オリンピズムとは、平和な社会を目指すこと

話題

オリンピズムは、フランスの教育者、ピエール・ド・クーベルタン男爵(だんしゃく)が主張した

「スポーツを通して、心と身体をきたえ、世界中のいろいろな国の人と交流をして、平和な社会をつくっていこう」という考え方のこと。

オリンピックは、オリンピズムという考え方(理念)にもとずいた、世界的なスポーツの祭典です。

オリンピズムの普及と、さらなる理解をえるための活動を、オリンピックムーブメントといいます。

世界中で行われているオリンピックムーブメントの最高峰がオリンピックです。

オリンピックは、クーベルタン男爵が主張した”オリンピズム”の普及のために開催されるスポーツの祭典です。

IOC(国際オリンピック委員会)の役割は、オリンピック憲章に従い、率先して「オリンピズム」を普及すること。

JOC(日本オリンピック協会)の役割は、オリンピック憲章に従い、日本国内に「オリンピズム」を普及すること。

クーベルタン男爵の名言

「オリンピックで最も重要なことは、勝つことではなく参加することである。

同様に、人生おいてもっとも重要なことは、勝つことではなく一生懸命に頑張ることである。

肝要なのは、勝利者になったということではなく、けんめいに努力したということである。」

※冒頭の「オリンピックで最も重要なことは、勝つことではなく参加することである。」は、1908年にセントポール大寺院の主教が、集まった選手にのべた戒め(いましめ)の言葉。

この言葉に感動した、クーベルタン男爵が、この言葉を引用して自身のスピーチを行いました。

古代オピンピックとは?、近代オリンピックの歩みとオリンピック憲章(けんしょう)の根本原則を紹介させていただきます。

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古代オリンピックとは

古代のギリシャでは、神々をたたえるための、スポーツの祭典が行われていました。

この祭典は紀元前9世紀ごろに、はじまったといわれていて、ギリシャ人の男性だけで行われていました。

当時のギリシャのオリンピア地方・コリント地方・ネメア地方・デルフォイ地方で行われた祭典が4大祭典として知られています。

このうち、オリンピア地方で行われていた祭典を「オリンピア祭典競技」といい、

この祭典の名称にちなんで、近代になって「古代オリンピック」とよぶようになります。

当初、祭典でおこなわれた競技は、1スタディオン(約191m)の短距離走だけ、その後レスリングやボクシング、戦車競走などの競技が加わり、競技数は増えていきます。

この祭典は、はじめ8年周期でおこなわれていましたが、のちに4年周期でおこなわれるようになります。

紀元前146年ギリシャはローマ帝国に支配され、ギリシャ人以外も祭典に参加するようになります。

392年には、キリスト教を国教とすることが決まり、ギリシャの神々をたたえる祭典の実行は難しくなっていき、

393年を最後に、ギリシャの神々をたたえる祭典は、行われなくなります。

(近代)オリンピックの歩み

1892年 フランスのピエール・ド・クーベルタン男爵が、「ルネッサンス・オリンピック」という講演で、オリンピック復興の構想をはじめてしめす。

このとき、クーベルタン男爵が、めざしたのが、オリンピズムの普及。

オリンピズムとは、「スポーツを通して、心と身体をきたえ、世界中のいろいろな国の人と交流をして、平和な社会をつくっていこう」という考え方のこと。

この理想は、次第に世界中に賛同を得て広がっていきます。

1894年6月 パリ万国博覧会に際してひらかれたスポーツ連合の会議で、クーベルタン男爵はオリンピック復興計画を議題にあげて、満場一致でオリンピックの復興が可決されました。

この会議で決定されたこと

第1回オリンピックは、1896年にギリシャで開催する

大会は、古代の伝統にならって4年ごとに開催する

大会を世界各国でのもちまわり開催とする

オリンピックの最高の権威をもつIOC(国際オリンピック委員会)を設立すること

1896年 ギリシャのアテネで第1回オリンピックが開催される。

第1回オリンピックは、古代オリンピックにならって男性だけで開催されました。

実施された競技は、陸上・水泳・体操・レスリング・フェンシング・射撃・自転車・テニスの8競技43種目。

参加したのは、欧米先進国の14カ国、280人。

1900年 パリ大会が開催される。

はじめて女性が参加した大会。

実施された競技は、16競技60種目。

参加したのは、19カ国、1066人(女性は12人)

はじめての女性金メダリストは、テニス・シングルスのシャーロット・クーパー(イギリス)

1914年 オリンピックのシンボル『五輪のマーク』が披露される。

五輪のマークは、1914年6月IOC創設20周年式典で、クーベルタン男爵によって披露されました。

五輪のマークはクーベルタン男爵が、

五つの輪は、5大陸の結合を表し、

五つの輪の色、青・黄色・黒・緑・赤と下地の白をあわせた6色で、世界のほとんど全ての国旗を描ける

という思いで考案しました。

1924年 シャモニー・モンブラン冬季大会

フランスのシャモニー・モンブラン地方ではじめて冬季オリンピックが開催される。

実施された競技は、4競技14種目。

参加したのは、16カ国、258人

1994年 第17回リメハンメル冬季大会(ノルウェー)

この大会から、夏の大会の2年後に冬季大会を開催するようになる。

実施された競技は、6競技61種目

参加したのは、67カ国、1,736人

オリンピック憲章 根本原則

オリンピック憲章の根本原則には、オリンピズムとはなにか?オリンピズムの目的はなにか?オリンピックムーブメントとはなにか?オリンピックムーブメントの目的はなにか?きちんと定義されています。

根本原則の一部を抜粋して紹介させていただきます。

3・オリンピズムの目的は、人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を奨励することを視野に入れあらゆる場でスポーツを人間の調和のとれた発育に役立てることにある。この趣意においてオリンピックムーブメントは単独または他組織の協力により、その行使しえる手段の範囲内で平和を推進する活動に従事する。

6・オリンピックムーブメントの目的は、いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解しあうオリンピック精神に基づいて行われるスポーツを通して青少年を教育することにより、平和でよりよい世界をつくることに貢献することにある。