「あめる」は、北海道や青森県・秋田県・岩手県・三重県などでも使われる方言です。
北海道弁で、あめるは、飲食物がくさる・すえるという意味で使われます。
あめるを使うのは、1970年以前に生まれた人がほとんどで、今ではほとんど聞くことがなくなった北海道の方言です。
もともと、東北の一部で使われていた方言だった「あめる」は、北海道の開拓とともに北海道にねずき、現在に至ったといわれています。
あめるの意味と使い方
北海道弁の「あめる」は、食べ物や飲み物に対してだけ使われます。
木や金属などが「くさる」、気分が「くさる」のような場合は、あめるを使うことはありません。
あめるの意味
①くさる・腐敗(ふはい)する
②いたむ
③饐える(すえる)
標準語の「くさる・いたむ・饐える」だと完全にくっさてる状態ですが、北海道弁のあめるは、「くさってるかも知れない(可能性がある)」というニュアンスもふくんだ言葉です。
見た目で「くさっている」ような場合には「あめる」を使わない地方もありますが、北海道では見た目に「くさっている」場合でも「あめる」を使います。
正しい使い方
実際には「くさっていない」けど、なんとなく「あぶなない」雰囲気のときも、見た目やにおいで判別できるほど「くさっている」飲食物にたいしても、「あめる」を使います。
「わやだ!あめてるべや」:「最悪だ!くさってるぞ」
「なんかヌルヌルしてない?あめてんじゃないの?」:「なんかヌルヌルしてない?くさってる可能性があるんじゃないの?」
「あめるから、保冷剤入れてきな」:「くさらないように、保冷剤を入れていきなさい」
「なまらくせー。あめてるべ」:「すごくくさい。くさってるな」
「そんなことして、あめないの?」:「そんなことして、くさるかも知れないんじゃないの?」
「まじで!あめてる?」:「本当に!くさってる?」
あめるの語源
あめるは、江戸時代後期の文献「お国通辞(盛岡の方言を採録した方言辞典)」にも載っている、古くから使われている方言です。
語源には諸説ありますが、これといった定説はありません。
① あめ=飴。る=助動詞
「あめ」は、食用の飴。
「あめる」は、くさった飲食物が、あめのように糸を引く様子からできた言葉とする説です。
② あ=あ!。める=減る
「あ」は、驚きを表す語。「める」は「減る」で意味は、衰える・弱くなる。
「あめる」は、「あ!衰えている」で、食料が腐りかけている様子または腐っているようすを表現してできた言葉とする説です。
諸説あり
まとめ
あめるは、北海道でも聞くことが少なくなった北海道の方言「北海道弁」です。
若い人は、ほとんど使わない北海道の方言で、死語になりそうな北海道弁です。
飲食物がくさる・いたむ・饐えるという意味で使われますが、くさってるかも知れない・くさってる可能性があるというニュアンスをふくんで使われます。
北海道には、開拓のために来道した地方の方言がたくさんあります。
北海道の方言、ひとつでも多く、後世にのこしていきたいですね。