本物の日高昆布とは?日高昆布の産地と特徴

日高昆布 暮らし

日本で採れる昆布は45種類、宮城県以北の太平洋側と北海道全域に分布しています。

北海道の昆布生産量は日本全体の約95%におよびます。

北海道で採れる昆布は、利尻昆布、細目昆布、真昆布、日高昆布、長昆布、厚葉昆布、羅臼昆布など約13種類、それぞれ採れる地域が異なり、それぞれ異なる特徴があります。

日高昆布の正式和名は『ミツイシコンブ』。ミツイシコンブのうち、日高地方で採れる昆布を【日高昆布】といいます。

日高昆布は、美味しい”出汁(だし)”がとれる他、佃煮、昆布巻き、などの料理にも使える人気の万能昆布です。

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日高昆布の産地

ミツイシコンブの生息域は、北海道では函館市汐首岬(旧戸井町)から噴火湾、えりも岬を経て釧路振興局白糠町まで、東北地方では青森県から岩手県の太平洋側。

日高昆布は、日高地方で採れ、日高地方で生産されるミツイシコンブです。

北海道で日高というと、内陸にある日高町日高を思いがちですが、日高地方には太平洋沿岸の日高町門別地域、新冠町、新ひだか町、浦河町、様似町、えりも町が含まれます。

正式な和名ミツイシコンブの由来になっている”新ひだか町三石”で採れた昆布は『みついしこんぶ』『日高昆布』として販売されています。

日高町沙流郡門別・富浜・厚賀、新冠町字節婦(せっぷ)、新ひだか町東静内・入船・三石・鳧舞(けりまい)は「ひだか漁業協同組合」の支所(事業所)がある、日高昆布の産地です。

えりも町(えりも漁業協同組合)で生産される日高昆布は、日高地方で採れる日高昆布の65%以上におよび、すべてが天然昆布です。

その他の産地では、新ひだか町静内・春立、浦河町荻伏(おぎふし)・東栄・井寒台(いかんたい)・浦河、様似町様似・平宇・旭・冬島、えりも町近笛・本幌・歌別・歌露(うたろ)・東洋・岬・庶野(しょや)が有名です。

浦河町井寒台地区は、日高地方の特上浜とされています。

日高昆布の特徴

日高昆布の特徴は、『他の昆布に比べて甘味が少なく上品な風味の出汁がとれる』こと、『厚みがあるけど肉質が柔らかく、煮物などの料理に最適である』ことです。

日高昆布(ミツイシコンブ)の寿命は約4年、漁業の対象となるのは2~3年目の昆布、長さ2~7m、幅7~15cmに成長します。

漁法は「採りこんぶ漁」と「拾いこんぶ漁」の2種類。

採りこんぶ漁は、7月~10月に行われ、水深2~8mの岩礁地帯で「カギ」「ネジリ」と呼ばれる棹を使って昆布を採ります。

拾いこんぶ漁は、周年行われ、時化(しけ)によって海岸にうち寄せられた昆布を拾います。

日高の採りこんぶ漁は、その日のうちに昆布干場(こんぶかんば)で天日乾燥させます。

昆布は、乾燥しすぎると割れてしまうので、その日の天候、気温、湿度、風などを読み干す時間を決定します。

乾燥が終わった昆布は、シートに包み、こんぶ小屋で保管されます。この保管を庵蒸(あんじょう)といい、これによって昆布独特の黒色が醸(かも)し出されます。

その後、一度露にあて昆布を少し柔らかくし、3尺5寸(105cm)に切りそろえ、出荷まで小屋で保管します。

出荷前にもう一度天日にさらし、昆布1枚1枚の光沢、幅、重さ、傷などを見極め、1等から5等までに仕分け、等級ごとに1駄(20kg)に結束し出荷します。最上等級は1等で、1等は肉厚で葉幅が広く、光沢が良く傷のないものが選ばれます。

日高地方には、特上浜、上浜、中浜、並浜といわれる浜格差があり、浦河町井寒台地区が特上浜とされています。

*乾燥から出荷までの行程は、漁師によって異なります。漁師それぞれが質の良い昆布を出荷するため工夫しています。

昆布の雑学

11月15日は『昆布の日』

七五三の日に子供たちに昆布を食べて丈夫になってもらおうと1982年(昭和57年)に日本昆布協会が11月15日を『昆布の日』に制定しました。

昆布の白い粉はうまみ成分

昆布の表面についている白い粉は、うまみ成分グルタミン酸の1種『マンニット』です。マンニットには身体に悪い成分は含まれていません。

昆布を使うときは洗い流さずに、清潔なタオルなどで軽く拭いて使います。

昆布はミネラル豊富な健康食品

昆布にはカルシウム・カリウム・ナトリウム・鉄・よう素・マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。昆布のミネラルは体内への消化吸収率が高く、その約80%が体内に吸収されるといわれています。

昆布のカロリーはほとんど0で、海藻だけがもつ食物繊維アルギン酸が腸の働きを助けます。

昆布は結婚に欠かせない縁起物

仲人が女性の家に縁談を持ち出すときに出されるのは『昆布茶(こぶちゃ)』。結納には子孫繁栄という意味をこめて昆布を『子生婦(こんぶ)』として贈ります。

続日本紀(しょくにほんぎ・797年撰進)で昆布は『比呂米(ひろめ)』と呼ばれ朝廷への贈り物として登場します。結婚式の披露宴を”おひろめ”というのは、比呂米に由来します。

まとめ

日高昆布は、ミツイシコンブのうち日高地方で採れ、日高地方で生産される昆布です。

光沢・幅・重さ・傷などの基準により、1等から5等に選葉(せんぱ)されます。

美味しい日高昆布は、黒く光沢があり、幅広で厚みのある昆布です。

昆布の表面に付いている白い粉は、うまみ成分です。昆布を使うときは洗い流さず、清潔なタオルなどで軽く拭いて使います。

私事ですが、毎年えりも町に住む知人から、えりも町でとれた『日高昆布』を頂いています。

少々傷があるものらしいのですが、食べてなんの遜色(そんしょく)もなく、大変美味しい昆布です。

近年、えりも町では、昆布漁師が高齢化し、若い漁師が減ってきていると聞きます。乱獲や密猟は論外ですが、美味しい日高昆布が食卓から消える日がこないことを願うばかりです。

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