近郊を辞書で調べると、「都市に近い郊外・町はずれ・都市に近い地域」とあります。
近郊には、中心部からどれくらいの範囲・地域という、はっきりとしたきまりはありません。
よく目にする「札幌近郊の賃貸物件」・「札幌近郊の観光スポット」などの記事、記事によって範囲はさまざま、近郊の範囲・地域にきまりはありません。
近郊の範囲にきまりはありませんが、居住・通勤に目をつけた不動産情報、観光・行楽に目をつけた旅行情報など目的によって、ある程度の目安はあります。
時間や距離に関する調査・アンケートなどを参考に、目的別の近郊の目安となる範囲をわかりやすく解説します。
不動産情報における近郊は所要時間1時間以内
不動産情報における「近郊」の範囲は、中心部までの所要時間1時間以内が目安です。
不動産情報など、居住・通勤に目をつけた「近郊」は、利用者が納得できる範囲を目安にしています。
利用者が納得できる「近郊」の範囲とは、居住・通勤においてストレスを感じることのない、生活するうえで便利な地域をいいます。
国土交通省の調査「居住地域における意識調査」のなかの「次に住み替える場合の重要項目」において、66.4%の人が「交通利便性のよさ」と回答しています。
交通利便性とは、日常生活において、都合のよい交通機関がある、または、都合良くマイカーを利用できるということ。
日常生活において都合が良いとは、通勤・通学に便利で、買い物などに便利であることです。
通勤時間に関する調査・アンケートの結果は次の通りです。
全国の平均通勤時間・往復は1時間19分・最長は神奈川県1時間45分・最短は大分県57分(総務省統計局/社会基本調査 参照)
都内勤務の20代・30代の平均通勤時間・片道は、47分(athome調査 参照)
これ以上の通勤時間は無理という限界の通勤時間を調査した結果では、65分と回答した人がダントツで43.4%(athome調査 参照)
調査結果から、通勤時間は地域によって差はあるものの、片道の平均は40から50分程度で、65分以上かかるとストレスを感じるということがわかります。
総務省、民間の調査から、居住・通勤に目をつけた不動産情報における「近郊」の範囲は、(都市・勤務地の)中心部までの所要時間1時間以内が目安といえます。
旅行情報における近郊は100㎞以内・2時間以内
旅行情報における近郊は、都市中心部から100㎞以内、2時間以内が目安です。
旅行情報など、観光・行楽に目をつけた「近郊」は、利用者が納得できる範囲を目安にしています。
利用者が納得できる「近郊」の範囲は、日帰りできて、楽しめること、満喫できることです。
NHKの調査「国民生活時間調査」の結果、「行楽・散策」にかける全国の平均時間は、平日2時間4分、土曜日3時間6分、日曜日3時間22分。
じゃらんなどのほとんどの旅行雑誌では、都市近郊の日帰りスポットの紹介で、都市中心部から100㎞程度、1時間から2時間以内で行ける範囲・地域の観光地・行楽地を紹介しています。
〈北海度・札幌近郊のドライブスポット〉半日で行ける定番の観光地10選/じゃらんレンタカーで紹介されている札幌市中心部から一番遠いところは、苫小牧市の”ノーザンホースパーク”。札幌市中心部からの距離はおよそ62㎞/所要時間は約1時間30分。
札幌観光協会では、札幌近郊の範囲を「札幌中心部から車で1~2時間で行ける札幌近郊エリア」としていて、札幌近郊の観光地・行楽地として、”ニッカウヰスキー余市蒸留所”札幌中心部からの距離およそ57㎞/所要時間約1時間30分、”大湯沼川天然足湯(登別温泉)”札幌中心部からおよそ120㎞/所要時間約2時間30分も紹介しています。
*所要時間は、高速道路未使用で、行くまでにかかるおおよその時間です。
観光・行楽に目をつけた旅行情報における「近郊」の範囲は、日帰りできて楽しめる・満喫できる範囲で、都市の中心部からおよそ100㎞以内、行くまでにかかる時間2時間以内が目安といえます。
まとめ
範囲や区域・地域をあらわす言葉には、中心部から近い順に「周囲」「周辺」「近郊」があります。
どの言葉にも、中心部からなん㎞、どれくらいという、はっきりとした決まりはありません。
あなたが、「ここまでが近郊」といってしまえば、そこまでが近郊の範囲です。
不動産情報や旅行情報などでも、本来は自分勝手に近郊の範囲をきめても良いのでしょうが、利用者が納得できる範囲を目安にして紹介しています。
居住・通勤に目をつけた不動産情報における「近郊」の範囲は、(都市・勤務地の)中心部までの所要時間1時間以内が目安、観光・行楽に目をつけた旅行情報における「近郊」の範囲は、中心部から100㎞、行くまでにかかる時間2時間以内が目安です。