開けゴマは、「千夜一夜物語」のなかの物語「アリババと40人の盗賊」にでてくる呪文です。
千夜一夜物語(英訳:アラビアンナイト)は、残酷非道な王様に語られる、奇妙な寝物語を集めたものです。シンドバッドの冒険・アラジンと魔法のランプ・アリババと40人の盗賊などは子供にも人気の有名な物語です。
開けゴマは、盗賊が盗んできた財宝をかくしている、洞窟のとびらを開く呪文で、とびらを閉じるときは「閉じろゴマ」という呪文を用います。
呪文に、なぜ食べる「ごま」を用いるのか?諸説あり、どの説が正しいのか?定かではありません。
なぜ「ごま」なのか?千夜一夜物語はどのような物語なのか?アリババと40人の盗賊はどのような物語なのか?
ちなみに、アリババと40人の盗賊は、千夜一夜物語の原文には載っていないという説があります。
なぜ食べる「ごま」なのか?諸説
アリババと40人の盗賊で、盗賊が盗んできた財宝をかくしている洞窟の扉を開けるのに用いる呪文が「開けゴマ」です。
なぜ呪文に食べる「ごま」を用いるのか?諸説ありますが、どの説が正しいのか?定かではありません。
ごまは実が熟すると莢がひらくから
ごまは、種まきから約100日で収穫できるます。花が咲き、花が落ちると実がなり、実が熟すると莢が開きます。
ごまは熟すると莢が開く→財宝がいっぱいになると扉が開く→たくさんの財宝をもってくると扉が開く
ごまの実を財宝に、扉をごまの莢にみなして、呪文に「ごま」が使われたとする説です。
ごまは貴重なものだから
ごまの原産地は、アフリカのサバンナ地帯といわれています。
古代エジプトでは、ごま油は燃料・香料・薬・ミイラの防腐剤として用いられ(クレオパトラはごま油をボディオイルとして使用していました)、古代ギリシャ・古代インドでも食用、薬用としても用いられるとても貴重なものでした。
貴重なもの=ごま=財宝、開けゴマ=でてこい財宝
ごまを財宝にみなして、呪文に「ごま」が使われたとする説です。
ごまには魔力があるから
千夜一夜物語では、多くの魔術が使われています(アラジンと魔法のランプの魔法のランプなど)。
ごまは、砂漠のようなあれた土地でも立派に育つことから、神秘的な力(魔力)があると考えられていました。ごまには魔力があると信じられていたので、ごまやごま油はいろいろな魔術で使われていました。
ごま=神秘的な力=魔力
ごまには魔力がありと信じられていたので、呪文に「ごま」が使われたとする説です。
ごまは「洞窟の扉」そのものだから
ごまはアラビア語で「シムシム」といいます。
「シム(シェムー)」は、ヘブライ語で、守護する・見張るという意味、「シムシム」は、「シェムー」を重ねているので、これ以上ないくらい守護する(見張る)という意味に解釈できます。
ごま=シムシム=シェムーシェムー=最高の守護(見張り)=洞窟の扉
開けゴマ=ひらけ洞窟の扉
ごまは、最高の守護(見張り)、洞窟の扉そのものを指すという説です。
千夜一夜物語のあらすじ
ササン朝ペルシアの王シャハリヤール(架空の人物)は、弟の妻の不貞、自分の妻の不貞、魔神の妾の不貞によって女性不信になります。
王シャハリヤールは、妻と奴隷の首をはねさせたのち、毎日、処女をつれてこさせ、一夜をともにし翌朝にはその女の首をはねていました。
街から処女がいなくなり、大臣が処女さがしに苦労しているとき、大臣の娘シャハラードは、自から王のもとへ嫁ぎます。
シャハラードは、王との行為が終わると、不思議な物語を語ります。
物語は、クライマックスを迎えるまえの絶妙なタイミングで中断され、「続きはまた明日」という一言で、終わります。
物語の続きがどうしても聞きたい王は、彼女を殺すことはありません。
こうして、毎夜、語られる物語が集約されたのが「千夜一夜物語」です。
アリババと40人の盗賊のあらすじ
あるところに、アリババとカシムという兄弟が住んでいました。
兄のカシムはお金持ちの女性と結婚し不自由のない裕福な生活をし、弟のアリババは貧しい女性と結婚し一所懸命はたらいて貧しい生活をしています。
ある日、森でアリババが働いていると、40人の盗賊が森の奥へと入っていきます。
アリババが、木の上で様子をうかがっていると、盗賊は大きな岩の前で立ち止まり、「開けゴマ」と叫びます。
すると、大きな岩が動き、洞窟がすがたをあらわします。洞窟に持ってきた財宝を入れて、盗賊が出てくると、「閉じろゴマ」と叫びます。すると岩の扉が閉まり、洞窟はすがたを消します。
盗賊を見ていたアリババは、盗賊がさったあと、岩の前で「開けゴマ」と叫び、洞窟から財宝をもって帰ります。
アリババが財宝を持っていることを知った、兄のカシムは、アリババから洞窟の扉の開き方と閉じ方を聞き出し、財宝のある洞窟にむかいます。
カシムは、財宝を盗みに洞窟にいきますが、洞窟から出ることができなくなり、盗賊にみつかり、半殺しにされ洞窟に閉じ込められます。カシムは、アリババに助け出されますが、のちに死にます。
カシムを洞窟から出したことで、盗賊は呪文をしっているものが、まだ他にいることを知り、カシムの妻のところで暮らしていたアリババにたどりつきます。
盗賊たちは、アリババを殺そうとしますが、ことごとく、カシムの妻に仕えるモルジアナという少女に返り討ちにされ、全員が殺されます。
モルジアナは、アリババの息子と結婚します。アリババたちはお金がなくなると、洞窟にある財宝を使って不自由のない生活をします。
もちろん、ほとんどの財宝は、貧しい人々にあたえられました。
まとめ
開けゴマは、財宝の入った洞窟の扉を開ける呪文です。
開けゴマの、ゴマは食べる「ごま」です。
千夜一夜物語は、女性不信になって非道を繰り返す王が、一人の女性によって、女性を殺さなくなる物語。
アリババと40人の盗賊は、一人の少女が、40人の盗賊を、返り討ちにして、全員を殺し、幸せになる物語。
なぜ、呪文に食べる「ごま」が用いられたか、定かではありません。
千夜一夜物語に「荷かつぎ屋と三人の娘の物語」というのがあり、物語のなかで女性器を「莢をむいたごま」と表現しています。
もし、開けゴマのごまが、女性器の隠語として、使われていたとしたら、洞窟の中の財宝は、何を指すのでしょう?子供でしょうか?
子供だとすると、子種をはこんできた、男ども(盗賊)は、少女によって殺されることになり、子供たち(財宝)によって貧しい人々が救われます。
男はお金をかせいで、妻のいいなりになり、子供ができたら用なし、ってことでしょうか?
やっぱり「ごま」には、魔力があるのかも知れませんね。