「2拝2拍手1拝」以外を作法とする神社はどのくらいある?~正しい神社の参拝作法~

参拝作法 地方・風習・方言

参拝するときは、身なりに気を配り、失礼のない服装で出かけますます。

神社に着いたら、敬意をこめて鳥居の前で軽く1礼します。参道の端を歩き、手水舎(ちょうずや)で穢れ(けがれ)を祓い(はらい)ます。

拝殿で前で軽く1礼し、神前に進み、鈴を鳴らし、お賽銭を入れ、2拝(礼)2拍手、手を合わせたまま願をかけ、最後に1拝(礼)をして、拝殿をあとにします。鳥居を出るときに1礼して帰ります。

ほとんどの神社では、2拝2拍手1拝(2はい2はくしゅ1はい)という参拝作法に従いますが、由緒正しい神社などでは、この作法いがいの作法に従い参拝します。

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基本的な神社の参拝作法「2拝(礼)2拍手1拝(礼)」

ほとんどの神社の参拝作法は「2拝(礼)2拍手1拝(礼)」ですが、格式の高い神社などでは、参拝作法が異なる場合があります。

参拝作法は拝殿に掲示されている場合が多いので、確認してから拝礼します。

参拝をするときは、だらしない服装、不潔な服装、けばけばしい服装、帽子やサングラスの着用(鳥居をくぐる前に、はずします)、サンダル履きは、してはいけません。

正装する必要はありませんが、失礼のない服装で出かけます。

① 神社に着いたら、敬意をこめて、鳥居の前で軽く1礼します。【鳥居から先は神域です】

② 参道の端を、しずかに歩きます。【参道の中央は神様の通り道です】

③ 手水舎(ちょうずや)で穢れ(けがれ)を祓(はら)います。【1・右手で柄杓をもち左手を洗う。2・柄杓を左手に持ち替えて右手を洗う。3・柄杓を右手に持ち替えて左手で水を受け口をすすぐ。4・左手を洗い柄杓をたてて柄にそって水を流す】

④ 拝殿の前で軽く1礼し、御神前に進みます。鈴を鳴らしてから、お賽銭をそっと入れます。【鈴を鳴らすのは穢れを祓うため。お賽銭の金額に決まりはありません。】

⑤ 2拝2拍手1拝。姿勢をただし、腰を90度におり2回ふかいお辞儀をします【2拝】、胸の高さで両手を合わせ右手の指先を少し下にずらし、2回拍手を打ちます【2拍手】、手を合わせたまま願をかけます、ずらした指を元にもどし、姿勢を正して、最後にもう1回深いお辞儀をします【1拝】。

⑥ 参道の端をしずかに歩き、鳥居をでるとき軽く1礼します。

御神前では「感謝の心」をささげ、願をかけるときは「お力添え下さい」という謙虚な気持ちをそえます。

おみくじや絵馬の奉納などは、参拝後に行います。

2拝2拍手1拝いがいの拝礼作法

深いお辞儀を「拝(はい)」、手を打ち鳴らすことを「拍手(はくしゅ)」といいます。「拝」も「拍手」も古来から行われる敬礼作法です。

日本最古の神社「大神神社(おおみわじんじゃ)」は、三輪山に大国主神(おおくにぬしのかみ)を祀ったのがはじまりとされ、拝礼作法は「2拝2拍手1拝」です。

全国に分社をもつ総本社(総本宮)などの由緒正しい神社には、「2拝4拍手1拝」を拝礼作法としている神社があります。

伊勢神宮(正式な名称は『神宮』)の八度拝八開手は神宮神官が祭祀のときに行う作法です。一般参拝者は「2拝2拍手1拝」の作法で参拝します。

ちなみに、「女性は柏手を打ってはいけない」とする説は間違いです。拝礼のときは、拝礼作法に従って女性も柏手を打ちます。

3拝(礼)3拍手1拝(礼)

天御中主神(あめのみなかぬしかみ)・高皇産霊神(たかみむすびのかみ)・神皇産霊神(かみむすびのかみ)の3柱を祀る神社での参拝作法といれています。

3柱の神々に参拝するので、3拝(礼)3拍手1拝(礼)します。神前での拝礼いがいは、2拝2拍手1拝とおなじです。

① 御神前に進み、姿勢をただし、腰を90度におり3回深いお辞儀をします【3拝】

② 胸の高さで両手を合わせ右手の指先を少し下にずらし、3回柏手を打ちます【3拍手】

③ 手を合わせたままで願をかけます。

④ ずらした指を元にもどし、姿勢を正して、最後にもう1回深いお辞儀をします【1拝】

古事記で、3柱の神々は高天原に最初に出現した造化の三神とされていたことから、明治以前は、「3拝3拍手1拝」が正式な参拝作法で、広く行われていたという説があります。

どこの神社でも「3拝3拍手1拝」をするべきという説がありますが、日本の神社では【神話に登場する神】のほか【自然現象を神仏化した神】【人を神格化した神】を祀ってるので、おすすめできません。

それぞれの神社の拝殿に掲示されている「参拝作法」に従って拝礼します。

私の調べた限りでは、現在、一般参拝において「3拝3拍手1拝」を拝礼作法としている「神社」はありませんでした。

造化の三神を御祭神としているおもな神社

東京大神宮(東京都)・サムハラ神社(大阪府)・星田妙見宮(大阪府)(いずれの神社も一般参拝の作法を「2拝(礼)2拍手(礼)1拝(礼)」としています)

2拝4拍手1拝

御祭神の本源である総本社(総本宮)など由緒正しい神社での、一般参拝の作法です。

4回柏手を打つのは、「和御魂(にきみたま)」「荒御魂(あらみたま)」「幸魂(さきみたま)」「奇御魂(くしみたま)」それぞれに柏手を打つ敬礼作法といわれています。

「和御魂」は柔和など徳を備えた神霊。「荒御魂」は荒く猛き神霊。「幸魂」は人に幸福を与える神霊。「奇御魂」は不思議な力をもつ神霊。

2拝4拍手1拝します。神前での拝礼いがいは、2拝2拍手1拝と同じです。

① 御神前に進み、姿勢をただし、腰を90度におり2回深いお辞儀をします【2拝】

② 胸の高さで両手を合わせ右手の指先を少し下にずらし、4回柏手を打ちます【4拍手】

③ 手を合わせたままで願をかけます。

④ ずらした指を元にもどし、姿勢を正して、最後にもう1回深いお辞儀をします【1拝】

2拝4拍手1拝を拝礼作法とするおもな神社

出雲大社(島根県)熊野本宮大社(和歌山県)八幡本宮宇佐神宮(大分県)越後一宮彌彦神社(新潟県)

2拝2拍手1拝の神社が多い理由

古代の日本において、参拝作法はそれぞれの地域によって様々でした。そもそも神社としての建物が常設されるようになったのは、6世紀ころからで、それ以前は祭りの時期にだけ神殿がつくられ、祭りが終わると神殿は壊されていました。

701年に大宝律令(たいほうりつりょう)が完成し、全国の有力な神社は、国家の祭祀(さいし)制度に組み込まれますが、参拝作法はそれぞれの神社に任せられていたようです。

奈良時代になると、神と仏を一緒に祀る神仏習合が行われます。お寺では柏手を打ちません、このころから江戸時代までの神社では、柏手を打たない参拝作法もありました。

927年に選進された「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」には、村々の小さな神社は載りませんでした。村々の小さな神社には、さまざまな参拝作法があったと考えられています。

江戸時代になると、伊勢神宮(正式名称は『神宮』)をはじめ、神社参拝の旅が庶民のあいだで流行ります。このころは、人によって様々な作法で参拝されていて、庶民が参る正式な(基本的な)参拝作法はなかったようです。

明治時代には、王政復古・祭政一致を具体化した「神仏分離令」により、神と仏を一緒に祀ることができなくなります。神社の参拝作法は明治8年の式部寮による「神社祭式」に「再排拍手」とのみ記されるにとどまりますが、伊藤博文が「1揖(ゆう)再拝2拍手1揖」を推奨し、この参拝作法がひろまります。

*「1揖再拝2拍手1揖」とは、御神前で一度軽くお辞儀をし次に深くお辞儀をして、2回柏手を打ち、最後に1回軽くお辞儀をする参拝作法

その後昭和17年の「神社祭式行事作法」では柏手が禁止され再拝(つづけて2回深くお辞儀をする)だけの参拝作法となります。昭和23年「神社祭式行事作法」が改訂され、再拝したのち、祝詞奏上をし、再拝2拍手1拝とする参拝作法になります。

「神社祭式」「神社祭式行事作法」は、神主による参拝作法を定めたものです。

一般参拝者の参拝作法には、とりきめはありません。

昭和23年に改訂された「神社祭式行事作法」をもとに、一般参拝者の参拝作法として改められた、「2拝2拍手1拝」の拝礼作法は、全国の多くの神社に広まり現在に至ります。

まとめ

神社に行くのは、何か願をかけるときぐらいで、普段は、神様や神社のことなど頭の片隅にもない、という人がほとんどだと思います。

願い事をするときにだけ参拝するのですから、作法に従って、失礼のないようにしなければ、バチがあたるかも知れません。

日本神話に登場する神のほとんどは、「和御魂(徳の神霊)」「荒御魂(荒ぶる神霊)」両方の性格をもっています。

日本神話に登場する神を御祭神とする神社や、祟(たたり)をおそれ荒ぶる魂を鎮める目的で人(菅原道真・平将門・藤原広嗣・崇徳天皇)を御祭神としている神社もあります。

参拝作法は一般参拝者の作法に従います。

神主が祭事などで行う正式な参拝作法を、神職についていない人、ましてや願いごとをするときだけ神社を訪れる人が、行うのはおこがましいというものです。

神社の「拝殿に掲示されている参拝作法に従って参拝」する、参拝作法が掲示されていない場合は「神主に訪ねる」、掲示がなく神主がいない場合は「2拝2拍手1拝」で参拝する、のが無難です。

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