「もぐす」は、「漏らす」という意味の北海道の方言です。
標準語のもらすと違い、もぐすは排泄物にかぎって使われます。
70歳以上(1950年以前に生まれた人)の高齢者が、よく使っていますが、若い人はほとんど使わない北海道の方言です。
「もらす」がなまって「もぐす」と発音するようになりました。
もぐすの意味と使い方
北海道弁の「もぐす」は、「漏らす」という意味です。
漏らすは、注意をして努力したけど、しくじる(失敗する・やりそこなう)場合に使われます。
標準語の「漏らす」は、水・空気などの自然物や、情報、感情など幅広い対象につかわれますが、
北海道弁の「もぐす」は、「屁」「小便」「大便」など排泄物にかぎって使われます。
標準語の「漏らす」と違い、
水や光・音などを「漏らす」(こぼす)
秘密を「漏らす」(こっそりと伝える)
笑みを「漏らす」(おもわず感情をおもてにだす)
というような場合に「もぐす」は使いません。
北海道でも、水・空気・光・音などの自然物、秘密などの情報、笑顔などの感情には「漏らす」を使います。
液体を対象とした場合は、対象物によって、「こぼす」を使うことがあります。
雨水とかは「漏らす」を使います。
「雨水が漏れてるね」
コップの水とかには「こぼす」を使います。
「ビールを、こぼすんじゃないよ」
標準語の「撃ちもらす」「書きもらす」「聞きもらす」は、北海道でも「撃ちもらす」「書きもらす」「聞きもらす」、雨漏りは、北海道でも「あまもり」といいます。
用例
「へー、もぐしたな」 → オナラ、したな
「しょんべん、もぐしそうだ」 → 小便、漏らしそうだ
「くそ、もぐしたのか?」 → 大便、漏らしたのか?
※高齢者以外の道民(おもに男性)は、へは「こく」→「へー、こいたな」、小便・大便は「たれる」→「しょんべん、たれそうだ」を使います。
もぐすの語源
標準語の「漏らす」がなまって「もぐす」になったといわれています。
なぜ、屁・小便・大便といった排泄物にかぎって使われるようになったのかは不明です。
一説には、「幼い子供が”おしっこ”をもらしたとき、「もらす」と正しく発音できず「もぐす」と言ったのが、「もぐす」のはじまりなので、「もぐす」は排泄物にかぎって使われるようになった」といわれていますが、真偽のほどは明らかでありません。
まとめ
もぐすは、北海道でもほとんど聞くことがなくなった北海道の方言「北海道弁」です。
高齢者以外は、ほとんど使わない、死語になりそうな北海道弁です。
なぜ、もぐすが、排泄物にかぎって使われるようになったのか?不明ですが、
「おしっこ、もらした」って言うより、「おしっこ、もぐした」って言うほうが、なんとなく”めんこくて”私は好きです。