「ぼんぼり」とは~ひな祭りなど人気のぼんぼりイベント

ぼんぼり 話題

「ぼんぼり」は、いろいろな「もの」の呼び名です。

「灯具の一種」「扇の一種」「料理の一種」「毛糸や綿などで作った丸いふさ」いずれも「ぼんぼり」と言います。

ひな人形の男雛(おびな)と女雛(めびな)のとなりに置かれる「灯具」も「ぼんぼり」です。ニットの帽子のてっぺんに付いている「丸いふさ・ポンポン」を北海道では「ぼんぼり」と呼びます。

「ぼんぼり」は、お祭りや宗教的な行事において重要な灯具として扱われます。福岡縣護国神社の「みたままつり」で「ぼんぼり」は、神事に用いられる「神具」として飾られます。

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ぼんぼりとは

ぼんぼり

[副詞]

「ぼんやりと見えるさま。はっきりとしないさま。」を表す。

[名詞]

1・紙や絹のおおいがある手燭(しゅしょく)。柄のついた行灯(あんどん)。

手燭は持ち歩きに便利な柄をつけた「ろうそく」をともす灯具。行灯は木の枠を紙でおおい、中に油皿をおいて点灯する灯具。

2・毛糸や羽毛、綿などで作った丸いふさ、ポンポン。耳の垢(あか)を掃除する道具。

3・雪洞(せっとう)。茶道で、木または竹の枠に白い和紙をはり、一部に窓をあけ、風炉(ふろ)の上を覆うもの。

4・中啓(ちゅうけい)の一種。親骨の中ほどから外側へ反らし、たたんでも上半分が半開きになるように作られた扇。

5・干した鱈(たら)や干した鯛(たい)の身をゆでてほぐし、味をつけて揚げたもの。白身のすり身を丸めた椀種(わんだね)。

灯具「ぼんぼり」の語源

「ぼんぼり」は、江戸時代「ぼんやりと見えるさまを表す」言葉でした。

のちに、木などで枠を作り紙や絹などで枠をおおい、中で油やろうそくを用いて点灯する灯具が作られます。このような灯具は「ぼんやりと周りが見える」のが特徴で、その特徴から「ぼんぼり」と呼ばれるようになります。

「ぼんぼり」は、お祭りや宗教的な行事において、重要な灯具として扱われます。

お盆の時に仏壇に飾られる「ぼんぼり」は、帰ってくる先祖が迷わないための目印として用いられ、福岡縣護国神社の「みたままつり」では「英霊」や「先祖」に感謝の気持ちを伝える「神具」として「ぼんぼり」は用いられます。

丸いふさ「ぼんぼり」の語源

服飾用語では「ポンポン」と呼ばれる丸いふさ(たま飾り)は、「ボンボン」「ぼんぼり」とも呼ばれます。

18世紀にフランスのポンパドゥール侯婦人が愛用していたことから、丸いふさを”pompon(ポンポン)”と呼ぶようになり、日本で音変化され「ボンボン」「ぼんぼり」と呼ばれるようになります。

ぼんぼりの漢字「雪洞」の由縁

「ぼんぼり」の宛字(漢字)は「雪洞(ぼんぼり)」です。茶道具の「風炉(ふろ)」をおおうものを「雪洞(せっとう)」といい、その形状・構造が、灯具の「ぼんぼり」に似ていることから「雪洞(ぼんぼり)」となりました。

「風炉」は、茶道具でお湯を沸かす釜です。「雪洞(せっとう)」は「風炉」におおいかぶせる道具で、木または竹の枠に紙をはっておおったものです。

ひな祭り

「ぼんぼり」と聞いて、最初に頭に浮かぶのは童謡「うれしいひなまつり」の歌詞「あかりをつけましょ ぼんぼりに」。

ひな祭りは、ひな人形をかざり、女の子の成長を祝う行事です。

ひな人形・ひな祭りの起源

ひな祭りは、桃の節句ともいわれますが、もともとは上巳(じょうし)の節句といいます。上巳は、邪気に見舞われやすい忌日(いみび)とされていました。

日本では古くから、旧暦3月3日の忌日の災いを避けるため、自分の身代わりとして、自身の穢れ(けがれ)を移した「人形」を川に流す風習があり、その人形が「ひな人形」の原形といわれています。

*この風習は、「流し雛(びな)」として、京都の「下鴨神社」や鳥取県鳥取市などで現在も行われています。

のちの武士の家庭では、幼児の枕元に「ひいな」という穢れをはらうお守りの人形をおく風習が生まれます。

上巳の節句に流す「人形」が、「ひいな人形」というお守りになり、「ひいな人形」は女の子の遊び相手になり、「ひいな人形」は「ひな人形」とて飾られるようになり、3月3日に女の子の成長を祝う「ひな祭り」という風習が生まれます。

もともとの「ひいな人形」は、粗末なもので、みて楽しむというより、お守りとして大切に扱われていましたが、次第に、お守りとしての性質は薄れ、みて楽しむ豪華な人形へと変化し、現在の「ひな人形」になります。

ひな人形が今のような様子になり、ひな祭りが庶民のあいだでも行われるようになったのは、江戸後期からといわれています。

ひな祭りの「ぼんぼり」とは

ひな人形は最上段の向かって左に男雛(おびな)、向かって右に女雛(めびな)を飾ります。*京都では男雛を向かって右に、女雛を向かって左に飾ります(京雛)

ぼんぼりは最上段の両端、男雛と女雛のとなりに置かれます。このほかに最上段には屏風(びょうぶ)を飾り、男雛と女雛の間には「三方揃(さんぽうそろい)」と呼ばれる、瓶子(へいし)に口花をさし三方にのせたものが飾られます。

現在の「ひな人形」は、お内裏様とお雛様の結婚式の様子を表したものです。

江戸時代後期の結婚式は亥ノ刻(夜9時から夜11時)に行われていました。当時の結婚式の灯具に、「ぼんぼり」が使われていたことから、ひな人形に「ぼんぼり」が飾られるようになりました。ちなみに「ぼんぼり」を選ぶときには、男雛・女雛の顔より、高いもの(高さのあるもの)を選びます。

現在の「ひな人形」は、災いをさける・穢れをはらうという性質が薄れていますが、ひな人形に敷かれている「赤い緋毛氈(ひもうせん)」には「魔除け」の意味があります。

ひな祭りを「ももの節句」という由縁は、ひな祭りが「桃の花の季節」に行われ、桃には「邪気をはらう力」があるといわれているからです。

「ぼんぼり」はお祭りや宗教的な行事において、重要な灯具として扱われます。

ひな祭りには、「女の子の成長を祝う」という意味と、「災いをさける・穢れをはらう」という意味があります。

全国の人気ぼんぼりイベント

川越氷川神社の神社特製ぼんぼり

神社特製ぼんぼりは、良縁に御利益のある川越氷川神社で毎月8日と第4土曜日に行われる「良縁祈願祭」の授与品として人気の灯具です。

雛の里・八女ぼんぼりまつり

2月中旬から3月中旬まで約1ヶ月間、福岡県八女市で開催される「雛の里・ぼんぼりまつり」は、いたるところに「ひな人形」と「ぼんぼり」が飾られる人気のイベントです。

大阪造幣局 桜の通り抜け

桜がさくころ、大阪造幣局で開催される「桜の通り抜け」は、「ぼんぼり」でライトアップされる美しい夜桜で人気のイベントです。

造幣局広島支局 花のまわり道

桜がさくころ、造幣局広島支局で開催される「花のまわり道」は、「ぼんぼり」や「投光器」でライトアップされる美しい夜桜で人気のイベントです。

静岡県島田市 蓬莱橋ぼんぼり祭り

毎年5月の最終土日に開催される「蓬莱橋(ほうらいばし)ぼんぼり祭り」は、橋が「ぼんぼり」で飾られ、舞踊や太鼓の演奏などで人気のイベントです。

靖国神社 みたままつり

7月中旬に東京都千代田区の靖国神社で開催される、神霊をお慰めする祭儀、靖国神社「みたままつり」は、境内に大小3万を超える提灯や「ぼんぼり」が並ぶことで人気の祭りです。

福岡縣護国神社 みたままつり

お盆の時期に、福岡県の福岡縣護国神社で開催される、護国神社「みたたままつり」は、参道に献灯された「ぼんぼり」がずらっと並ぶことで人気の祭りです。

鎌倉 ぼんぼり祭 

立秋のころに開催される「鎌倉 ぼんぼり祭」は、鎌倉市や鶴岡八幡宮にゆかりのある著名人の書画が「ぼんぼり」になって、鶴岡八幡宮の参道にならぶことで人気の祭りです。

湯涌ぼんぼり祭り

10月の連休に石川県金沢市の湯涌温泉で開催される「湯涌ぼんぼり祭り」は、温泉街に約300基の「ぼんぼり」が並び、アニメ「花咲くいろは」とのタイアップで人気のイベントです。

まとめ

北海道で生まれ育った私は「ぼんぼり」というと、毛糸の手編みの帽子のてっぺんにつけられた、毛糸で作った「丸い玉」が頭にうかびます。

私の通っていた小学校では、ほとんどの子供が毛糸の手編みの帽子をかぶって、毛糸の手編みの手袋をはいていました。

私の帽子に「ぼんぼり」はついてなかったけど、ちょっとお金もちの子のかぶる帽子には「ぼんぼり」がついていて、なんだか羨(うらやま)しかったことを思い出します。

なので、「ぼんぼり」と聞くと、「お金持ち」ってイメージになります。

紙や絹でおおって、わざわざ「ぼんやりとした明かり」を演出する「ぼんぼり」は本当に贅沢な照明器具です。

最近、老眼になって「うす暗い」ところでは、よく見えません。

お金持ちになったら、「ぼんやりとした明かり」で全てを見通せるようになり、満足できるようになるのかも知れません。

やっぱり「お金持ち」になりたいと思う今日このごろです。

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