は、約550mlでほろ酔い、約3.4lで泥酔、日本人の女性は約440mlでほろ酔い、約2.7lで泥酔、
ワイン(アルコール度数13%)だと、日本人の男性は、約210mlでほろ酔い、約1.3lで泥酔、日本人の女性は約170mlでほろ酔い、約1.0lで泥酔します。
*あくまで目安です。
飲酒運転の罰則となるアルコール濃度
低濃度のアルコールで運転操作等に影響を及ぼすことは各種調査研究で明らかになっています。
飲酒したら絶対に運転してはいけません。
酒気帯び運転
1・呼気中アルコール濃度 0.15㎎/l 以上0.25mg/l未満で免停90日間(13点)
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
*血中1ml中に含まれるアルコール量は呼気約2000ml(2l)に含まれるアルコール量とほぼ等しいので、
呼気中アルコール濃度0.15㎎/lは、血中アルコール濃度に換算すると0.3㎎/ml=0.03%
2・呼気中アルコール濃度 0.25㎎/l 以上で免許取り消し(25点) 欠格期間2年
3年以上の懲役又は50万円以下の罰金
*呼気中アルコール濃度0.25㎎/lは、血中アルコール濃度に換算すると0.5㎎/ml=0.05%
酒酔い運転
アルコールの影響で正常な運転ができない状態
免許取り消し 欠格期間3年(35点)5年以上の懲役又は100以下の罰金
泥酔は、間違いなく『酒酔い運転』に相当します。
罰則を受ける飲酒量
酒気帯び運転で罰則をうけるお酒の量(目安)を
血中アルコール濃度(%)=飲酒量(ml)×アルコール度数(%)÷( 833×体重(㎏))
という計算式を用いて算出すると
(酒気帯び運転:血中アルコール濃度0.03%、日本人20歳以上の平均体重:男性67.3kg、女性53.5kg)
ビール(アルコール濃度5%)だと、男性は約330ml、女性は約260ml
ワイン(アルコール度数13%)だと、男性は約120ml、女性は約100ml
甘酒(アルコール度数1%)だと、男性は約1600ml、女性は約1300mlml
という計算結果を得ることはできますが、
低濃度のアルコールで運転操作等に影響を及ぼすことは各種調査研究で明らかになっています。
1滴でも飲酒したら絶対に運転してはいけません。
まとめ
泥酔も酩酊も、飲酒して「酔う」ということを表現した言葉です。
泥酔は、俗にいう「泥のように酔う」こと。
酩酊は、俗にいう「酔っぱらう」こと。
泥酔は、酩酊のうち「単純酩酊」の第5ステージに相当します。
飲酒をして車両を運転すると、罰則・行政処分を受けます。
呼気中アルコール濃度0.15㎎/l以上(血中アルコール濃度0.03%以上)という基準はありますが、
1滴でも飲酒したら運転してはいけません。
人は歴史が始まる前から、お酒を愛してきました。(人はなぜ酒を飲むのか)
上手にお酒と付き合って、楽しみたいですね。