がおるは、「つかれはてている」「弱っている」「やつれている」という意味で使われる北海道弁、北海道の方言です。
がおるは、共通語の”我を折る(意味=自分の意志や主張をやめて他の人に従う。譲歩する。)”とは全く違う意味です。
もともとは、東北地方でつかわれていた方言「がおる」が、北海道に定着し、全道で使われるようになりました。
北海道で”がおる”は、人やペット、動物に対して使われます。
東北地方では、植物に対しても使われるようですが、北海道では植物に対してはまず使いません。
がおるの使い方(人に対して)
顔色の悪い人に対して
A:「がおった顔して、なした?」
B:「なんも、夏バテだ」
意味
A:「やつれた顔してるけど、何かあったの?」
B:「気にしないで、ただの夏バテだから」
急に痩せ衰えた人に対して
A:「なまらがおってるな。なした?」
B:「いやー、糖尿で、食事制限してるのさ」
意味
A:「ずぶんと痩せ衰えたけど、何かあったの?」
B:「実はさ、糖尿病になって、食事制限してるのさ」
がおるの使い方(動物に対して)
元気のないペットに対して
A:「○ちゃん、がおってるけど大丈夫?」
B:「かぜひいて、病院にかよってるの」
意味
A:「○ちゃん、弱ってみえるけど大丈夫なの?」
B:「かぜひいて、病院にかよってるの」
弱ってみえる競争馬に対して
A:「なんか、あの馬がおって見えない?」
B:「あれは、ダメだな」
意味
A:「なんとなく、あの馬、元気ないように見えないか?」
B:「あれは、走りそうもないな」
まとめ
がおるの意味は「つかれはてている」「弱っている」「やつれている」という意味。
共通語で、「あいつ、やつれたな」というより、
北海道弁で、「あいつ、がおってるな」と言ったほうが、
道民には、心配している度合いが強く、より相手をおもって言っているように感じられます。
また、相手に「体調」とかを聞くときは、
共通語で「やつれたけど、大丈夫?」と聞くより、
北海道弁で「がおってるな、大丈夫?」と聞くほうが、
相手が答えやすい聞き方、という感じがします。
がおるという北海道の方言を、北海道の若者があまりつかっていないので、死語になる日も近いのかも知れません。
共通語にはない、独特のニュアンスをふくむ、北海道弁、大切にしたいですね。