ラーメンという料理名は、札幌で誕生しました。美味しい北海道のラーメンは、日本全国に広がり、現在では海外に広がりつつあります。
北海道の三大ラーメンとは、味噌味の札幌ラーメン、醤油味の旭川ラーメン、塩味の函館ラーメンです。近年は、三大ラーメンに釧路ラーメンまたは室蘭カレーラーメンを加えて、北海道四大ラーメンと呼ぶこともあります。
1960年頃までは、札幌のラーメンは醤油が主流でした。1954年に味噌ラーメンが開発されますが、札幌に味噌ラーメンが定着したのは1960年以降です。
1933年に札幌の醤油ラーメンは旭川に伝わり醤油ラーメンは旭川に定着し、1940年代には現在の旭川ラーメンの基礎が出来上がります。
1884年には函館に「南京そば」があったという記録があり、日本で最初のラーメンは、函館で食べられたという説があります。
札幌ラーメンとは
北海道三大ラーメンの一つ、札幌ラーメンの特徴は、中華鍋でスープとともに炒めた野菜を麺にかけて仕上げ野菜の旨みを活かしていること、味噌(みそ)味で麺は多加水熟成縮れ麺の太麺または中太麺です。
札幌ラーメンの歴史
1923年 北9条西4丁目に中華料理店「竹家」がオープン。麺料理「ルースー(肉絲)麺」を「ラーメン」と名づける。
その後、ラーメンは札幌に定着しますが、戦争中ラーメンは衰退します。戦後、札幌のラーメンは屋台から始まります。
1946年頃 南2条東1丁目に松田勘七の屋台がオープン。狸小路2丁目に屋台ラーメン「だるま軒」がオープン。
1951年~ 南5条西3丁目のマーケット街にラーメン店が集まる。後に「公楽ラーメン名店街」と名付ける。
1954年 「味の三平」ではじめての「味噌ラーメン」がメニューに載る。
「味噌ラーメン」が誕生する以前は、札幌のラーメンの主流は「醤油味のラーメン」でした。
1964年 大通6丁目で営業していた「熊さん」が、東京と大阪の北海道物産展で「味噌ラーメン」の実演販売を行う。
この実演販売が大好評となります。東京オリンピックが開催されたこの年以降、札幌ラーメンは「味噌ラーメン」として全国に知られるようになります。
1969年 道路拡幅工事のため「公楽ラーメン名店街」が取り壊される。
1971年 南5条西3丁目に「ラーメン横丁」ができる。
1976年 南4条西3丁目に「新ラーメン横丁」ができる。
現在、北海道には約1900店のラーメン店があり、札幌市には600店以上のラーメン店があります。北海道のほとんどのラーメン店には、味噌ラーメン、醤油ラーメン、塩ラーメンがあります。
旭川ラーメンとは
北海道三大ラーメンの一つ、旭川ラーメンの特徴は、トンコツと海産物でつくるスープ、醤油(しょうゆ)味で麺は低加水縮れ麺の中細麺です。
旭川ラーメンの歴史
1933年 札幌の中華料理店「竹家」が旭川に出店。
1935年 8条にある蕎麦屋「はま長」でラーメンがメニューに載る。
「はま長」は現在も営業を続ける老舗の蕎麦屋で、現在の「はま長」のラーメンは、水分の多い細麺でスッキリとした醤油味です。
札幌のラーメンが旭川に伝わり、旭川のラーメンの歴史は幕を開けます。現在の「はま長」のラーメンから、戦前・戦中の札幌のラーメンがスッキリとした醤油味だったことが想像できます。
1947年~ ラーメン店「蜂屋」「青葉」がオープン。
両店は海産物をだしに使ったラーメンを開発し、現在の旭川ラーメンの基礎を築きます。
1996年 旭川市永山11条4丁目119-48に「旭川ラーメン村」ができる。
現在、旭川市には約200店のラーメン店があります。
函館ラーメンとは
北海道三大ラーメンの一つ、函館ラーメンの特徴は、スッキリとした透明で澄んだスープ、塩(しお)味で麺はストレートの中細麺または細麺です。
函館ラーメンの歴史
1859年~ 函館(箱館)港は横浜・長崎とともに国際貿易港として開港。
以後、函館には異国の文化が移入します。
1884年 函館の新聞に「南京御料理 養和軒アヨン」が「南京そば15銭」の広告を掲載しました。
これが函館ラーメンのルーツかどうかは定かではありませんが、日本で最初のラーメンは函館で食べられたという説があります。
1910年 函館に中華会館が開館。以後、「支那そば」は函館に定着します。
1932年 函館にあった純喫茶「ミス潤」のメニューにラーメン(支那そば)15銭とある。このことから、昭和初期に「支那そば」は「ラーメン」として函館市民に認められていたと思われます。
1945年~1955年頃 松風町付近にたくさんのラーメン屋台が軒を連ねる。
当時のラーメンは、「真っ直ぐな細麺で、澄んだ色をしたあっさりしたスープ」だったという記録があります。
現在の函館ラーメンは、中国の麺料理を基本とした昔ながらの函館のラーメンで、塩味で麺はストレートの中細麺または細麺です。
現在、函館市には約150店のラーメン店があります。
釧路ラーメンとは
札幌ラーメン、旭川ラーメン、函館ラーメンに次ぐ、北海道第四のラーメンを目指す釧路ラーメン。
釧路ラーメンの特徴は、鰹(かつお)だしベースのあっさりスープ、醤油味で麺は縮れ麺の極細麺です。
釧路ラーメンの歴史
大正時代、横浜からきた料理人が釧路に「支那そば」を持ち込んだのが原点という説があります。
1950年代 屋台ラーメン組合が発足。
1965年頃~1977年 北洋漁業の全盛期のころは、ラーメン屋台が岸壁を埋め尽くほどになりました。
寒い海から帰ってきた漁師に、出来るだけ早く温かいラーメンを提供するため、麺は縮れ麺の極細になりました。
当時の釧路のラーメンのスープは、鰹(かつお)からとるだし汁のみで、非常にあっさりした味でした。
2000年頃~ 「釧路ラーメン麺遊会」などが、釧路ラーメンを北海道第四のラーメンとする様々なイベントを開催。
現在の釧路ラーメンは、鰹だしベースのスープに様々な工夫をこらし、醤油味で麺は縮れ麺の極細麺です。
現在、釧路市には約130軒のラーメン店があります。
室蘭カレーラーメンとは
札幌ラーメン、旭川ラーメン、函館ラーメンに次ぐ、北海道第四のラーメンを目指す室蘭カレーラーメン。
室蘭カレーラーメンの特徴は、店舗ごとにオリジナリティのあるスープ、カレー味で麺は縮れ麺の中太麺が多いが、店舗により麺も様々。
室蘭ラーメンの歴史
1972年 「味の大王・室蘭本店」にて、カレーラーメンが誕生。
2006年~ 「室蘭カレーラーメンの会」を発足し、全国に向け情報発信を開始する。室蘭カレーラーメンは北海道第四のラーメンを目指す。
現在、室蘭地域には、約50軒のラーメン店があり、カレーラーメンを提供しているのは、そのうちの約6割です。
まとめ
日本のご当地ラーメンは、20種類以上あります。
北海道のご当地ラーメンとして全国に知られているのは、札幌ラーメン、旭川ラーメン、函館ラーメンの「北海道三大ラーメン」です。
近年は、北海道三大ラーメンに次ぐ、北海道第四のラーメンを目指し「釧路ラーメン」と「室蘭カレーラーメン」が名乗りをあげていますが、全国に周知させるには時間がかかりそうです。
北海道には「北海道ラーメン」というラーメンはありませんが、関東地方には「北海道ラーメン」があります。
北海道ラーメンの特徴は、ラードを使ったスープ、濃い目の味で麺は熟成縮れ麺の中太麺です。
寒い北海道をイメージしてつられたラーメンと思われます。
「北海道ラーメン」が関東地方のある地域のご当地ラーメンになったら・・・なんだかややこしいですね。