埒が明かないは、「ことが進まず決着がつかない・解決しない・物事にかたがつかない」という意味の慣用句。
埒も無いは、「筋道や理由がたたない・取るにたらない・つまらない」という意味の慣用句。
埒が明くとは、「物事にかたがつく・はかどる・きまりがつく」という意味で、「きまりをつけない人・代金の支払いの悪い人」を、埒明けず屋なんて呼んだりします。
もともとは、埒が明くの方がよく使われていたけど、現代は埒が明かないの方が良く使われています。
埒が明く・埒が明かない・埒も無い、すべての言葉は、同じ語の「埒」に由来します。
埒が明かない・埒も無いの由来と、意味と、正しい使い方を、例文を用いてやさしく説明します。
埒が明かない・埒も無いは「埒」に由来する言葉
埒が明かない・埒も無いは、同じ語「埒」に由来する言葉(慣用句)です。
同じ「埒」に由来する言葉ですが、その由来には2つの有力な説があり、どちらが正しいか?本当のところはわかっていません。
「埒」は馬場の周囲の柵に由来するとする説
埒は馬が逃げ出すのを防ぐために、馬場のまわりに設置した柵のこと。
馬の動ける範囲を決めるものということから、埒は「物事の区切り」・「物事の結末をつけること」・「秩序」という意味をもつようになります。
そこから、「物事に決まりがつく・物事にかたがつく」という意味で”埒が明く”、「ことが進まず決着がつかない、解決しない」と言う意味で”埒が明かない”、「筋道や理由がたたない・つまらない」という意味で”埒も無い”という言葉がうまれたとする説です。
「埒」は「臈次」に由来するとする説
埒は僧尼の出家からの年数できまる位による席順「臈次」が変化した語。
僧尼の年数による席順ということから、埒は「物事の順序」・「物事の区切り」・「秩序」という意味をもつようになります。
そこから、「物事に決まりがつく・物事にかたがつく」という意味で”埒が明く”、「ことが進まず決着がつかない、解決しない」と言う意味で”埒が明かない”、「筋道や理由がたたない・つまらない」という意味で”埒も無い”という言葉がうまれたとする説です。
埒も無いと同じ意味で「臈次も無い」という言葉もあります。
埒が明かないの英語訳と例文
埒が明かないを英語で訳すと、「not get anywhere」、直訳すると、「どこにも行かない」という意味で、転じて「決着がつかない」=「埒が明かない」となります。
ほかに「not go anywhere」「It’s going nowhere」なども「どうにもならない」というニュアンスで使われるので、埒が明かないと訳しても良いようです。
We’re not getting anywhere : 埒が明かないね(解決しないね)
例文
いくら考えても「埒が明かない」:どんなに考えてみても「解決しない/決着がつかない」
話していても「埒が明かない」から、とりあえずやってみよう:話していても「解決しない/決着がつかない」から、とりあえずやってみよう。
○○さんに聞いても「埒が明かない」:○○さんに聞いても「解決しない/決着がつかない」
埒も無いの英語訳と例文
埒も無いを英語で訳すと、「trivial」、直訳すると「取るにたらない」「つまらない」という意味で、「埒も無い」と同じです。
trivialには「たいしたことではない」というニュアンスが含まれる語で、埒も無いに含まれる「道理や理由がない」というニュアンスは含まれていません。
a trivial problem :埒も無い問題(取るにたらない問題)
例文
「埒も無い」迷信にまどわされる :「理由もない・つまらない」迷信にまどわされる
「埒も無い」考えが、頭にうかんだ:「取るにたらない・つまらない」考えが、頭にうかんだ
「埒も無い」妄想にふける :「取るにたらない・つまらない」妄想にふける
まとめ
埒が明かないの意味は「決着しない」「解決しない」、埒も無いの意味は「道理や理由がない」「取るにたらない」「つまらない」。
もともとは、「解決する」「物事にけりがつく」「はかどる」という意味の”埒が明く”の方が多く使われていましたが、現代では”埒が明かない”の方が多く使われています。
埒が明く・埒が明かない・埒も無いは、いずれも同じ「埒」に由来する言葉(慣用句)です。
「埒」の語源には、諸説あり、どれが正しい説なのか?は不明です。
なにをやっても「埒が明かない」ときは、いちど休憩して頭を空っぽにする。
「埒も無い」ことは、どうでもいいこと、無理に答えを出だなくてもいいことです。