ビッグマウス(big mouth)の訳「金棒引き」とは?その意味は「大口を叩く」ではないの?

ビッグマウス 言葉

ビッグマウス(big mouth)をそのまま和訳すると「大きな口」には違いないでしょうから、「大口を叩く」という意味で捉えている人がかなり多いですよね。

ところが、グーグルでbig mouthを和訳させてみると「金棒引き」(かなぼうひき)というあまり見慣れない・耳慣れない言葉が出てきます。

「金棒引き」とは、金棒を突き鳴らしながら警固・夜警する人のことなのだそうですが、現在ではお祭りなどのイベントで見ることができるくらいでしょうか。どのような人なのかはこちらで確認してみてください→金棒引きの画像

鉄の棒、金棒を突き鳴らすのですからそれなりのやかましい音を鳴らしながらそこら界隈を歩き回る様から、それが転じて『ささいなことを大げさに触れ回る人』『隣近所の噂話を話して歩き回る人』のことを金棒引きと言うようになったのですね。

金棒引きは言ってみれば、有る事無い事を近所で言いふらして歩くおしゃべりなオバちゃん的イメージでしょうか。

この金棒引きがビッグマウスの意味となると、私達がビッグマウスの意味として抱いている「でかい口を叩く」「大ボラ吹き」「大風呂敷を広げる」「大言壮語する」などは、ちょっとニュアンスが違うことになります。

実際に様々なブログでも指摘されている通り、ネイティブはbig mouthを「秘密が守れない」「口が軽い」という意味で使っているようです。

しかし、そもそもビッグマウスの意味が大口を叩くとして日本人に定着?しているのはなぜなのでしょうか?

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元祖「ビッグマウス」といえば、あの人!

ある程度の年齢の方ならば元世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリをご存知でしょう。

重量級のボクサーとは思えない、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と形容された華麗なフットワークとパンチでチャンピオンの座に君臨したモハメド・アリは、強烈な”口撃”パフォーマンスでもその名を轟かせました。

ビッグマウスという言葉はモハメド・アリと共に日本に持ち込まれた、、、のではないでしょうか。

~蝶のように舞い、蜂のように刺す。俺の姿は見えない。見えない相手を打てるわけがないだろう~
~不可能とは、臆病者が使う大げさな言葉に過ぎない。~
~観客は俺の対戦相手が空の果てまで飛ばされる姿を見るとはまさか思わない~

などの派手な言動からモハメド・アリは「ホラ吹きクレイ」、「ルイビルの大口野郎」と呼ばれました。

「ホラ吹きクレイ」のクレイとはアリの旧名(カシアス・クレイ)ですが、試合前にわざと旧名で呼んで挑発した対戦相手(アーニー・テレル)への報復のために終始圧倒的して判定まで試合を引き延ばし”俺の名前を言ってみろ!!”と叫び続けたことも。試合後に「やつは早く楽になりたかったろうな。奴隷の名前で俺を呼んだ罰だ」と言ったエピソードも。

大口叩きでおしゃべり

ホラ吹き、大口野郎のニックネームが与えられていたのですから、ビッグマウスは大口叩きの意味で使われていたのではないかとも思われるのですが、モハメド・アリの喋りは現在のラップの原型だとされる説があるように抜群に上手く、そして次から次へと言葉が繰り出されるので

「口を閉じてくれないか?」

「そんなのできっこない。できない、俺は最も偉大なボクサーなんだ。」

のインタビューのやり取りがあるように、アリは相当な「おしゃべり」だったのは間違いありません。

大口を叩き、かつ、おしゃべりなモハメド・アリが、もしも寡黙で言葉少なく、ぼそっとデカイことを言うような人であったなら、、、はたしてビッグマウスと呼ばれたのでしょうか?

ロックバンドoasisの曲「My Big Mouth」からビッグマウスを考察してみる

一世を風靡したイギリスのロックバンドoasis(オアシス)の3枚目のアルバム「Be Here Now(ビィ・ヒア・ナウ)」の2曲目に収録されていたのが「My Big Mouth(マイ・ビッグ・マウス)」という曲。

敢えて直訳してみれば「俺のデカイ口」となりますが、ハードでアップテンポで重厚、まさに「何かデカイことを言ってるな」と感じさせる曲調です。

So guess who’s gonna take the blame
For my big mouth, my big name
I’ll put on my shoes while they’re walking slowly down the hall of fame?
Into my big mouth you could fly a plane
I’ll put on my shoes while they’re walking slowly down the hall of fame?
Slowly down the hall of fame

教科書英語すら満足に出来ないので(笑)、隠語や方言や皮肉の混じるイギリスのロックバンドの歌詞を理解するのは不可能なので、和訳しているブログなどを見て回ると、それぞれ微妙にニュアンスが違っていて難しいのですが、おおよそこのようなことを歌っているようです。

~~~
で、誰が責任取るの?
俺のビッグマウス、俺の名声
彼らの間をゆっくりと栄誉の殿堂へ歩いていくのは俺じゃね?
俺のビッグマウスの中ならお前は飛行機も飛ばせるぜ
栄誉の殿堂へ歩いていくのは俺じゃね?
~~~~~

とにかくよく分からないまでも、何やらデカイことを言っているのは確かなようですね。

For my big mouth, my big name と、ビッグマウスとビッグネームを並べていることから、この曲でのbig mouthは俺は凄いぜ的「大口叩き野郎」のニュアンスが強く感じられます。

ただし、決して寡黙な感じはしませんよね。そんなことから考えると、ビッグマウスなやつは大風呂敷を広げると同時に、おしゃべりであることも必須条件なのかもしれません。

まとめ

ネットの様々なサイトから考察するとbig mouthを「おしゃべり」「口が軽い」という意味でネイティブスピーカーは使っているようです。

一方でビッグマウスの代名詞的な存在だった世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリは、大口叩きという意味でビッグマウスと呼ばれていたようです。

ただし、同時に彼は現在のラップ調のおしゃべりでもありました。

ということで、もし3日に一言しゃべるかどうかの高倉健のような人が「俺は天下を獲る」と言ったとしてもビッグマウスとは言われないのではなかろうか、、、と思うのです。

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