クレヨンとクレパスの違いは、ズバリここです!

クレヨン 話題

クレヨンはフランスで開発された描画材料で、クレパスは日本で開発された描画材料です。クレパスは株式会社サクラクレパスの登録商標で、クレパスの一般名称は「オイルパステル」です。

クレヨンとオイルパステルは、その描画方法の違いによって、固形ワックス・液体油・体質顔料・その他添加物の比率が異なります。

クレヨンはオイルパステルに比べて、固形ワックスの比率が高いので、硬く線描に適しています。一方でオイルパステルはクレヨンより軟らかく、広い範囲を塗りつぶす画描に適しています。

クレヨンは、手が汚れにくく、折れにくいので、幼児が使用するのに適しています。一方でオイルパステルは、様々な手法の絵画を手がけることができるので、幅広い年齢の人が楽しめます。

スポンサーリンク

クレヨンとは

クレヨンの語源は、「白亜」を意味するフランス語の「Craye」に、「小片」を意味する「-on」を結びつけたもの「Crayons」です。

18世紀頃までCrayons(クレヨン)は、パステル・木炭などを含む棒状画材の総称でした。

クレヨンの起源は、ギリシャ時代に作られたアンコスチック(Encaustic)という絵の具です。この絵の具は、顔料に蜜ろうと樹脂を混ぜたもので、使用するときは熱を加えて溶かし、筆やコテを用いて描画しました。

アンコスチックは、各地に伝播し「ビベール」等の画家に使用されましたが、9世紀頃には下火になります。

現在のクレヨンは、19世紀末にフランスで開発された棒状の描画材料「Crayons」です。Crayons(クレヨン)はアメリカに渡り、アメリカで量産され、アメリカから日本に大正6年(1917年)頃に輸入されました。

日本でクレヨンの国産製品が製造されたのは、大正10年(1921年)以降です。

高価な舶来品だったクレヨンは、国産品の出現で廉価で身近なものとなり、クレヨンは普及します。

その後クレヨンは、大正14年(1925年)に尋常小学校1学年の図画教材に採用されます。低学年の描画材料として、当時の文部省が推奨したこともあり、クレヨンは一気に全国に普及し浸透していきます。

クレヨンは削る手間もなく、着色も発色も色鉛筆に比べて格段に良く、自由画運動の描画材料として最適でした。自由画といえば写生画、写生画といえばクレヨン画という風潮があったほどクレヨンは人気の描画材料でした。

当時のクレヨンの主成分はパラフィンなどのロウ分80%に顔料を混ぜて棒状に成型したもので、硬質クレヨンに分類されます。

現在日本で製造されている殆どのクレヨンは、固形ワックスと顔料の他に、体質顔料と液体油を混ぜて棒状に成型したもので、軟質クレヨンに分類されます。

現在のクレヨンは、折れにくく、手が汚れにくく、濃淡や強弱のない均質な線が描けるので、絵を線で表現することの多い低年齢の幼児に適しています。

クレパスとは

クレパスは、大正14年(1925年)に櫻クレイヨン商會(株式会社サクラクレパスの前身)が開発した、世界初の描画材料です。

クレパスは、クレヨンの定着性の良さ、パステルの混色のしやすさ、これらの長所を生かした描画材料です。

クレヨンは、定着性が良い、手が汚れにくいという長所がある反面、線描が中心になる、ぼかしたり混色したりできないという短所があります。

パステルは、顔料を粉末状にし、粘着剤で棒状に固めた描画材です。顔料そのものの美しい発色が再現できる、自由に混色ができる、ぼかしや重ね塗りという技法が使えるという長所がある反面、定着が悪くしっかりと定着させるために後処理が必要になるという短所があります。

クレパスの開発について、株式会社サクラクレパスのホームページで、次のように記しています。 

パステルのように自由に混色ができてのびのび描け、クレヨンのように後処理の手間がなく、しかも油絵具のようにべっとり塗れて画面が盛り上がるような描画材料の開発が進められました。

さまざまな試行錯誤が繰り返されて完成した「クレパス」は、クレヨンのクレとパステルのパスをとって命名され、その商品名は商標登録されました。

このときのキャッチフレーズが「クレヨンとパステルそれぞれの描画上の長所を兼ね備えた新しい描画材料」でした。

株式会社サクラクレパスホームページ/サクラコラムより一部抜粋

一部でクレパスの一般名称として使用されている「パステルクレヨン」は間違いです。

クレパスの一般名称は「オイルパステル」です。英語表記でも「Oil pastel」です。

クレヨンとクレパス(オイルパステル)の違い

クレヨンはフランスで開発された描画材料で、クレパス(オイルパステル)は日本で開発された描画材料です。クレパスは株式会社サクラクレパスの登録商標で一般名称はオイルパステルです。

クレヨンとオイルパステルは、着色となる顔料・固形ワックス・液体油・体質顔料・その他添加物から構成されます。
クレヨンとオイルパステルは、その描画方法の違いにより上記成分の比率が異なります。

固形ワックスはオイルパステルより、クレヨンに多く含まれ、液体油はクレヨンよりオイルパステルに多く含まれます。

固形ワックスが多く含まれることで、クレヨンは硬く、線描が中心になります。

液体油が多く含まれることで、オイルパステルは、広い範囲を塗りつぶす画描に適しています。

クレヨンは硬く折れにくく、手が汚れにくく、絵を線で表現することの多い低年齢の幼児に適しています。

オイルパステルは、混色や重色も簡単にでき、スクラッチ技法やふきとり技法、もりあげ技法などの技法も使えます。

様々な手法の絵画を手がけることが出来るクレパス(オイルパステル)は、幅広い年齢層で楽しめます。

オイルパステルは、「チョークアート」用の画材としても注目され、カフェやレストラン等のお洒落な看板にも使われています。

いろいろなクレヨン

幼児が使用することの多いクレヨンは、利便性や安全性の高い商品が開発され販売されています。最近では『透明クレヨン』がコクヨから販売され話題になりました。

1: 水に溶けるクレヨン 100円ショップやサクラクレパスなど多数のメーカーが製造・販売しています。
 手や足が汚れても、水洗いで簡単にきれいになります。
 表面が平でツルツルした場所ならば、汚れても水できれいに拭き取れます。

2:『おやさいクレヨン』 青森県のmizuiro株式会社が製造販売しています。
 主成分のワックスに「お米の油」を使用し、顔料には「野菜」と食品の着色に使用されるものと同成分の採用した、安全性に配慮したクレヨンです。
 色の表示を「緑色」「黄色」ではなく、「ピーマン」「とうもろこし」と野菜の名前にしているところがユニークです。

3:『みつばちクレヨン』 ハチミツで有名な山田養蜂場が製造販売しています。
 食品としても利用される蜜ろうをクレヨンに40%配合し、パーム油・ウコンなどの天然由来成分を中心に製造された、安全性に配慮したクレヨンです。

4:『透明くれよん』 コクヨ株式会社が製造販売しています
 化粧品にも使われている透明なオイルゲルを素材に使ったクレヨンです。
 下絵が透けて見えるので、水彩絵の具で塗ったような独特の風合いになります。色鉛筆やマーカーなどの上からでも色が塗れます。

この他にも、『クレヨンロック』や『蜜ろうクレヨン シュトックマー』『ベビーコロール』など安全性に配慮されたクレヨンは数多く販売されています。

まとめ

クレヨンとクレパス(オイルパステル)は似て非なるものです。

クレヨンはフランスで開発され、線描に適し、安全性に配慮された商品が数多くあるので、絵を線で表現することの多い幼児の使用に適しています。

一方でクレパス(オイルパステル)は日本で開発され、画描に適し、スクラッチ技法やふきとり技法、もりあげ技法など様々な手法の絵画を手がけることができるので、幅広い年齢層で楽しめます。

近年、大人のぬり絵が流行していますが、2017年11月に株式会社サクラクレパスが発売を開始した子供向けのぬり絵『ARぬりえつきおえかきセットA』は大人のぬり絵以上に大人が楽しめます。

セット内容は「水で落とせるクレヨン12色」と「とびだす!動き出す!ARぬりえ(B5サイズ30ページ)」です。身近になりつつあるAR(拡張現実)技術と幅広い層に人気のぬりえを融合したおえかきセットです。

色を塗った自分の絵がスマートフォンのアプリ画面に現れ動き出します。

『透明くれよん』や『ARぬりえ』の出現で、クレヨンは幼児だけのものではなく、幅広い層で楽しめる描画材料になりました。

オイルパステルは、様々な手法で手軽に描けるので、カフェやレストランのお洒落な看板に使われています。

クレヨンとオイルパステルは、それぞれの違いを理解して使い分けることで、何歳になっても楽しめる、とても素晴らしい描画材料です。

タイトルとURLをコピーしました