カテゴリとジャンルの違い~なぜペットはカテゴリで本はジャンルなのか

言葉

カテゴリー【Kategorie】はドイツ語、【category】は英語で、意味は”範疇はんちゅう”。

カテゴリーは、「カテゴリ」と長音符号をつけずに表記することが多いので、ここでは「カテゴリ」を用います。

ジャンル【genre】はフランス語・英語で、意味は”部門・分野・種別”。

範疇の意味は、同じ性質のものが属すべき範囲・部類・部門。

カテゴリとジャンル、どちらも意味は同じですが、カテゴリとジャンルは、それぞれ使い方が違います。

カテゴリとジャンルの違い、使い方の違いを、実例をしめして分かりやすく説明します。

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カテゴリはすべての分野で使われる

カテゴリは、分類が必要なすべての分野で用いられる言葉です。

日常で使われている「カテゴリ」という言葉は、ドイツ語や英語を通して、日本で使われるようになった言葉です。

もともとカテゴリは、哲学で使われていた言葉です。

哲学で、それ以上に分けることのできない「属性・量・状態・関係」などをカテゴリといいます。

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは「実体・量・性質・関係・場所・時・状況・所持・能動・受動」の10項目、ドイツの哲学者カントは「量・質・関係・様相」の4項目を提示しています。

カテゴリとは、「対象を他の対象と区別する特色になっているもの」、「二つ以上の思考の対象を区別する特色となっているもの」です。

カテゴリは、分類が必要なすべての分野で用いられますが、一般に「カテゴリ」と「ジャンル」は区別して使われています。

カテゴリもジャンルも英語を通して日本で使われるようになった言葉です。英語(英会話)では芸術に関する分野で「ジャンル」をつかい、そのほかの分野に「カテゴリ」をつかう慣用があったので、日本でも「ジャンル」と「カテゴリ」を区別して使うようになりました。

ジャンルは芸術に関して使われる

ジャンルは、人によってつくられたもの、特に芸術に関する分野で使われます。

ジャンルは、フランス語や英語を通して使われるようになった言葉です。

英語では、芸術など人によってつくられたものの分野に限ってジャンル【genre】は使われています。絵画・音楽・ゲーム・小説・映画などの分類にはジャンルをつかいます。

例)What genre of movie do you like? どんなジャンルの映画が好きですか?

ジャンルはフランス語や英語を通して日本で使われるようになったので、ジャンルは、人によってつくられたもの、特に芸術に関する分野に使われます。

びみょうなのは、「料理」や「レストラン」の分野、人によってつくられたものだけど、英会話で、カテゴリやジャンルを使う人はほとんどいません。

料理やレストランの分野では、タイプ【type】【style】【kind】がよく使われていて、カテゴリ【category】やジャンル【genre】は、ほとんど使われません。

What type of food do you dislike ? どんな料理が嫌いですか?

What kind of food do you like?  どんな料理が好きですか?

日本でも、料理やレストランの分野に関してはびみょうで、「Rettyグルメ」「食べログ」「ホットペッパーグルメ」などはジャンル、「ミシュランガイド」「東武百貨店」などはカテゴリーを使っています。

日本において、料理に関しては、「カテゴリ」「ジャンル」のどちらを使っても差し支えないようです。

ジャンルは、カテゴリに属する

ジャンルは、人がつくったもの(特に芸術に関するもの)のカテゴリを細分した分野に用います。

一般に、「芸術」はカテゴリ→「絵画」「音楽」「小説」「映画」などはカテゴリ→「美人画」「パンクロック」「ミステリー小説」「コメディ映画」などはジャンルを用います。

例1)

A:「趣味はなに?」 → カテゴリ「趣味」を細分したカテゴリを聞いています。

B:「読書」 → カテゴリを答えています

A:「どんな本が好き?」 → カテゴリ「本」を細分した”ジャンル”を聞いています。

B:「ミステリー小説」 → 好きな本のジャンルを答えています。

例2)

A:「休みの日はなにしてるの?」 → カテゴリ「余暇の過ごし方」を細分したカテゴリを聞いています。

B:「テレビ見てる」 → テレビを見るというカテゴリを答えています。

A:「どんなテレビ番組が好き?」 → カテゴリ「テレビ番組」を細分した”ジャンル”を聞いています。

B:「お笑い」 → 好きなテレビ番組のジャンルを答えています。

芸術に関係しないもの以外にジャンルは用いない

自然にあるもの、人がつくったものだけど芸術に関係ないもの(野菜・果物・肉・車など)には、ジャンルは使いませんが、例外としてゲームにはジャンルを使います。

ペット:カテゴリ → 犬:カテゴリ → 大型犬:タイプ/カテゴリ

車:カテゴリ → 日本車:カテゴリ → ミニバン:タイプ/カテゴリ

野菜:カテゴリ → 緑黄色野菜:カテゴリ → 根菜:カテゴリ

食肉:カテゴリ → 国産肉:カテゴリ → 牛肉:カテゴリ → 道産牛:カテゴリ

ゲーム:カテゴリ → オンラインゲーム:カテゴリ → 育成ゲーム:ジャンル/タイプ

備考)「どういう”ひと”が好き?」って聞く時の「どういう”ひと”」は、ジャンルでもカテゴリでもなく、「タイプ」ですが、しいて言うなら「カテゴリ」。

人間:カテゴリ → 男性:カテゴリ → イケメン:タイプ/カテゴリ

ウェブサイトでは、分野を問わずカテゴリを用いる

ウェブサイトでは、誰もがわかりやすく検索できるように、大分類から小分類にむかってリンクをたどる「カテゴリ検索」の手法がとられています。

カテゴリ検索において重要なのは、「わかりやく、必要な情報を引き出す」ことです。

カテゴリは、分類が必要なすべての分野で用いられる言葉です。

サイトの利用者が、迷わないため、誤解しないために、ウェブサイトではジャンルを用いず、カテゴリを用います。

例1)Amazon :カテゴリ「本・コミック・雑誌&Audible」 → カテゴリ「本」 → カテゴリ「和書のジャンル」 → カテゴリ「ノンフィクション」 → カテゴリ「事件・犯罪」 → カテゴリ「少年犯罪」 → 書籍一覧

Amazonでは、小分類に向かってリンクをたどって、どこまでいってもカテゴリです。途中で「和書のジャンル」というカテゴリがありますが、ジャンルはカテゴリの範囲で用いられているにすぎません。

例2)楽天市場:カテゴリ「ジャンル一覧」 → ジャンル(カテゴリ)「靴」 → ジャンル(カテゴリ)「パンプス」 → 商品

楽天市場のカテゴリにある「ジャンル」もカテゴリの範囲で用いられていていますが、楽天市場のジャンルはAmazonのカテゴリに相当しています。憶測ですが、カテゴリよりジャンルのほうが日本人にとって親しみやすいので、楽天市場はジャンルを用いているのかもしれません。

まとめ

カテゴリとは、「対象を他の対象と区別する特色になっているもの」、「二つ以上の思考の対象を区別する特色となっているもの」です。

ジャンルは、人がつくったもの(特に芸術に関するもの)のカテゴリを細分した分野に用います。

分類が必要なすべての分野でカテゴリを用いても差し支えありません。なので、検索する人が、誤解しないようにウェブサイトでは、カテゴリを用いています。

カテゴリもジャンルも英語を通して日本で使われるようになった言葉で、英語(英会話)では芸術に関する分野で「ジャンル」をつかい、そのほかの分野に「カテゴリ」をつかう慣用があったので、日本でも芸術に関する分野などで「ジャンル」と「カテゴリ」を区別して使うようになります。

どうしても、カテゴリとかジャンルといった「カタカナ語」を使いたくなかったら、部類・部門・分野・範疇はんちゅうなんて「日本語」を使うのが良いかも知れません。