気づかう必要がなく、相手に意識を集中しなくても、心が通い合う友達が、「気が(の)置けない」友達です。
気が許せない、油断できないような人は、「気が置ける」人です。
あまり親しくなく、相手の気持ちをつねに気づかうような、何となくうちとけられないような友達は、「気が置ける」「気を置く」友達です。
「気が置けない」は、本来の意味より、誤った意味で使われことが多い慣用句です。誤解を招きやすいので、ビジネスで「気が置けない」は使わないのが賢明です。
気が(の)置けないとは
「気が(の)置けない」とは、「気づかう必要がない。遠慮がない。」という意味の慣用句です。
気が置けないの正しい使い方
1: 昨日の女子会は、気が置けない方々ばかりで、とても楽しかった。
2: 今ではなじみの店主や、気の置けない友達もできた。
3: 昔からの友達は、やはりいつまでたっても気がおけない。
4: 気のおけない、くつろげる店。
5: 限られた気の置けない関係の中だからこそ、濃密な情報を共有できる。
気が置けないの「気」とは
気を使った言葉は数多くあり、『気』の意味もいろいろとあります。『気』には「生命」・「意識」・「心などの状態や働き」の意味もあります。
「気がつまりそうな部屋」の『気』は「呼吸」を意味し、「気が強い」の『気』は「気質。精神の傾向」を意味し、「気を失う」の『気』は意識を意味します。
「気がすすむ」の『気』は「物事にひきつけられる心の動き」を意味し、「気を静める」の『気』は、「物事に反応する心の動き」を意味します。
「気が置けない」の『気』は、「あれこれ考える心の動き。」を意味します。
「気が置けない」は、あれこれ考えなくていい、心の壁を置かない関係となります。
気が置けない友達とは、気づかう必要がなく、相手に意識を集中しなくても、心が通い合う、仲の良い友達です。
気が置けないと正反対の意味の言葉とは
「気が置けない」の意味は、「気づかう必要がない。遠慮がない」です。
意味が正反対の言葉は、「気が置ける」。意味は、「気が許せない。何となくうちとけられない。気がかかるさま」です。
「気が置ける」に似たような言葉に「気を置く」があります。意味は、「相手の気持ちを気づかう。遠慮する。ほっとする。気を休める」です。
「気が置ける」「気を置く」ともに、現在はあまり使われない言葉です。
「気が許せない」という意味で用いられる「気が置ける」という言葉が使われなくなったために、「気が置けない」の誤用が多くなったといえます。(文化庁 言葉のQ&A参考)
気が置けないの誤用
文化庁が実施している「国語に関する世論調査」の結果によると、60歳以上をのぞく全ての年代で、誤った意味で「気が置けない」を使う人が多くなっています。
ア)相手の気配りや遠慮をしなくてよいこと・・・・・・・42.4%
イ)相手に気配りや遠慮をしなくてはならないこと・・・・48.2%
「気が置けない」は、好ましくない状態である「気が置ける」を打ち消して、好ましい状態を表現している言葉です。
現在は「気が置ける」という言葉の意味が理解されなくなっています。「気が置けない」の「・・・ない」という否定のニュアンスに影響され、本来の意味とは反対の意味で解釈するのは間違いです。
気が置けないの誤った使い方
(次のような使い方は間違いです。決して真似しないように!)
1: 上司との飲み会は、気が置けないので緊張する。
2: ○○さんは、気が置けない人だから、秘密は話せない。
3: あいつは、気が置けないやつだから、気をつけろ。
まとめ
小説や歌詞にもよく用いられる「気が(の)置けない」という慣用句、正しく理解している人は半数にもみたないようです。
気が置けないとは、「気遣う必要がない。遠慮がない」という意味です。
気が(の)置けない友達とは、「気づかう必要がなく、心が通じ合う」友達です。
半数以上の人が誤解している「気が置けない」という言葉を乱用するのは、人間関係に影響するので危険です。
あなたの大切な人を、知人に紹介するときに、「○○さんは、気が置けない人です」と言うと、聞いた人に「○○さんは、油断できない人・心を許せない人だ」と誤解され、人間関係に影響する恐れがあります。
あなたの大切な人を、知人に紹介するときに、どうしても「気が置けない」を使いたいなら、「○○さんは、気が置けない、いい人だ」と「いい人」をつけて言いましょう。また、誤解されることが多い言葉は、ビジネスでは避けるのが賢明です。
もっとも、話す側も、聞く側も、「気が置けない」を「油断できない・心を許せない」と誤解していて、会話が成立している場合は別なのですが・・・。