がんと癌の使い方の違いと「がん」の語源

がん・癌 言葉

ひらがなの「がん」は、「がん」と呼ばれる性質の異なる病気の総称で、

漢字の「癌」は、「がん」の内の一部の病気に使われます。

絶対に使い分けなければいけないことはありませんが、「がん」と「癌」は使い分けるのが一般的です。

ニュースなどで見たり聞いたりする「悪性腫瘍(あくせいしゅよう)」「悪性新生物(あくせいしんせいぶつ)」は、ひらがなの「がん」のことです。

「がん」と呼ばれる病気には、

1・上皮細胞からできる「がん」

2・非上皮細胞からできる「がん」

3・造血器からできる「がん」

があります。

上皮細胞からできる「がん」は、外部とつながっている細胞からできる「がん」のことで、皮膚はもちろん、口から肛門までの間にある細胞、肺の細胞からできる「がん」なども含まれます。

この「がん」以外に、漢字の「癌」は使いません。

このがんは、漢字で表記してもひらがなで表記しても間違いではありません。なぜなら、ひらがなの「がん」は、「がん」と呼ばれる性質の異なる病気の総称だからです。

乳癌(がん)・胃癌・膀胱癌・直腸癌・肺癌などが、上皮細胞からできる「がん」です。

非上皮細胞からできる「がん」は、外部とつながっていない細胞からできる「がん」で、骨・筋肉などの細胞からできる「がん」をいいます。

このがんの病名は「がん」ではなく、「肉腫」といいます。

骨肉腫・軟骨肉腫・脂肪肉腫・平滑筋肉腫などが、非上皮細胞からできる「がん」です。

造血器からできる「がん」は、骨髄やリンパ節などから発生する「がん」です。

このがんの病名は「がん」ではありません。

白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫などが、造血器からできる「がん」です。

Youtube 山本健人『がんと癌の違い』・ 国立がん研究センター 希少がんセンター 『さまざまな希少がんの解説』参考

がんと癌の使い方の具体的な例、日本と海外のがんの語源を解説します。

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がんと癌の使い方

「がん」には、ひらがな表記の「がん」と漢字表記の「癌」があります。

カタカナ表記の「ガン」は使いません(医学用語としてカタカナのガンは正確ではないといわれています)。

がんと癌は使い分けるのが一般的です。

がんと癌の、使い方の具体的な例をあげます。

がんを使う言葉

ひらがなの「がん」は、「がん」と呼ばれる性質の異なる病気の総称です。

「がん」と呼ばれる200種類以上の病気の総称として、ひらがなの「がん」は使われます。

「がん」と呼ばれる病気の総称として、漢字の「癌」は使いません。

がん保険

がん検診

国立がん研究センター

がん対策基本法

がん年齢調整死亡率

希少がん

口腔がん

皮膚がん

など

癌を使う言葉

ひらがなの「がん」は、「がん」と呼ばれる性質の異なる病気の総称です。

「がん」の内の一部の病気(上皮細胞からできる「がん」)を「癌」と漢字で表記することがあります。

「癌」は、「がん」と表記しても「癌(がん)」と表記しても間違いではありません。

「がん」と呼ばれる病気の総称として、漢字の「癌」は使いません。

日本胃癌学会

大腸癌研究会

舌癌(舌がん)

食道癌(食道がん)

胃癌(胃がん)

大腸癌(大腸がん)

乳癌(乳がん)

肺癌(肺がん)

など

がんの語源

がんは、英語で「Cancer」または「Carcinoma」、ドイツ語で「Krebs」、日本語で「がん」といいます。

「Cancer」「Carcinoma」「Krebs」の語源

英語の「Cancer」・「Carcinoma」、ドイツ語の「Krebs」は、蟹(かに)の意味をもつギリシャ語が語源です。

紀元前400年ころに、ギリシャの医師ヒポクラテスが「乳がん」を見つけたことに由来します。

乳房に広がるがんが、蟹が足を広げたように見えることから、ギリシャ語で蟹を意味するκαρκίνος(カルキノス)と名付けという説と、

乳房に広がるがんによって、皮膚が蟹の甲羅(こうら)のように見えることからκαρκίνος(カルキノス)と名付けという説があります。

いずれにしても、ヒポクラテスは、乳がんを「カルキノス:蟹」と名付けました。

英語の「Cancer」・「Carcinoma」、ドイツ語の「Krebs」は、どちらも蟹を意味するギリシャ語のカルキノスが語源の語です。

英語の「Cancer」・「Carcinoma」、ドイツ語の「Krebs」には、がんのほかに蟹という意味があります。

*乳がんは史上初めてヒポクラテスによって発見された「がん」といわれています。

がんの語源

日本語の「がん」の語源には二つの有力な説があります。

一つは、英語・ドイツ語と同様に「蟹」を語源とする説。

がんという病名に、蟹を意味する語が、あてられていたことから、

「かに」→「ガニ」→「ガン」と音変化し、「がん」という病名が生まれたとする説です。

もう一つは、「岩」が語源とする説。

江戸時代の医学書に「乳岩」という病名があります。

乳がんは触ると固いしこりがあり、固いしこりを岩にたとえて、「乳岩」とし、

岩の音読み「ガン」から、乳岩は「にゅうがん」と呼ばれていたとする説です。

まとめ

ひらがなの「がん」と漢字の「がん」は使い分けるのが一般的です。

ひらがなの「がん」は、200種類以上ある「がん」と呼ばれる性質の異なる病気の総称で、

漢字の「癌」は、上皮細胞からできる「がん」に限って使われます。

上皮細胞からできる「がん」以外の「がん」には、○○癌(がん)ではなく、○○肉腫とか○○腫・○○腫瘍・○○病という病名がついています。

なので、がん保険・がん対策基本法のようにあらゆる「がん」と呼ばれる病気に対応するものには、ひらがなの「がん」が使われています。

がんは、紀元前400年ころには発見されていた、古くからある病気です。

もっともっと医学が進歩して、がんによる死亡率0%となる時代が、早くきてほしいものですね。

40代から80代までの死因の第1位は悪性新生物(がん)です。 厚生労働省ホームページ 参照 

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