平成のヤンキーファッション「腰パン」が流行した理由と起源

腰パン 話題

腰パンは、日本で1990年代から2010年頃に一世を風靡(ふうび)した若者のファッションで、おもにジーンズや学生服などのパンツ(ズボン)の着こなしを指します。

オーバーサイズのズボンを腰の位置までさげて、裾をダブつかせる着こなしが腰パンです。

高級なブランドのパンツ(下着)を見せるのが「粋」な着こなしとされ、下着とズボンを一緒に下げ、お尻を見せることは「公然わいせつ罪」にあたると囁(ささや)かれ敬遠されました。

ちなみに、ローライズのパンツ(ズボン)や、太っている人のズボンが自然に腰の位置まで下がっているものは、「腰パン」と言いません。

今では、平成を代表する恥ずかしいファッションとされ、女性に嫌われていますが、当時、腰パンはモテル若者を代表するヤンキーファッションでした。

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なぜ腰パンが流行したのか?

海外で流行していた、ヒップホップ系のファッション「Saggy Pants」が日本に渡来し、日本で「腰パン」として流行しました。

1990年代、日本でヒップホップ(音楽)が流行すると、ヒップホップのDJやラッパーやダンサーがもてはやされ、彼らのファッションが注目されます。

ヒップホップのDJやラッパーやダンサーのファッションは、ヒップホップに興味のある人達の間にひろまり、彼らがもてはやされたことで、やがてヒップホップに全く興味のない若者へと広がっていきます。

日本で腰パンは、1990年代後半から2010年頃に若者のあいだで一世を風靡します。

昭和のツッパリは、ドカンやボンタンといった幅広ズボンを着用し、平成のヤンキーは、オーバーサイズのズボンを「腰パン」で着こなしました。

ツッパリやヤンキーは、幅広ズボンを好みます。

1940年代にマフィアが着ていた、極端に”だぶついた”スーツ『ズートスーツ』が流行して以後、幅広ズボンなど”だぶついた”服装は、不良っぽい人の象徴となり、平成ヤンキーの「腰パン」へと形をかえて受け継がれたようです。

2017年にヒップホップはロックを追い抜き、あらゆる音楽の中で一番売れた音楽になり、ヒップホップ系のファッションは今でも人気があります。

ただし、かつての腰パンではなく、ヒップホップ系ファッションは、ある意味、洗練されスタイリッシュに変化し、今でも一部の若者の間で、もてはやされています。

腰パンの起源

腰パン(Saggy Pants)は、アメリカ発祥のファッションです。

腰パンは、ヒップホップを通じて渡来し、1990年代から日本で流行します。

アメリカのSaggy Pantsは、ヒップホップが流行する1980年代前半以前からあったと言われ、若い不良(ギャング)の間で流行していたと言われています。

Saggy Pantsの起源には諸説ありますが、次にあげる3つが有力な説とされています。

①・刑務所内で囚人が着用していたズボン

②・ゲイの人達が使う「性行為OK」のサインとしてのズボンの着こなし

③・マフィアと関わる貧しい若者が「間に合わせ」で着用したズボン

①の説の解説

凶器して使える”ベルト”、自殺の道具として使える”ベルト”を囚人から取り上げたことで、囚人服のズボンはずり下がった。このずり下がった囚人のズボンから、Saggy Pantsが生まれたという説。

ヒップホップが流行る以前、アメリカの不良(ギャング)が、自分が不良(ギャング)であることを自己主張するためのファッションがSaggy Pantsとする説です。

②の説の解説

かつてアメリカのゲイの人達の間では、ズボンを下げて履いていると「性行為OK」「カモン!」というような意味になっていて、そこからSaggy Pantsが生まれたという説。

ヒップホップが流行る以前、アメリカのゲイの人達が、Saggy Pantsを生んだとする説です。

③の説の解説

1940年代アメリカのマフィアは、ズートスーツと呼ばれる極端に”だぶついた”スーツを着用していました。彼らに憧れ、彼らと関わりをもつ、貧しく若い不良は、ズートスーツを買うお金がなく、「間に合わせ」でオーバーサイズのズボンを着用し、そこからSaggy Pantsが生まれたという説。

ヒップホップが流行る以前、マフィアと関わりをもつ貧しく若い不良が、少しでもマフィアに近づこうとした結果、ズボンがずり下がり、Saggy Pantsが生まれたとする説です。

腰パンの今

現在の日本において、腰パンの若者は都会から消えました。ごく稀に、腰パンが流行していた当時若者だったオッサンが、当時のままの腰パンで、しゃんがんでいるのを見かけるくらいです。

数年前、地方で腰パンをキメている若者をみたという目撃情報がありますが、現在は、地方でも見ることはできないと思います。

昭和のツッパリファッションがそうであったように、モテなくなる、嫌われる、ようになると、不良っぽいファッションは消えます。

平成を代表するヤンキーファッション「腰パン」も、恥ずかしいファッションとされ女性に嫌われ、ついに消えてしまいました。

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まとめ

腰パンは、アメリカで生まれたファッションが日本に渡来し、若者の間で流行ったファッションです。

日本に渡来した当初は、ヒップホップに興味のある人の間で流行したファッションでしたが、その不良っぽさがヤンキーにうけ、ついには平成を代表するヤンキーファッションになります。

多くのヤンキーはモテるから、目立つから「腰パン」を着こなしていましたが、女性からキモイなどと言われ嫌われ始めると、すぐに「腰パン」をやめるようになります。

昭和のツッパリも平成のヤンキーも、女性に嫌われると、すぐにファッションの方向転換をします。

令和になって、どんなヤンキーファッションが一世を風靡するのか?どこから流行るのか?誰が流行らすのか?

日本から不良っぽい若者がいなくなることは、永遠に無いんだろうなと思う今日このごろです。

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