purple(パープル)とviolet(バイオレット)はどちらも【紫(色)】を表す英語ですが、見た目の「色」、言葉としての「イメージ(意味)」には、はっきりとした違いがあります。
見た目は一般的にパープルは赤に近い紫色、バイオレットは青に近い紫色ですが、WEBで使用するHTMLカラーコードではパープルよりバイオレットの方が赤みを帯びています。
purple: 一般的なpurpleの色(JIS色見本)
purple #a757a8
violet: 一般的なvioletの色(jis色見本)
violet #714c99
purple: HTMLカラーコードの色
purple #800080
violet: HTMLカラーコードの色
violet #ee82ee
【高位の】【華麗な】【絢爛たる】 という意味のあるpurpleは、「貴重な物」「勲章」「褒章」などの紫色を指すときに使用されます。
パープルとバイオレットの色の違い
JISの色見本ではpurpleは赤に近い紫でvioletは青に近い紫。
HTMLカラーコードではvioletはpurpleより赤みを帯びています。
JISで見る色の違い
JIS・日本工業規格の慣用色名269色にもViolet(ヴァイオレット)とPurple(パープル)は別々に表示されています。
JIS色見本のviolet
248 Violet(ヴァイオレット)bgcolor:#714c99;
JIS色見本のpurple
253 Purple(パープル)bgcolor:#a757a8;
JISの色見本を見るとパープルはバイオレットに比べて赤みが強い事が分かります。
またJISの色見本で似た色を探すとパープルは「124紫(むらさき)」「128菖蒲色(あやめいろ)」、バイオレットは「119青紫(あおむらさき)」「120菫色(すみれいろ)」です。
JIS・日本工業規格で「紫」といったら「バイオレット」をイメージするより「パープル」をイメージするのがBESTです。
HTMLカラーコードで見る色の違い
HTMLカラーコードにもvioletとpurpleは別々なカラーネームで表示されています。
HTMLカラーコードのviolet
violet(バイオレット) #ee82ee
HTMLカラーコードのpurple
purple(パープル) #800080
HTMLのpurpleとJISのパープルはほとんど同じ(JISの色を濃くした色)ですが、violetはかなり違います。
一目瞭然ですがHTMLではJISの色見本とは逆にvioletの方が赤みを帯びています。
何故HTMLとJISとで「purpleはほとんど同じ」なのに、「violetの色は違う」のか、という事には次の要因が考えられます。
1:HTMLの基本色16色にpurpleが入っているのでJISと大差がない
2:violetは「Web Safeカラー216色」に入っていない
Web Safeカラー216色とは、いかなる環境でも同じ色に見える色のことで、violetがここに属さないという事は環境が違うと色が変わって見える場合があるということです。
現在使えるカラーネーム147色にvioletは属していますが、これが本当のvioletの色かというと信ぴょう性にかけます。
とは言えWeb上でvioletと言えば、HTMLカラーコードの色(purpleより赤みの強い色)を指しますので、カラーネームの使い分けには注意が必要です。
日常生活で使うときは、「purpleは赤みを帯びた紫」で「violetは青みを帯びた紫」のことを言います。
英英辞典で見る色の解釈
「purple」
a dark colour that is a mixture of red and blue (LDOCE/ロングマン英英辞典)
赤と青を混ぜた色
Something that is purple is a reddish-blue color.(COBUILD/クエルボ英英辞典)
赤みを帯びた青色
「violet」
a bluish-purple color(LDOCE)
Something that is violet is a bluish-putple color.(COBUILD)
青みを帯びたPurple パープルより青みがかってる色
ところでVioletにはもう一つの意味があります。
a plant with small dark purple flowers,or sometimes white or yellow ones(LDOCE)
a violet is a small plant that has purple or white flowers in the spring.(COBUILD)
これは植物の「すみれ(菫)」のことです。
日本でも青みを帯びた紫のことを「すみれ色」といいます。
日本だけでなく海外でも、violetはpurpleより青みが強い色という認識が一般的です。
purpleとviolet「言葉」としての違い
purpleには【帝王の】【高位の】【華麗な】【絢爛たる】という意味もあり、violetには植物の【すみれ(菫)】という意味もあります。
purpleという言葉のイメージ(意味)
そもそも西洋で「紫」というとパープルをイメージします。
かつて紫色の染料となっていた「purpura(プルプラ)貝」はとても希少でした。しかも1gの染料を得るのに、2000個の貝が必要だった古代ローマでは、紫色は皇帝だけが身につけることができた高貴な色でした。
ちなみに「purpura」は「purple」の語源と言われてます。
そういう謂われのある高貴な色「purple」を使った言い回しには「おめでたいもの」が多くあります。
be raised to the purple : 帝位に就く
marry into the purpule : 貴人と結婚する=玉の輿に乗る
このようにpurpleは『高貴な』『きらびやかな』イメージのある言葉です。
そしてpurpleは「胎児が出産時に感じる色」「人が初めに見る色」「夜明け前の色」と言われています。
このことからpurpleは時として『神秘的な』イメージがある言葉として使われます。
violetという言葉のイメージ(意味)
violetを使った言葉で真っ先に思い浮かぶのは「ウルトラ・バイオレット/Ultra Violet」、略してUVです。紫外線を意味する言葉です(正確にはUltra Violet Ray)。
ニュートンがプリズムを利用した実験をして、光が7つの色に分かれる事(虹は7色であること)を発見しました。
波長の短い方からviolet(紫)・indigo(藍)・blue(青)・green(緑)・yellow(黄)・orange(橙)・red(赤)です。
それ以前、虹は5色だと考えれていて、その色は波長の短い方から violet(紫)・ blue(青)・ green(緑)・ yellow(黄色)・ red(赤)です。
ニュートンが虹の色を7色という発見をする前から、虹の紫色にはvioletが使われていました。そして目に見える限界の紫色より波長の短い光線が、紫外線(Ultra Violet Ray)です。
植物の「すみれ(菫)」や「光線の色」という『物質的な』イメージのあるvioletですが、カクテル言葉をみると他のイメージが湧いてきます。
カクテルには植物の「においすみれ(スイート・バイオレット)」を原料の一つとするリキュールの、バイオレットリキュールを使った「violet色のカクテル」があります。
そしてその中にはvioletのイメージを象徴するカクテル言葉のついたカクテルがあります。
2:バイオレットフィズ カクテル言葉:私を覚えていて
3:ブルームーン カクテル言葉:出来ない相談・奇跡の予感
カクテル言葉にあるようにvioletは『個性的な』『艶やかな』イメージのある言葉です。
まとめ
purple(パープル)とviolet(バイオレット)はどちらも【紫(色)】を表す英語ですが、見た目の「色」、言葉としての「イメージ(意味)」には、はっきりとした違いがあります。
見た目は一般的にパープルは赤に近い紫色、バイオレットは青に近い紫色ですが、WEBで使用するHTMLカラーコードではパープルよりバイオレットの方が赤みを帯びています。
言葉としてのパープルには【高位の】【華麗な】【絢爛たる】という意味があります。
またパープルは ”胎児が出産時に感じる色”と言われていることから、時として「神秘的なイメージ」を表現する言葉として用いられます。
一方でバイオレットには植物の【すみれ(菫)】という意味もあります。
またバイオレットリキュールを使用したカクテル言葉からは「艶やかなイメージ」が感じられます。
パープルは『豪華絢爛な』『神秘的な』イメージの言葉として使用され、バイオレットは『個性的な』『艷やかな』イメージの言葉として用いられる事が多いようです。