神社で祈願するときは、「合掌」ではなく、胸の前で「手をあわせ」心をこめて祈ります。
合掌と”手をあわせる”は、同じ動作ですが、意味が違います。
合掌は、「仏を拝むときのしぐさで、両方の手のひらを顔や胸の前で合わせること」
手をあわせるは、「両方の手のひらを合わせること」
合掌には、仏を拝むという意味が含まれるので、神社では「手をあわせる」という表現を用います。
祈願する正しいタイミング、正しい願のかけ方、参拝作法の動画をまじえて、わかりやすく解説します。
正しい参拝の作法
どこの神社でも共通しているのは、鳥居をくぐる前に一揖(浅いおじぎ)をし、手水舎で両手を清め口をすすいでから参拝すること、神前に向かうまで参道の真ん中を通らないことです。
ほとんどの神社の、正式な参拝作法は「2礼2拍手1礼」「2拝2拍手1拝」ですが、出雲大社の正式な参拝作法は「2礼4拍手1礼」です。
おさい銭を供える作法に正式な順序は、ありませんが、さい銭箱におさい銭をいれた後、鈴をならし、2拝2拍手1礼をするのが良いとされています。
多くの神社の拝殿には「参拝作法」が掲示されているので、確認してから参拝するのが賢明です。
【伊勢神宮】手水と参拝の作法
2拝2拍手1拝の前後に1揖を加えると、いっそう丁寧な作法になります。(東京都神社庁の公式サイト 参考)
祈願をするタイミング
祈願をする(願をかける)タイミングは、2回目の柏手をした後です。
2回目の柏手をしたのち、両手の手のひらをはなさず、胸の高さで手をあわせ、そのままの姿勢で祈願します。
大切なお願い事がある時は、手をあわせたまま(東京都神社庁 YouTube[神社参拝の作法]より抜粋)
動画:東京都神社庁 [神社参拝の作法]で、願をかける正しいタイミングを解説しています。
東京都神社庁 [神社参拝の作法]
祈願するときは、神様への感謝の気持ちをそえて、真心をこめて拝みます。
正しい願のかけかた
願をかけるときは、願い事を声に出して言っても、心のなかで唱えても、さしつかえありません。
最初に、住所と名前をお伝えするのが良いといわれています。
その後、願い事をお伝えしますが、一方的で高飛車な態度、言葉で祈願してはいけません。
神様への感謝の気持ちをそえて、「努力しますので、どうぞお力添えください」と願をかけます。
お参りとは、神様に日頃の感謝をささげ、これからもお守りいただけますようにと、願って祈ることです。
神さまへの感謝の気持ちを忘れないこと、真心をこめることが大切です。
おさい銭の多さで御利益は変わらない
1円のおさい銭も、100億円のおさい銭でも御利益に差はありません。日本の神さまは、お金で動いたりしません。
もともと、神さまへのお供えは、お金ではなく、その地で収穫されたお米などの農産物やその地で獲れた海産物でした。
神さまへのお供えが、お金になり、おさい銭箱に入れられるようになったのは、室町時代といわれています。
ご縁がありますようにと「5円」を入れると良いとか、縁起をかつぐ人がいますが、「円」という通貨ができたのは明治4年、それより前は「円」と「縁」の語呂合わせはありませんでした。
どこの神社も、一般参拝のとき、おさい銭は○○円という定めはありません。
おさい銭は、願をかける人が、スッキリできる金額をお供えする。
自分の好きな人、ラッキーナンバー、にちなんだ金額をお供えするのも良いですね。
鈴は清らかな音色をかなでるように
おさい銭をお供えしたら、次に鈴をならします。
鈴をならす回数に決まりはありませんが、2から3回ならすのが良いようです。
鈴は、乱暴にならさず、清らかな音色がなるように、やさしくならします。
鈴の清らかな音色は、参拝する人を、祓い清め、神霊の発動を願うものといわれています。
鈴のある神社では、必ず鈴をならします。
おだって、鈴をガンガンならす・・・願いは届きません。
柏手は、はずかしがらず、大きな音を出す
おさい銭をお供えし、鈴をならしたら、参拝の作法にしたがって参拝します。
深いお辞儀をすることを「拝」、手を打ち鳴らすことを「拍手」といいます。拝も拍手も古来から行われる敬礼作法です。(伊勢神宮 参拝の作法 参考)
拝をするときは、しっかりと背筋をのばした状態から、90度、腰をおります。神前で、礼をする時も、拝と同じです。
拍手をするときは、胸の高さで両手の手の平を合わせ、右手を左手よりすこし下げて、パンパンと大きな音をたてます。
神前での「拝」、神前で打つ「拍手」は、神さまを敬う気持ちのあらわれです。
神さまの恩恵をうけていること、神さまに守っていただいていることに感謝して、お辞儀(拝.礼)をし、拍手を打ち、最後にもう一度お辞儀(拝・礼)をします。
てれて、首をちょこっと下げる、音もださずに拍手をする・・・願いは届きません。
お守り・おみくじで、やってはいけないこと
参拝が終わってから、お守りを受けて、おみくじを引きます。お守りとおみくじは、どちらを先に行ってもいいです。
お守りは、受けてから一年で、古いお守りを神社にお返しし、新しいお守りを受けるのがならわしですが、お返ししなくても、粗末にすることなく、大切にすることで、さしつかえないようです。
お守りは、いくつ持っていても、神さまどうしがケンカするようなことはありません。
お守りで、絶対にしてはいけないのは、お守りを開けて中をのぞくことです。
おみくじを引いた時、良いおみくじは持って帰り、悪いおみくじは境内のどこかに結ぶと良いといわれていますが、そのような”しきたり”には、なんの根拠もありません。
おみくじの内容が良くても悪くても、神さまからのアドバイスとして受け止めましょう。
良くても悪くても、おみくじを持って帰るのもよし、神社の決められた場所にしばるのもよし。
やってはいけないのは、境内の木の枝にしばること。境内の木はすべて神聖な木です、神聖な木を傷つけて、願いがかなうはずがありません。
必ず、決められた場所にしばりましょう。
絵馬も、木にしばってはいけません。
鳥居を出る時は一揖
参拝後は、ゆっくり時間をとって、境内をめぐるのがいいといわれています。
最後に、鳥居をでるとき、振り返って、一度、浅いおじぎ(一揖)をします。
まとめ
神社では、合掌でなく、「手をあわせて」、参拝します。
多くの神社の参拝の作法は「2礼2拍手1礼」「2拝2拍手1拝」ですが、出雲大社は「2礼4拍手1礼」、神社によって違うので、神社に掲示されている参拝の作法にしたがって参拝します。
願をかけるタイミングは、拍手したあと。胸の高さで手をあわせたままの姿勢で願をかけます。
願をかけるときは、神さまへの感謝の気持ちをそえて、真心をこめることが大切です。
お守りを受けたり、おみくじを引くのは、参拝が終わってから。
-略-これが一般参拝の作法ですが、特に感謝、報告、祈願、誓等を申し上げる時は、形にとらわれず真心をこめてなさればよろしいのです。-略-(宮崎県 青島神社ホームページより一部抜粋)