契約者が死亡した場合のNHKの受信料の解約について。
契約者が死亡した場合は『何もしない』で解約は認められます。
銀行口座の凍結または、クレジットカードの解約をしたのち、死亡した契約者宛にNHKから請求書が届きますが、こちらは「郵便法 第42条」に従って、適切に処理する必要があります。
死亡した契約者が生前に、受信料を滞納していた場合は、延滞金も含めて相続の対象となります。
解約の方法
契約者が死亡した場合は、『何もしない』で解約が認められます。
第552条
定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
法律上の解釈は、定期贈与は、期間の定めの有無に関わらず、贈与者または受贈者の死亡によって効力を失う(大判大6.11.5)となります。
簡単に言うとNHKとの受信契約は、契約者が死亡した時に解約が成立するという事です。
NHKは、受信契約は世帯毎であり、受信契約関係は相続の対象となり、受信機が破棄されたのでなければ、死亡によっても解約を認めないという姿勢のようです。
しかし、法律的に確立された理論とは言えないので、受信契約関係は、契約者死亡によって終了したと考えられます。
電話による解約はもちろん有効ですが「電話がなかなか繋がらない」「解約をなかなか認めてもらえない」「新たな名義での契約をすすめられる」といった煩わしさを考えると、『何もしない』で解約するのが最良の解決策です。
NHKフリーダイヤル:0120-151515
NHKからの請求書の扱いについて
NHKの受信料を銀行口座振替での支払い又はクレジットカードでの支払いをしていた場合は、銀行口座の凍結、クレジットカードの解約をした後に、NHKから受信料の請求書が届きます。
銀行口座の凍結をすると、口座の入出金ができなくなります。クレジットカードを解約すると、クレジットカードからの支払いは停止されます。
NHKに受信料の入金がなくなるので、NHKは請求書を郵送してきます。
死亡した契約者宛に届いた請求書は「郵便法 第42条」に従って処理する必要があります。死亡した契約者宛の請求書を捨てたり、破いたり、開封したりすると場合によっては器物破損で罰せられる事があるので注意が必要です。郵便法に罰則はありません。
第42条 郵便物の誤配達を受けた者は、その郵便物にその旨を表示して郵便差出箱に入れ、又はその旨を会社に通知しなければならない。
《改正》平17法102
2 前項の場合において誤ってその郵便物を開いた者は、これを補修し、かつ、その旨並びに氏名及び住所又は居所を郵便物に表示しなければならない。
《改正》平17法102
死亡した契約者宛に届いた郵便物は、請求書に限らず、誤配達になるので、郵便法42条に従って処理します。
届いた郵便物(請求書)に「宛先の名義人が死亡しているため、この郵便物は受け取れません」という主旨の文章(付箋などに書いて)を郵便物に貼り、郵便差出箱(ポスト)に入れる。
又は、郵便物(請求書)を直接、会社「日本郵便株式会社」(最寄りの郵便局)に持っていき、宛名の名義人が死亡している事を知らせます。
もしも郵便物(請求書)を開封してしまった場合は、補修し最寄りの郵便局に持って行き死亡している事をしらせます。
郵便物が宛先に届かず、返却されると、NHKは返却の理由を確認します。この時点で、NHKは「契約者の死亡を認知」する事になるので、解約を認める事になります。(民法債権 第552条【定期贈与】)
滞納金について
法律的には、受信契約者が死亡する前に既に発生していた受信料支払債務は、延滞金も含めて相続の対象となります。相続人が複数いる場合は、各相続人の法定相続分により分割されて、各相続人に引き継がれます。
ただし、受信料債権は5年で消滅時効にかかりますので、死後5年が経過している場合は、消滅事項を主張できます。
死後5年を経過したNHK受信料は、「支払う必要がない」ということです。
契約者が死亡した後の受信料の滞納金は、支払う必要がありません。
「NHKからの請求書について」で述べた通り、死亡した契約者宛の郵便物を開封すると、郵便法第42条に違反する事になります。
死亡した契約者あてに届く請求書は、見ることは出来ないので、滞納金の請求に対応する事は不可能です。
相続人本人に、NHKから請求書が、届いた時にだけ対応するのが賢明です。
契約者の名義変更について
同居していた契約者が死亡した場合で、住居とテレビなどの受信機をそのまま使う場合、または死亡した契約者の住居に移り住む場合で、テレビなどの受信機を所有する場合は、契約者の名義変更、もしくは新たに契約する必要があります。
「NHKの営業員」と名乗る、詐欺には十分に注意しましょう。
そもそもNHKの職員が、個人宅を訪問し、受信契約を要求することはありません。個人宅を訪問するのは、NHKからの委託業者です。
営業員の身元を確認するのはもちろん、営業員の対応や商品の説明、契約の正当性の説明に、十分に納得ができた時に契約をします。
まとめ
NHK受信料の契約者が死亡した場合は、『何もしない』で解約となります。
そのことは民法債権第552条で保証されています。
契約者が死亡した後に、郵送されるNHK受信料の請求書は、捨てたり、開封してはいけません。郵便法第42条に従って処理します。捨てたり、開封したりすると場合によっては、器物破損などで罰せられます。
死亡した契約者に届く請求書は、見ることができないので、受信料を支払う必要はありません。
契約者が生前にNHKの受信料を滞納していた場合は、延滞金も含めて相続人が支払います。ただし受信債権は5年で消滅時効にかかります。
死亡した契約者宛に届く、滞納金の請求書は、見ることができません(郵便法42条)ので、滞納金の請求に対応する事は不可能です。
NHKの受信料の契約者が死亡した時は『何もしない』のが賢明です。
もちろん電話で解約するのは有効ですが、「電話がなかなかつながらない」「解約をなかなか認めてもらえない」「新たな名義での契約をすすめられる」といった煩わしさを考えると、『何もしない』で解約するのが最良の解決策だと思われます。