コンクラーベは「根比べ」の語源ではありません~根比べの正しい語源と意味・英語訳

コンクラーベ・根比べ 言葉

コンクラーベ【conclave ラテン語】は、「新しいローマ教皇を選ぶ会議」のこと、一方、根比べ(こんくらべ)は日本語で、「根気のよさを比べあうこと」です。

根比べの語源には、conclaveの日本語的な発音(コンクラーベ)が根比べ(こんくらべ)の発音に似ていて、コンクラーベは根気のいる会議であるということに由来するという説がありますが、「根比べ」と「コンクラーベ」は全く関係がありません。

「根比べ」の語源は、仏語(仏教に関する語)の「根(こん)」に由来します。

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根比べ・根競べの語源と意味

「こんくらべ」を漢字で書くと、「根比べ」または「根競べ」です。ほとんどの辞書には「根比べ」と「根競べ」の両方の表記が載っていますが、広辞苑では「根競べ」だけが載っています。

根比べも根競べも語源・意味は同じです。

コンクラーベは「根比べ」の語源ではありません。「コンクラーベ」と「根比べ」は全く関係ありません。

「根比べ」の「根(こん)」は、仏語(仏教に関する語)です。

根(こん)とは、ある働きを生じさせる能力のことです。

感覚を起こさせる「眼」・「耳」・「鼻」・「舌」・「身」の器官《五根》に思惟を起こさせる「意」を加えて《六根》といいます。

また、「根(こん)」は、悟りに向かう衆生(しゅじょう)がもつ機根(仏教にふれて活動しはじめる能力や精神的な素質)を意味します。

「根比べ」の「根(こん)」は、もともと仏語の「根」の意味が転じて、「忍耐力」・「気力」・「根気」・「精力」という意味をもった日本語です。

「忍耐力」・「気力」・「根気」を「比べあう、競う」行為を表現する言葉として「根比べ」・「根競べ」は生まれました。

根比べの意味

根気のよさをくらべあうこと。

忍耐力や根気の強さをくらべ競うこと。

根と書いて「こん」と読む慣用句には「根(こん)を詰(つ)める」があります。

「根を詰める」の「根」は「気力」・「根気」・「精力」を意味し、「根比べ」同様に仏語の「根」に由来する語です。

根を詰めるの意味

精神・肉体の疲労に耐えつつ一つの物事を行う。

休む間も惜しむほど、全力を集中して一つのことをし続ける。

コンクラーベは、枢機卿(すうききょう)が「根を詰めて」新しいローマ教皇を選ぶ会議で、枢機卿が「根比べ」をする会議ではありません。

根比べの英語訳

根比べ : a waiting game

根比べをする : to play the waiting game ; to see which can hold out longer

英語の例文

さあ、根比べをしよう :Let’s see who can hould out the longest.

ちなみに

英語で「根比べ」の「根」の意味する「忍耐力」「根気」を直訳すると、「perseverance」、「比べる・競う」を直訳すると「compete」

ラテン語で「根比べ」の「根」の意味する「忍耐力」「根気」を直訳すると「patientia」、「比べる・競う」は「cum certatim」です 。

コンクラーベとは

コンクラーベ【conclave ラテン語】とは、ローマ・カトリック教会において、ローマ教皇を選出するための会議です。

コンクラーベの語源は、ラテン語で「鍵がかけられた」を意味するクム・クラービス【cum clavis】です。

クレメンス4世が1268年に死去したのち、教皇選挙が紛糾し2年以上教皇の座は空位となります。この事態を収拾(しゅうしゅう)するため選挙人を宮殿に閉じ込めて外部の干渉を防ぐことで、ようやくグレゴリウス10世(在位1271~76年)が選出されます。

このとき、初めてコンクラーベという用語が教会で使われたと言われています。

コンクラーベは、元来、選挙の期間中干渉を防ぐために枢機卿がとじこもる囲いという意味をもちます。

グレゴリウス10世は、教皇選出のために、枢機卿が非公開に集結して選挙を行うための厳格な規定を導入します。コンクラーベの全手順は、1904年12月25日、ピウス10世(在位1903~14年)が発布した憲章により成文化されます。

その後、コンクラーベは改定され、投票権をもつ枢機卿は80才未満、人数は上限120人となり、枢機卿の一人が全投票の3分の2を1票以上上回る票を得るまで、何度でも投票が繰り返されるようになります。

まとめ

コンクラーベが行われると、「コンクラーベ」と「根比べ」の関係性が話題なります。

コンクラーベが長引けば、長引くほど、「コンクラーベ」が「根比べ」っぽく思えるけれど、「コンクラーベ」と「根比べ」は、全く関係ありません。

コンクラーベはローマ教皇を選出するための会議で、枢機卿は「根比べ」をしているのではなく、枢機卿は「根を詰めて」新しいローマ教皇を選んでいます。

「根比べ」「根を詰める」の「根(こん)」は、仏語(仏教に関する語)に由来する日本語です。「根比べ」は、「根」の意味する「忍耐力」「気力」「根気」を比べる・競う行為を表現する言葉として生まれました。

日本に正式に仏教が伝えられたのは6世紀、キリスト教が日本に伝えられたのは16世紀、コンクラーベの全手順が成文化されたのは20世紀、「コンクラーベ」が「根比べ」の語源とする説は、間違っています。

ちなみに、日本語の「根比べ」が「コンクラーベ」の語源とする説は、根拠のない全くのデタラメです。

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