北海道の名物やきとり~室蘭・函館・根室は豚肉、美唄は鶏の内臓

話題

室蘭市の郷土料理「室蘭やきとり」は、焼き鳥なのに豚精肉の串焼きです。

室蘭やきとりのルーツは、『室蘭の屋台で客に提供されていた、豚の内臓肉や野鳥を串焼きにしたもの』と言われています。

後に、手に入りやすい豚精肉を使うようになり、豚精肉を使った「やきとり」は室蘭から道南地方に広がります。平成元年に、豚精肉を使用した「やきとり弁当」が函館から根室に伝わります。

美唄市の郷土料理「美唄やきとり」は、鶏肉と鶏の内臓肉の串焼きです。

美唄やきとりのルーツは、『1軒のやきとり屋台が提供していた、鶏肉と鶏の内臓肉を一緒に串に刺し焼いたもの』と言われています。

当時の美唄市は炭鉱で働く労働者で賑わい、安価で栄養豊富な内臓肉を使った焼き鳥は、炭鉱労働者の人気を得て美唄に定着しました。

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室蘭やきとりとは

室蘭やきとりは、「豚肉」と「玉ねぎ」を交互に刺し炭火で焼き、「タレ」につけたものに「洋がらし」を添えるのが伝統的なスタイルです。

室蘭で「やきとり」と注文すると、豚肉と玉ねぎを交互に串に刺し、タレにつけたものに洋がらしを添えたものが出てきます。近年は塩味・味噌味の「やきとり」を提供している室蘭の焼鳥店もあります。

使用している豚肉の部位は、店舗によって様々ですが、「肩ロース肉」や「豚バラ肉」が一般的です。

室蘭やきとりは、室蘭で営業している焼き鳥店や居酒屋で食べることができます。「室蘭やきとり」の老舗「やきとり吉田屋」は、室蘭市内のほかJR北海道大麻駅横でも営業しています。

札幌などでも「室蘭やきとり」を提供している焼き鳥店や居酒屋があります。北海道で「室蘭やきとり」と注文すると、伝統的なスタイルの「室蘭やきとり」がでてくるのが一般的です。

函館など道南の地域に広がった「室蘭やきとり」の影響で、函館など道南のほとんどの地域で「やきとり」は、鶏肉ではなく豚肉を使用しています。

函館など道南の地域の「やきとり」は室蘭やきとりと異なり、「豚肉」と「長ネギ」を交互に串に刺したものが一般的で、味は「タレ」と「塩」の2種類が一般的です。

函館の人気グルメ「ハセガワストアのやきとり弁当」で、ご飯にのっている「やきとり」も豚肉と長ネギを交互に串に刺したもので、味は「タレ」・「塩」・「塩ダレ」・「うま辛」・「みそだれ」の5種類あります。

室蘭から遠く離れた、道東の根室にも「やきとり弁当」があります。根室限定のコンビニエンスストア「タイエー」で売られており、こちらに使用されている「やきとり」も「豚肉」と「長ネギ」を交互に串に刺して焼いたものです。

函館の「ハセガワストア」で修行をつんだ、田家氏が「ハセガワストア」と業務提携を結び、平成元年に根室でコンビニエンスストア「タイエー」をオープンします。根室で食べられる「やきとり弁当」は函館の「ハセガワストアのやきとり弁当」と同じものです。

室蘭やきとりの歴史

室蘭やきとりのルーツは、豚の内臓肉や野鳥の串焼きです。

昭和12年から昭和20年、戦争の期間に食料増産や軍靴を豚の皮で作る目的のため、政府は養豚を大いに奨励します。室蘭でも多くの農家が豚を飼います。

室蘭では豚の部分肉と皮以外は食べて良いことになり、豚の内臓肉(もつ)が屋台などで提供されるようになりました。

当時の輪西(現在の室蘭市仲町の辺り)の屋台では、豚の内臓肉や野鳥を串焼きにして客に提供していました。豚の内臓肉や野鳥の串焼きは、室蘭に「やきとり」として浸透します。

戦後、大量生産に向くブロイラー(肉鶏の一種)が導入され広く普及するまでの間、室蘭では豚の内臓肉(もつ)や豚の部分肉を食べるのが一般的でした。

その後、手に入りにくくなった「野鳥」や「豚の内臓肉」に変わり「豚の精肉」が串焼きの主流になりますが、「やきとり」の呼び名は残ります。

当時の室蘭は製鉄所の労働者で賑わい、安価で美味しい「豚の串焼き」は「やきとり」として、労働者の人気を得て室蘭に定着しました。

現在の室蘭やきとりは、豚肉と玉ねぎを交互に刺して焼き、タレをつけたものに洋がらしを添えたものです。

玉ねぎは北海道が産地であるため、安く手に入りやすく、豚肉との相性がよいので定着したようです。洋がらしは、おでんやトンカツに添えるのと同じ感覚で、添えたところ「豚肉のやきとり」と相性が良かったので定着したと言われています。

室蘭市のホームページによると「室蘭のやきとり屋の数は54店、人口1万人当たりのやきとり屋数は6.4店で北海道で一番多い」室蘭はやきとりのまち。

美唄やきとりとは

美唄やきとりは、鶏肉と鶏のさまざまな内臓肉(もつ)と玉ねぎを一つの串に刺し、塩・胡椒で味付けして焼きます。

美唄やきとりの元祖といわれる、「三船」の美唄やきとりには、「もつ」と「鳥精肉」の2種類があります。

美唄やきとりのもつ串は、頭に「もも肉」、真ん中に「内臓肉(きんかん、肝臓、ハツ、砂肝、玉道など)」、根元に「皮」を使用し、部位と部位の間に「玉ねぎ」を使用し、塩・胡椒で味付けして焼くのが伝統的なスタイルです。

美唄やきとりの精肉串は、鶏の胸肉を使用し、胸肉と玉ねぎを交互に串に刺し、塩・胡椒で味付けして焼くのが一般的です。

面白いのは、提供される「もつ串」が、いつも同じではないということ。もつ串に使われている、「もつの部位」は串によって変わります、10本注文すると3種類の「もつの部位」を食べられます。

美唄市内で営業している「たつみ」「福よし」は地元の人達で賑わう人気の「美唄やきとり」店です。札幌市内(南平岸、北24条、東札幌、大通)で営業している「元祖美唄焼鳥 三船」は札幌で人気の「美唄やきとり」店です。

美唄やきとりの歴史

明治初期、北海道開拓者に国がつがいの鶏を支給します。以後、鶏は貴重な食料として大切に扱われます。開拓期の北海道では、鶏は特別なときに食べるご馳走で、鶏はあますことなく食べられていました。

戦後まもないころ、故・三船福太郎さんが、満州で作られていた鳥の串焼き料理を元に、内臓肉も串に刺して焼くモツ串の焼き鳥屋台「三船」を美唄ではじめます。

三船氏は、鶏一羽を無駄なく食べ尽くすため、鶏の内臓肉(もつ)をゆで、串に刺して焼く技術を開発し、安価な「やきとり」として提供します。

当時の美唄は、多くの炭鉱労働者で賑わっていました。安価で栄養豊富な「三船のやきとり」は、炭鉱労働者の人気を得て美唄に定着し、その「やきとり」は美唄の郷土料理として現在も愛されています。

まとめ

北海道には地域特有の「やきとり」があります。

室蘭のやきとりは、焼鳥なのに豚精肉と玉ねぎを交互に串に刺して焼いています。

函館・根室のやきとり弁当は、焼鳥弁当なのに豚精肉と長ネギを交互に串に刺した「やきとり」がご飯にのっています。

美唄のやきとり「もつ串」は、頭に「鶏のもも肉」次に「玉ねぎ」次に「もつ」次に「玉ねぎ」次に「皮」の順で串に刺して焼いています。

室蘭やきとりは製鉄所の労働者に支持され室蘭市に定着し、現在は室蘭の郷土料理として愛されています。

美唄やきとりは炭鉱の労働者に支持され美唄市に定着し、現在は美唄の郷土料理として愛されています。

安価な「やきとり」は、地域を問わず、いつの時代も庶民に愛される人気の料理です。

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