北海道の山菜採りの時期とルール~人気の春の山菜~

趣味

自然豊かな北海道には、食べて美味しい山菜が沢山あります。北海道の山菜採りは、本州よりも遅く、3月からスタートします。

ギョウジャニンニク・フキ・ワラビ・ウド・タケノコ・タラの芽などは、春から初夏の北海道で採ることができる人気の山菜です。採る場所によっては同じ山菜を、長期間にわたって採ることができるのが、北海道の山菜採りの特徴です。

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山菜採りのルール

北海道に限らず、山菜採りにはルールがあります。

山菜が採れる場所は、私有地(個人が所有する土地)や国有地(公有地)です。山菜の採れる場所は必ず誰か(どこか)の所有地になっています。

私有地で許可なく山菜を取ると犯罪になります。実際に私有地で、ワラビやウド、フキを採取して、窃盗で検挙された事例もあります。

私有地(他人の所有する山など)に勝手に入って、山菜を採ってはいけません。

国有地などの公有地においては、森林法の定める罰則にあたる可能性があります。

森林法

第八章 罰則

第一九七条 森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、三年以下の懲役又は三十万以下の罰金に処する。

第一九八条 森林窃盗が保安林の区域において犯したものであるときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

森林法より一部抜粋

公有地の場合も本当は、許可をとって入林しなければいけませんが、山菜(松茸以外)を少量採る程度なら、黙認してくれるようです。ただし、罰則があるので、商売になるくらい沢山採ると、罰せられます。

公有林では、伐採・林道整備など様々な作業が行われています。

本当は罪になるところを、採らせてもらってるわけですから、絶対に作業の邪魔をしてはいけません。ここに入ってはいけないと言われたら素直に退出しましょう。

注意をされたのに素直に退出せずに山菜を採り続け、工事の邪魔をし挙句の果てに逆ギレし、警察に突き出された人を、私は目の当たりにしたことがあります。

ギョウジャニンニク

ギョウジャニンニク(行者にんにく)は北海道でアイヌネギとも呼ばれる人気の山菜です。

日本では、近畿以北から北海道にかけて分布しています。3月ころから道南の低い山で採れはじめ、雪解けとともに北の地方でも採れるようになります。日高地方の高い山では6月末にちょうど食べころのギョウジャニンニクが採れます。

ギョウジャニンニクは、日当たりの良い雑木林の中にあります。ぐちゃぐちゃした湿地で見たことがないので、探す時は乾燥している場所を探すと良いかも知れません。

どちらかと言うと急な斜面に多くあるので、とるときは注意が必要です。最低でも、スパイクつきの長靴は用意します。場所によってはロープを使わないと採れないところもありますが、危険な場所は避けるのが賢明です。

北海道では毎年、ギョウジャニンニク採りで滑落事故がおきています。死亡事故にはならなくても多くの人に迷惑をかけることになるので、絶対に一人で危険場所に行かないことです。

人気の山菜のため、根こそぎ採る人が多くいるので、最近は限られた場所でしか採れなくなりました。

私は毎年同じ場所で採りますが、採るのは全体の2割程度にしています。ギョウジャニンニクは食べれる大きさに育つまで5年かかると言われています。

全体の2割程度に採る量をおさえているので、毎年たのしむことができます。くれぐれも根こそぎ採るようなことはやめましょう。

ギョウジャニンニクとよくにた植物にイヌサフランがあります。昨年も富良野地方に住む、女性が自宅の庭のイヌサフランを、ギョウジャニンニクと間違えて食し死亡しました。

通常イヌサフランは北海道の山にはありませんが、心無い人が山に植えているかも知れません。注意しましょう、見分けるには、匂いを嗅ぐのが、一番です。ギョウジャニンニクは、切り口からニンニクのような強烈な匂いがします。

山菜は「自信がないものは採らない」のが無難です。

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フキ

フキ(蕗)は、道路淵・川の淵・雑草地など、よく目にする山菜です。

フキは日本原産の植物で、北海道から沖縄まで、日本中に分布しています。北海道では、4月ころから採れはじめ、高地などでは7月初旬まで美味しいフキが採れます。

北海道のフキは、食べて美味しい青ふきと、あまり美味しくない赤ふきがあります。道端や低地の雑草地などには、赤ふきが多く、山の中の川の淵には青ふきが沢山あります。

フキも上手に採ると、毎年同じ場所で採ることができます。場所によっては、一年に2度採れるので、上手に採ることをオススメします。

フキを採る基本は「なかぶき」を採らないことです。

フキは数本が株になっています。「なかぶき」はその株の真ん中にあるフキです。よく見ないと分かりづらいですが、「なかぶき」を採ってしまうと、翌年はフキが採れなくなってしまうので、必ず「なかぶき」は残します。

「なかぶき」の特徴は茎の部分(食べる部分)が丸い。採って良いフキは、茎の形がイビツになっています。

葉の形も違います。「なかぶき」はハートのような形をしています。採って良いフキは、「なかぶき」より丸くて大きいので、よく見ると分かります。

美味しいフキは、水が流れている所にあります。

切った時に、フキから水が流れ出るようなフキが美味しいフキです。出来るだけ綺麗な青いフキを採ります。

ウド

ウドは里山などで、よく目にする山菜です。

ウドは北海道から九州まで、沖縄を除く日本各地に分布しています。北海道では5月上旬から6月上旬にかけて採れます

ウドも上手に採ると毎年同じ場所で採れます。

ほとんどの場合は、群生しているので、最低でも三分の一程度は残して採ります

日当たりが良い、軟らかい土地に多く、茎に産毛のようなものがあるのが特徴です。新しく盛り土をした所で日当たりが良い所なら、数年後にウドが生えてくるかも知れません。

大きくなると2mくらいになりますが、食べて美味しいのは、30cm以下のものです。ウド(独活)の大木という言葉の通り、大きなウドは役に立ちません。

根から採って、庭に植えても、翌年には食べることが出来ます。北海道では庭にウドを植えているお宅をよく目にします。

ワラビ

ワラビ(蕨)は、笹薮(ささやぶ)や雑草地などで、よく目にする山菜です。

ワラビは北海道から九州まで、沖縄を除く日本各地に分布しています。北海道では5月中旬から6月下旬にかけて採れます

ワラビは、日当たりのよいところよりは、笹やイタドリなど背の高い雑草の中にあるものが美味しいです。

山に行かなくても、河原の雑草の中でも美味しいワラビは採れます。

農地などにも沢山ありますが、私有地に勝手に入ってはいけません。農地のワラビは採ってはいけません。

タケノコ

北海道で採れるタケノコといえば「根曲がり竹」のタケノコです。

根曲がり竹は、山陰・信越地方以北に分布しています。北海道では5月中旬から6月中旬にかけて根曲がり竹のタケノコが採れます

孟宗竹のタケノコに比べると細くて小さいけど、食べると歯触りがよく、とても美味しいタケノコです。
 
根曲がり竹の高さは2~3mあり、密集しています。タケノコは根曲がり竹の根元にあるので、採るときはずっと地面を見ています。地面を見たまま、密集した竹の中をタケノコを求めて進むので、方向が分からなくなります。

北海道では毎年のように、タケノコ採りに出かけて行方不明になる人がいます。タケノコ採りに行くと、「○○年○月○日行方不明者が出ています」という注意を促す看板をよく目にします。

毎年、同じ所にタケノコ採りに行っていても、迷いそうになることはあります。ついついタケノコ採りに夢中になってしまい、方向が分からなくなるからです。私の場合は特徴のある木を覚えて、その木からどちらの方向に行くと帰れるかを頭に入れています。

タケノコ採りに行く時にオススメなのが、登山用のハンディGPSです。竹の中に入るときにスタート位置の印をつけて歩き出すと、歩いた通りに線が引かれます。方向音痴になっても線をなぞって歩くとスタート地点に戻れます。

方位磁石も良いのですが、自分のいる位置が正確に分からないと、自分が行きたいところから数キロ離れた所に行くこともあるので、あまりオススメできません。

北海道の山菜採りで、事故の一番多いのがタケノコ採りです。

タケノコ採りに行くときは、絶対に二人以上で行きましょう。

タラの芽

タラの芽は、北海道でタランボとも呼ばれる春の人気の山菜です。

タラの芽は、タラノキの先端に出きる新芽です。タラノキは、日本各地に分布しています。北海道では4月中旬から5月初旬にかけてタラの芽が採れます。

かつて北海道では、道路沿いや線路の周辺など、いたるところで採れたタラの芽(タランボ)ですが、現在は里山などの森林でのみ、採ることができます。

タラノキは、日当たりの良い場所に自生しています。山奥に入らずに採れ、見晴らしの良いところで採れるので、フキ、ワラビと同様に採りやすい山菜です。

タラノキは白っぽく細かいトゲがあり、真っ直ぐに立っています。タラノキは群生していることが多いので、遠くから見て、白っぽしくて細くて低い木が群生していたらタラノキかも知れません。

タラの芽を採るときは、タラノキのトゲに注意して採ります。タラノキのトゲは硬く、軍手くらいなら簡単に通してしまいます。タラの芽を採るときは、皮製の手袋をはくことをおすすめします。

タラの芽は、大きくなると、芽にもトゲができます。芽にトゲが出来る前の新芽を採ります。1本のタラノキから、1~5個程度のタラの芽がとれます。タラノキは群生していることが多いので、すべてとりつくさずに、タラの芽を少し残し次年度以後も採れるようにします。

タラの芽に似たものに、ハリギリ(センノキ)の芽があります。

北海道では食しませんが、地方によっては食すところもあるようです。タラノキより黒っぽく、トゲが太く大きいのが特徴です。

※山菜関連記事~間違えやすい有毒植物との見分け方

まとめ

北海道の春に採れる人気の山菜を紹介しました。

北海道の春に採れる山菜は紹介した山菜の他にも、ふきのとう・タラの芽・コゴミなどがあります。

山菜の採れる場所は、必ず誰か(どこか)の所有地です。私有地の山菜は採ってはいけません。国有地(公有地)の山菜も本当は採ってはいけませんが、国有地(公有地)では少量の山菜採りは黙認してくれるようです。

国有地(公有地)で山菜を採っていて、注意を受けたときは、素直に謝罪し退出しましょう。国有地(公有地)で山菜を採ると、森林法によって罰せられます。黙認してもらっているのですから、作業の邪魔をするなどもってのほかです。ルールを守って山菜採りを楽しみましょう。

北海道の春の山菜を採りは、危険でいっぱいです。

4月だとまだ雪が残っているので雪庇(せっぴ)に乗って落下する、春は熊が目覚める季節なので熊が活発に行動している、ギョウジャニンニク採りでは急斜面からの滑落、タケノコ採りでは行方不明になる。

十分に注意して山菜採りを楽しみましょう。

採る量や採リ方に気を使うと、毎年同じ場所で、山菜を採ることができます。

根こそぎ採り続けて、北海道から山菜が無くならないように、山菜採りを楽しみましょう。

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