北海道胆振東部地震の概要と実体験から学んだ災害に対する必要な備えと対策

北海道地震 暮らし

2018年9月6日午前3時8分頃、北海道胆振(いぶり)地方東部を震源とする、最大震度7の地震が発生しました。

地震発生直後から、北海道全域は停電となり、北海道のほとんどの地域で断水となり、重要なライフラインが絶たれ、道民のほぼ全員が信号機の灯りも街灯の灯りもない真っ暗闇のなかでの生活を開始します。

地震発生当日は、開店しているスーパーマーケットやコンビニエンスストアがほとんどなく、開店しているスーパーやコンビニは大混雑し、缶詰や水や乾電池などは午前中に売り切れます。

翌日9月7日午後6時に、全体の50%以上で停電が解消されますが、7日に営業を開始したスーパーやコンビニ、ガソリンスタンドはどこも大混雑します。この時点でも多くの地域で断水が続き、多くの道民は水道と電気のない生活を続けます。

停電は9月8日に全体の99%超が復旧し、断水は震源地付近の地域、札幌市の一部地域を除き復旧しましたが、9月9日現在も多くの人が電気も水もない生活をしています。

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北海道胆振東部(いぶりとうぶ)地震の概要

北海道胆振東部地震は、9月6日午前3時8分頃、胆振管内厚真町で道内初の震度7を観測した地震です。

厚真町北部と胆振管内の安平町とむかわ町両町にまたがる約13キロ四方の広い範囲で山腹が崩壊し、多くの人が亡くなりました。

地震発生直後から北海道全域で停電となり、北海道の広い範囲で断水となりました。

地震の概要

検知日時(最初に地震を検知した時刻):9月6日午前3時8分

発生日時(地震が発生した時刻)   :9月6日午前3時7分

マグニチュード           :6.7

場所                :胆振(いぶり)地方東部(北緯42.7度東経142.0度)

震源の深さ             :37Km

震度                :最大震度7 北海道厚真町(あつまちょう)・震度6強:北海道安平町(あびらちょう)、北海道むかわ町・震度6弱:北海道千歳市、北海道日高町、北海道平取町、北海道札幌市東区・北海道から中部地方の一部にかけて震度5強~1

国土交通省 気象庁 「平成30年北海道胆振東部地震」について参照

停電の状況

地震発生直後から北海道全域が停電。*自前の電源をもっている北海道礼文町、利尻町、利尻富士町では停電はしていません。

地震発生当日9月6日午後:北海道全域の約295万戸のうち、約32万9000戸が復旧。病院や通信関係施設、避難所などに優先的に電力を供給(周辺の住宅も復旧)。

9月7日午後6時:道内の50%以上の168万6000戸で復旧。震源地の近くのむかわ町と平取町(びらとりちょう)では送電ができていない。

9月8日午前0時:道内の90%以上260万戸で復旧。

9月8日午前8時:道内の99%以上293万戸で復旧。

9月9日午前10時:539戸停電

北海道電力の発表では、「全道の停電の復旧には1週間以上かかる」ということです。

断水の状況

地震発生直後から北海道の広い範囲の多くの市町村で断水になりました。

断水は最大時、47市町村6万6587戸に上っていました。

9月7日正午:22市町村3万3428戸で断水。

9月8日午後1時00分:【全面断水】厚真町約2100戸、【一部断水】安平町(あびらちょう)3351戸、むかわ町約3200件、日高町2285戸、平取町(びらとりちょう)750戸、札幌市15000戸

9月9日午前9時00分:【全面断水】厚真町約2100戸、【一部断水】安平町3351戸、むかわ町約3200件、日高町2285戸、平取町60戸、札幌市211戸

断水の状況については、SNS等でデマが拡散されています。

断水状況の詳細は北海道庁HPを参照しました。

被害の状況

9月9日午後6時現在

人的被害:死亡39・心肺停止1・重症8・中等症9・軽症384

建物被害:全壊32・半壊18・一部損壊10・被害状況不明 多数 

地震発生直後に北海道で日本一長い直線道を走る

地震発生時、私は北海道芦別市にいました。

9月6日午前3時ころ:スマートフォンから地震を知らせるアラームがなる。

同日午前3時8分ころ:強い揺れを感じ起きる(空知中部の震度4)。揺れた時間が短く再び就寝。

同日午前4時ころ:同室の相棒に起こされる。相棒の静内町の自宅では、食器が落ちる等の被害があり、相棒が帰宅の準備をする。震源地等の情報をネットニュースから得る。

同日午前5時30分:当日の仕事の中止が決定される。

同日午前8時:宿泊先の旅館から、停電復旧のめどがたたず、この日から停電復旧までの宿泊を断られる。この時、宿泊先では水道が使えました。

同日午前9時:芦別市から約100Kmの札幌市近郊の自宅に向かってマイカーで出発。北海道全域が停電のため、信号機が全て機能していない中、車の運転を開始。

できるだけ国道を走行したほうが安全という情報を得て、国道38号線から国道12号線を経由して帰宅。

国道は普段通りのペースで順調に走行できました。

国道と交差する主要な交差点には警察官がいて、手信号による交通整理をしており、その交差点が近づくとスピードを落とし、その交差点を過ぎると加速するという繰り返し。

国道を優先しているためか、国道の車列が長いためか、日本一長い直線道(滝川市から美唄市までの国道12号線29.2Km)を一度も停止することなく通過できました。普段ではありえないことです。

国道38号線でも12号線でも、脇道から出てくる車を出来るだけ入れてあげ、対向車が右折して脇道に入るときも出来るだけ入れてあげ、全員が譲り合いの精神で安全運転をしていました。

しかし、国道を離れると、一変します。

警察官が青信号のサインを出しているのに、交差点でいきなり急停止する老婦人はいるし、停止している車列を反対車線に出て追い越し、警察官の制止を無視して強引に右折していく人はいるし、交差点以外でも歩行者や自転車が飛び出してくるし・・・。

私が一番怖かったのは、私の2台前の車が交差点でもなく、なにもないのに急停止し、追突しそうになったことです。急停止した車は老人が運転していて、対向車線を走ってきた、これまた急停止した車の老人と、車の窓をあけ身を乗り出して話をはじめました。

話はじめた直後に後続車全員が、クラクションを鳴らし、老人二人は何事もなかったかのように、走り去って行きました。信号機がないのが嬉しいのか、停電し断水している状況におだっているのか、単にボケているのかわかりませんが、不要不急の外出は避けてくださいという呼びかけは老人には通用しないようです。

同日11時ころ:無事帰宅。自宅は水道は使えましたが、停電していました。

同日13時30分ころ:自宅の停電が解消。テレビで、今回の地震による被害の大きさに愕然とする。実家や親戚、知人に連絡し、現状を確認する。このとき、スマートフォンや携帯電話が通じづらく、メール等で確認しました。

このとき江別市の実家は、停電は解消されていたけど断水中。札幌市内の親戚の家は水道は使えるけど停電中。私の自宅から半径20Kmほどで、状況が違うことにおどきました。

実家の断水は9月7日の午前中に解消され、親戚の停電は9月7日の午後10時ころに解消されました。

私は実家に水を40ℓはこび(10ℓの容器で2回×2日間)、親戚の家に自宅にあった乾電池と懐中電灯の全てを9月6日に持って行きました、その時、親戚の家の道路一本はさんだ向かいの地域では停電が解消されていました。

非常事に困ること

9月6日に発生した北海道胆振東部地震は、北海道では観測史上初となる震度7を観測しました。

胆振東部の厚真町では大規模な土砂崩れが発生し多くの人が被災しました。また震源地から約80Km離れた札幌市でも死者がでました。

地震で北海道の全域が停電になったのは初のことで、多くの道民が被災しました。

停電になって困ること

1・スマートフォンや携帯電話などに充電ができないので、外部との連絡が取れなくなる。

2・電気調理器が使用できない。(炊飯器・IHヒーター・電子レンジなど)

3・停電が24時間以上続くと、冷蔵庫内の食品が腐敗する。

4・高層マンションでは、貯水タンクに水をためる事が出来なくなり断水する。

5・冷暖房が使用できない。(今回の北海道胆振東部地震は9月に発生したため、必要をあまり感じませんでした)

6・ガソリンスタンドが営業していないため給油ができない。(札幌市ではゴミ回収車に給油できず、ゴミの回収が出来ませんでした)

7・停電中に営業するスーパーマーケット・コンビニエンスストアが少なく、食料品が調達できない。

断水になって困ること

1・食事に使える水の量が限られる。

2・トイレを流す水(一度に3~4ℓの水を使います)

3・水を使用する優先順序を考える必要がある 私の場合は、食事→トイレ→歯磨き・洗顔→洗髪・洗体としています。

4・断水すると飲食店が営業せず、外食に頼ることができない。

非常事態に対する備えと対策

地震などの自然災害はいつ起きるか分かりません。

気象庁は地震の予知について「現在の科学的知見からは、確度の高い地震の予測は難しいと考えられます」としています。

日本は、外国に比べて台風・大雨・大雪・洪水・土砂災害・地震・津波・火山噴火などの自然災害の発生しやすい国です。

非常事態に対する備えと対策は、日本で生活するうえで必要な事かも知れません。

プレッパーから学ぶ備えと対策

アメリカにはプレッパー呼ばれる[財政破綻・戦争・自然災害]などの非常事態に備える人々がいます。彼らのように武装する必要はありませんが、彼らから学ぶべきことはあります。

1・電気などのエネルギーが絶たれる事を想定した食糧を備蓄する。

【フリーズドライ食品(アルファ米・ドライフルーツ・カンパンなど)、缶詰など加熱なしで食べれる食料品・飲料水・可能ならば屋外で雨水をためる・水不足に備えるなら携帯できる浄水器を用意する】

2・近所に信用出来る人を見つけ協力し合う。

【今回の北海道胆振東部地震では、道路一本はさんで一方は停電しているが断水していない、一方は停電していないけど断水しているという地域がありました。近所の人と協力しライフラインの復旧を待ちます】

首相官邸 災害に対するご家庭での備え

1・家具の置き方に工夫する
【家具を壁に固定する。寝室や子供部屋には背の低い家具を使う、倒れた時に出入り口を塞がないように置く。手の届くところに懐中電灯やスリッパを置く】

2・食糧、飲料、生活必需品を人数分用意する
【飲料水3日分(一日一人3ℓ)。非常食3日分(アルファ米・ビスケット・板チョコ・乾パンなど)。トイレットペーパー・ティッシュペーパー・マッチ・カセットコンロなど】

3・非常用持ち出しバックを人数分用意する
【飲料水・非常食・貴重品・救急用品・懐中電灯・衣類・携帯ラジオ・携帯電話の充電器・使い捨てカイロ・ウエットティッシュ・洗面用具・携帯トイレなど】

4・家族同士の安否確認方法を決めておく

5・避難場所や避難経路を確認しておく

首相官邸HP 災害に対するご家庭での備えを参照しました。

北海道胆振東部地震を体験して、上記以外で私が必要だと思った備え

1・モバイルバッテリー
【これがあると、停電中に場所を選ばずに、スマートフォンやタブレットなどに充電することができます。停電中は、バッテリー残量が気になって連絡を制限していました】

2・ヘッドライトと電池式のランタン
【停電中、トイレに行く時など移動するときにLEDヘッドライトが役に立ちました。テーブルの上に置ける電池式のランタンがあると食事などで役立ちます。ガス式のランタンは、使い慣れていないと危ないのでオススメできません】

3・車を所有している方は、燃料を十分に入れておく
【停電中、ガソリンスタンドは営業していません。乾電池がなく、ラジオの電池が切れてしまった場合、車内で情報を得るのも有効な手段です。実際に夜間、車内で過ごしている家庭を多くみました】

4・電気を使わない灯油ストーブ
【停電が真冬に発生した場合は必ず必要になります。ストーブに灯油を満タンにするのはもちろん、予備の灯油も用意しておきます。ストーブの上で調理も出来るのでとても役にたちます。】

まとめ

9月9日現在北海道には、ライフラインが復旧せずに、不便な生活をしている方が数多くいます。

北海道胆振東部地震は、厚真町で大規模な土砂災害を起し、北海道の全域が停電になり、多くの地域で断水となった前代未聞の震災です。

北海道では前々日の台風21号の影響で、道内の広い範囲において住宅の一部損壊や街路樹などが倒れ道路が通行止めになる等の被害があったばかりで、道民の受けたダメージははかり知れません。

猫を飼っている家庭では地震発生以来、猫が怯え押し入れやソファーの下などに身をひそめ、出てこないという状況が続いています。

救いなのは、暴動や火事場泥棒のような犯罪が起きていないこと、そしてこの地震が真冬に発生しなかったことです。

真冬の北海道で停電になると、ほとんどの家庭のストーブは使えなくなります。暖房設備がないと、最悪の場合、凍死という事態になります。これからの季節、北海道の気温は日に日に下がります。

一日も早く、全ての道民が、健全な生活を取り戻せるよう、願うばかりです。

余談ですが、私の知人は地震発生の数時間前、大群で夜空を飛ぶカラスを見たそうです。野生の動物には、地震の発生を予知できる能力があるのかも知れません。

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