邦人の意味は、自国の人、わが国の人、とくに外国にいる日本人。
邦人には、「われわれと同じ日本で生まれた人」という意味が含まれます。
日本人の意味は、日本の国籍をもつ人、日本国民。
新聞・テレビなどの報道機関では、使い分けの基準はなく、「邦人」と「日本人」は同じ意味の言葉とし、「邦人=在留邦人」という意味ではないとしています。
明確な基準はないけど、邦人と日本人は、ある意図もって、使い分けされています。
邦人・日本人の使い方の違いと、在留邦人・在外邦人の意味と違いを、わかりやすく解説します。
邦人と日本人の使い方の違い
邦人の「邦」の意味は、わが国、自国、日本の。
自国とは「自分の国。自分の生まれた国」
邦人には、「われわれと同じ日本で生まれた人」という意味が含まれます。
新聞やテレビなどの報道でも、日本の国籍をもっている元外国人に対しては「邦人」を使わないようです。
テレビやラジオなど、「音声」で情報を発信するメディアでは、「邦人」と「法人」の誤解が生じないように、できるだけ「日本人」を使っています。
備考)新聞や書籍で「邦人」が使われているのは、文字数を少なくするためで、おおきな意味はありません。新聞などの活字を媒体とするメディアでも、できるだけ「日本人」を使うようにしているようです。
日本にいる日本人は「日本人」
日本で暮らしている日本人に、「邦人」は使いません。
外務省が1968年(昭和43年)から行っている「海外在留邦人数調査」という名目の実態調査の、「海外在留邦人」がいつのまにか省略されて、「海外在留邦人」=「邦人」として認知されるようになったといわれています。
いまでも、邦人は「外国にいる日本人」に用いて、「日本にいる日本人」には用いません。
日本にいる日本人には「日本人」を用います。
複数の国の人が含まれる場合は日本人
日本国内、海外にかかわらず、複数の国のひとが、事件・事故などに巻きこまれた場合は、日本人を使い邦人は使いません。
「日本人○○人を含む、○○○人が負傷した」
「日本人○人、アメリカ人○人、ドイツ人○人が避難した」
邦人を使う時は「在留邦人」「在外邦人」
邦人は、ほとんどの場合、在外邦人・在留邦人などの熟語で使われます。
熟語で使われない場合は、「ニューヨークの邦人」のように、海外の地名を邦人の前にそえて使います。
「外務省は11日、海外在留邦人数を発表した」
「現地邦人の帰国を支援する」
「在外邦人を対象にインターネット投票を導入か?」
在留邦人・在外邦人などの熟語は使うけど、在留日本人・在外日本人などの熟語はめったに使われません。
活字を媒体にするメディアでは、文字数に制限があるので、「なるべく日本人を使う」としていても、「邦人」を使う場合が多くあります。
在留邦人・在外邦人の意味と違い
在留邦人(海外在留邦人)とは、3か月以上海外に居住している日本国民です。
在留邦人には、海外永住者と、日本国籍を有する「重国籍者」が含まれます。
在外邦人とは、在留邦人と海外渡航者をあわせた呼び名です。
在外邦人とは、滞在時間に関係なく、そのとき海外にいる(いた)人です。
「在留邦人の帰国を支援」= 3か月以上そこ(海外)で生活している邦人の帰国を支援
「在外邦人の帰国を支援」= そのとき、そこ(海外)にいる邦人の帰国を支援
まとめ
新聞やテレビなどのメディアでは、邦人と日本人の使い分けに明確な基準はなく、できるだけ「日本人」を使うということになっているようです。
邦人と日本人は同じ意味の言葉ですが、邦人には「われわれと同じ日本で生まれた人」という意味が含まれます。
海外で生まれ育った人が、海外で生活している日本国民と結婚し、日本の国籍を有した場合、邦人と呼ぶべきか?日本人と呼ぶべきか?
海外で生まれ育った人が、日本で長く生活し、日本国籍を有した場合、邦人と呼ぶべきか?日本人と呼ぶべきか?
どちらも日本国民で間違いないけど、邦人・日本人と呼ぶには違和感を感じます。