押さえると抑えるの意味の違いと使い方の違いをやさしく解説します

おさえる 言葉

「おさえる」と辞書で引くと、「おさ・える【押(さ)える・抑える】」と同じ項目に「押さえる」と「抑える」があり、どんな場合にどちらの「おさえる」を用いても良いように思いがちですが、新聞などを読んでいても両者の使い方には明確な差があります。

押さえるは、「力を加えておさえる」・「把握する」・「確保する」ときに用います。

抑えるは、「動作や感情、現象の実現をおさえる、こらえる」・「抑制する」ときに用います。

ポイント(要点)や証拠は押さえるを用います。。「話のポイントを押さえる」、「犯行の証拠を押さえる」。

喜びや得点は抑えるを用います。「うれしさを抑え切れない」、「相手の攻撃を0点に抑える」。

「押さえる」と「抑える」の意味の違いと、使い方の違いを、くわしく、やさしく解説します。

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押さえると抑えるの意味の違い

押さえるには、「手」や「身体」を使ったり、なんらかの方法を使って、動いたり、逃げたり、増えたり、するのを防ぐ・くいとめるという意味と、大切なことをしっかりと脳裏にとどめたり、大切なモノを手に入れたり確保するという意味があります。

抑えるには、勢いをくいとめる、精神的・生理的な機能でなにかを妨ぐ、言葉や感情・欲望や欲求をおさえつけるという意味があります。

押えるは、物理的に制御するという意味合いが強い語で、抑えるは、精神的・生理的に制御するという意味合いが強い語です。

押さえるの使い方(用例)

「押さえる」は具体的な物について用いることが多く、物理的に制御するという意味合いが強い語です。

動かないように圧力を加える。押しつける。という意味での使い方

a・動けないように手足を押さえる。

b・文鎮で紙を押さえる。

c・スカートを押さえる。

押すようにしておおう。押しあてる。という意味での使い方

a・目頭(めがしら)を押さえる。

b・傷口をタオルで押さえる。

c・やかましいので耳を押さえる。

動いたり出たりしないように押しとどめる。くいとめる。という意味での使い方

a・上司に頭を押さえられる。

b・暴動を押さえる。

c・犯行の証拠を押さえる。

大切なところをしっかりつかまえる。把握する。という意味での使い方

a・話のポイント(要点)を押さえる。

b・相手の弱点を押さえる。

c・犯行の現場を押さえる。

勝手に手をつけさせないように、それを手中におさめる。確保する。という意味での使い方

a・講演会の会場を押さえる。

b・コンサートのチケットを押さえる。

c・担保物権を押さえる。

抑えるの使い方(用例)

「抑える」は、抽象的なことについて用いることが多く、精神的・生理的に制御するという意味合いが強い語です。

勢いを増そうとするものを封じ込める。という意味での使い方

a・デフレを抑える。

b・ベテランを抑える。

c・強打者を抑える。

ある限度を超えないようにする。という意味での使い方

a・月々の出費を抑える。

b・被害を最小限に抑える。

c・相手の攻撃を0点に抑える。

d・甘みを抑える。

e・価格を抑える。

感情や欲望が高ぶるのをこらえる。抑制する。という意味での使い方

a・うれしさを抑えきれない。

b・怒りを抑える。

c・やきもちを抑える。

まとめ

「押さえる」は具体的な物について用いることが多く、物理的に制御するという意味合いが強い。

「抑える」は抽象的なことについて用いることが多く、精神的・生理的に制御するという意味合いが強い。

手足・目・耳・鼻・口・暴動・チケット・会場のような具体的な物や要点・弱点などには「押さえる」を用い、感情・欲望・味のような抽象的なことには「抑える」を用います。

よく間違えるのは、「ポイント(要点)をおさえる」、野球で投手が「打者をおさえる」。

「押さえる」には、大切なところをしっかりとつかむ(把握する)という意味があるので、正しくは「ポイントを押さえる」。

「抑える」には、勢いを増そうとするものを封じこめるという意味があるので、正しくは「打者を抑える」。

ちなみに、買い物をしたときに還元されるポイントには、「抑える」を用います。

「還元するポイントを抑えて、値引きを多くします」というような使い方をします。

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