「あずましい」は、北海道や津軽・下北など東北の一部で使われる方言です。
北海道弁で、あずましいは、心地よい・落ち着く・居心地が良いという意味で使われます。
あずましいは、1950年以前に生まれた人がよく使い、1950年から1970年頃に生まれた人は稀に使い、それ以下の年齢の人はほとんど使わない北海道の方言です。
もともと、津軽・下北地方の方言だった「あずましい」は、北海道の開拓とともに北海道にねずき、現在に至ったといわれています。
あずましいの意味と使い方
あずましいの意味
あずましいは、地域や住居などの環境・雰囲気・状況、に対して使われます。
あずましいの意味
① 心地よい
② 落ち着く
③ 居心地が良い
標準語の「心地よい」・「落ち着く」・「居心地が良い」より、くつろげる度合いが大きく、緊張しない度合いが大きい、そんな感じの方言です。
なまらあずましいは、これ以上ないくらい快適なときに使われます。
あずましいの反対語
あずましいの反対語は、二つあります。
多くの人は、「あずましくない」を反対語として使います。
ごくまれに、「あずくらしい」を反対語として使う人がいます。
あずましくない・あずくらしいの意味
①心地悪い
②居心地が悪い
③せわしない
正しい使い方
「森林公園って、本当にあずましいんだよねぇ」 : 「森林公園って、本当に心地がいいんだよねぇ」
「この辺は、静かであずまいいね」 : 「この辺は、静かで心地よいね」
「札幌の中心部は、あずましくないから嫌いだ」 : 「札幌の中心部は、せわしないから嫌いだ」
「あずましい、温泉だ」 : 「心地よい、温泉だ」
「この旅館は、あずましいから好き」 : 「この旅館は、居心地が良く落ち着くから好き」
「あそこの個室は、あずましいよ」 : 「あそこの個室は、居心地が良いよ」
「独り暮らし!あずましいー!」 : 「独り暮らし!心地いー!」
あずましいの語源
あずましいは、もともと津軽・下北地方など東北地方の一部地域の方言です。
語源には諸説あり、どれが本当かわかりませんが、ほとんどの説で、あずま=吾妻、しい=名詞などについて形容詞をつくる語、としています。
① あずま=吾妻 吾妻(東)は、都(京)からみて東の地域のこと。
かつて吾妻には、文化のおくれたへんぴな所というニュアンスがあり、へんぴな所=田舎=のんびりした所=心地よい所、と都合良く解釈し、形容詞化するために「しい」をつけてできた言葉が「あずましい」とする説です。
② あずま=吾妻 吾妻(東)は、東琴(あずまごと)のこと。
東琴は「和琴(わごん)」のことで、和琴は雅楽に用いる六弦の琴。和琴の音色の「心地よさ」から、あずま=和琴=心地よい楽器、と解釈し、形容詞化すつために「しい」をつけてできた言葉が「あずましい」とする説です。
諸説あり
まとめ
あずましいは、北海道でも聞くことが少なくなった、北海道の方言「北海道弁」です。
若い人は、ほとんど使うことがなく、死語になりそうな北海道弁のひとつです。
心地よい・落ち着く・居心地が良いという意味で使われますが、ニュアンスとしては、心地よいより心地よく、落ち着くより落ち着いて、居心地が良いより居心地が良い感じの言葉です。
北海道を開拓するため、日本各地から多くの人々が来道し、それぞれの地方の方言を北海道に伝えました。
北海道には、ほかの都府県と共通する方言がたくさんあります。
北海道の方言、ひとつでも多く、後世にのこしていきたいですね。