お門違い・門違い、どちらも同じ意味をもつ言葉ですが、お門違いは「見当ちがい」という意味でよく使われ、門違いは「まちがえて違う家へ行ってしまうこと」という意味で稀に使われます。
お門違い・門違い、どちらも、もともと「めざす家が違う。間違えて違う家に行ってしまこと」という意味で使われていた言葉です。
「門(かど)たがい」から「門違い(かどちがい)」へ音変化し、今では、「お門違い」という言葉が多く使われるようになりました。
お門違い・門違いの意味
1・訪問すべき家をまちがえること。めざす家が違うこと。まちがえてほかの家へ行ってしまうこと。
2・目当てをまちがえること。見当ちがい。
現在は、「お門違い」という言葉はよく使われますが、「門違い」という言葉はほとんど使われません。
お門違い、門違いの「門(かど)」の意味には、「家・一族・一門」という意味があります。「門違い」とは「門が違う」ということで、もともとは「家が違う。家をまちがえる」という意味で使われていました。
もともとの意味「めざす家が違う」が転じて「目当てがちがう」「見当ちがい」という意味でも使われるようになりました。
お門違いの「お」は「お手紙」「お花」の「お」と同じ意味、御(おん)が音変化した語です。
「御」は「門」などの名詞に付いて、尊敬の意をあらわします。
現在は、「見当ちがい」という意味で「お門違い」という言葉がよく使われます。「めざす家がちがう。まちがえてほかの家へ行ってしまうこと」という意味で「門違い」が使われることが稀(まれ)にありますが、ほぼ死語です。
お門違い・門違いの語源
「お門違い」「門違い」の語源は、「門(かど)たがい」と考えられます。
室町時代(1465年年ころ)の謡曲(ようきょく)檀風(だんぷう)に、「某は総じて子を持たぬものにて候。定めて門たがひにて候べし」とあります。
現在も「門たがい(かどたがい)」という言葉は辞書に載っていますが、日常会話でも文章でも使われることは、ほとんどありません。門たがいの意味は、「目指す家を間違えること」で、「門違い」と同じ意味です。
門たがいの「たがい」が音変化して「ちがい」になり、『門違い』になりました。
なぜ「御(お)」が付いたかは、定かでありませんが、「見当ちがい」の行動をする人や「見当ちがい」のことを言う人を皮肉って、尊敬の意をあらわす「御」を付けたと思われます。
お門違い・門違いの正しい使い方(用例)
お門違いは、ほとんどの場合「見当ちがい」という意味で使われます。
1・御利益を無視して、お門違いなお願いをする。
2・彼を責めるのは、お門違いです。
3・お門違いのクレームには対応できません。
4・○国側の主張は、まったくのお門違いだと思っています。
5・私から申し上げるのもお門違いですが、
門違いは、今ではほとんど使われませんが、稀に「めざす家が違う」という意味で使われます。
1・「うちじゃないよ、門違いです」
まとめ
現在、お門違いは「見当ちがい」という意味で使われることが多く、門違いは「めざす家が違う」という意味で稀に使われます。
室町時代には、「門たがい」という言葉がすでに存在していて、「門たがい」が音変化して「門違い」になり、今では、「お門違い」がよく使われるようになりました。
中年の私が言うのもお門違いですが、高速道路を逆走したり、歩行者やコンビニとか病院に突っ込む老人の言い訳こそ「お門違い」です。
「逆走?分からなかった」「気づいたら事故を起こしていた」「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」、こんなお門違いの言い訳をする人が、どうして認知機能検査で問題なしになるのか?
運転に対して自信があると答えた人の比率は、64歳まで減っていき、65歳から増え始め、80歳以上では72.0%に達しています(MS&AD基礎研究所 調べ)。
お門違いの認知機能検査と高齢者講習で、高齢者による犠牲者がこれ以上増えないことを祈るばかりです。