ハイパーデフレとは、AIやロボットなどの技術進歩によって、需要に対して供給が極端に過大なり、結果として経済が縮小する経済現象です。
AIやロボットなどが進歩すると、生産者(労働者)一人あたりの生産量が向上し「生産者一人当たりの所得が増えます」、一方で、技術的失業者が生まれます。
ハイパーデフレが起こると高所得者と低所得者に区分される可能性があります。
株式会社野村総合研究所が公表したレポート(2015年12月)によると、10年から20年後に日本の労働人口の約49%が就いている職業は、AIやロボットなどで代替することが可能になります。
このレポートによると、芸術・哲学など抽象的な概念を創出するための知識が要求される職業や他者の理解・説得が求められる職業はAIやロボットなどでの代替が難しく、特別な知識・スキルが求められない職業やデータの分析・体系的操作が求められる職業は代替できる可能性が高いようです。
ハイパーデフレが起きたときの所得
現在の日本はデフレの状況にあります。
デフレが持続していくと、モノやサービスが余る、物が売れないので生産者は値段を下げる、値段を下げると消費者の給料が下がる、給料が下がると物が売れなくなる、物が売れなくなるとモノやサービスが余る・・・を繰り返し経済が縮小します(デフレスパイラル)。
経済が縮小すると、所得が不足している・所得が不足していると感じている消費者(国民)は、モノやサービスを手に入れることができなくなります。
消費者(私)が顧客としてモノやサービスを買うと、別の生産者に所得が生まれます。所得を得た生産者は顧客となり、さらに別の生産者のモノやサービスを買います。こうして所得創出のプロセスが無限に回転する現象を「実体経済」といいます。
所得創出のプロセスにおいて、生産、需要(消費や投資といった支出)、所得の3つは例外なく同じ金額になります。生産が増えると需要も増え所得も増えます。生産が減ると需要も減り所得も減ります。
ハイパーデフレが起きても、所得創出のプロセスにおいて、「生産」「需要」「所得」は同じ金額になります。
ハイパーデフレとはAIやロボットなどの技術進歩によって、需要に対して供給が極端に過大なる経済現象です。
技術が進歩すると、一人当たりの生産量が向上します。
「生産」=「所得」となるので、生産者一人当たりの所得は増えます。
一方で、「生産」=「需要」となるので需要(消費や投資といった支出)が増えないか限り、同じ生産量を得るために必要な生産者の人数は減ることになり、失業者が生まれます。
どんなにAIやロボットが進歩しても、どんな職種でも当分の間(ロボットが自分で判断して、自分で仕事を作るようになるまでの間)は、人間が判断してAIやロボットなどに仕事を任せます。
所得が増え「高所得者」となる人とは、特定の職種に限らず、自らのスキルをいかし判断し、AIやロボットなどに仕事を任せ、生産者一人当たりの生産量を増やせる人です。
所得が減り「低所得者」となる人とは、AIやロボットなどで代替えが可能な職種で、高度な知識や技術をもっていない就業者です。
ハイパーデフレは世界中の誰一人経験のしたことのない経済現象です。国民が高所得者と低所得者に区分されるというのも予想にすぎませんが、可能性は十分にあると思います。
所得が増える可能性が高い職業とは?
ハイパーデフレが日本で起きたとき、競争相手が少なく、「豊富な経験」で身につけた「高度な知識」と「高度な技術」を生かせる職業にチャンスが訪れる可能性は十分にあります。
建設業及び建設工事従事者の現状:国土交通省によると、建設業就業者の数は年々減少する傾向にあり、10年後には現在就業している大半が引退します。
ハイパーデフレが日本で起こっても、現場での経験や実務で身につけた知識や高度な技術は、欠かすことができません。
ハイパーデフレが起こる頃には、競争相手も少なく、土木・建築業にチャンスが訪れる可能性は十分にあります。
「危険」「きつい」「汚い」というイメージがつよい職業ですが、AIやロボットなどの技術が進歩すると、その業務内容は様変わりする可能性があります。
同じようにみえて、全く同じ現場はなく、「その場その場での的確な判断が必要」なのが土木・建築業です。
現場での豊富な経験は必要ですが、高度な知識と高度な技術を身につけておくと、将来【自分はモニターを見ながら快適な環境で、ロボットに指示を出し作業を進める】ことができるようになるかもしれません。
日本は自然災害の多い国です。
防災対策・災害後の復旧などは何年たっても日本において必要とされる事業です。土木・建築業は決してなくなることのない職業です。
土木・建設業は、AIやロボットなどによる代替可能性が高い職業になっている「職業」ですが、高度な知識と高度な技術を身につけておくと、ハイパーデフレが日本で起きたとき、一人当たりの生産量が増え「所得が増える」可能性の高い職業です。
決してなくなることのない職業で、競争相手が少なく、豊富な経験が必要な職業、「農業」「漁業」・・・なども所得が増える可能性は十分にあります。
消費者の所得が増えると、モノが売れるようになります。高所得者にむけた「高級野菜」「高級和牛」「高級魚」などがよく売れるようになり、生産者である「農業就業者」「漁業就業者」の所得が増えるかもしれません。
AIやロボットなどによる代替の可能性が低い職業
野村総合研究所のレポートによると、芸術・歴史学・考古学・哲学・神学などの抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業は代替が難しい傾向にあります。
具体的には
アートディレクター・アナウンサー・医師・映画監督・介護職員・教育者・研究者・芸能人・ゲームクリエーター・美容師・漫画家・ライターなど
AIやロボットなどによる代替の可能性が高い職業
野村総合研究所のレポートによると、必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業に加え、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業については、代替できる可能性が高い傾向にあります。
具体的には
事務員・受付係・窓口係・機械木工・建設作業員・工員・警備員・スーパー店員・測量士・データ入力係・配達員・IT保守員・電車運転手・レジ係など
まとめ
ハイパーデフレは世界中の誰一人経験したことのない経済現象です。
あくまで予想ですが、ハイパーデフレが起こると、所得が増える人「勝者」と所得が減る人・失業する人「敗者」に区分される可能性は十分にあります。
「敗者」にならないためには、スキルアップし、高度な知識と高度な技術を身につけることです。
どんな職業でも、当分の間は、人間が判断してAIやロボットなどを利用することになります。
ハイパーデフレが日本で起きたとき、競争相手が少なく、豊富な経験で身につけた高度な知識と高度な技術を生かせる職業にチャンスが訪れる可能性があります。