ごっこ汁の「ごっこ」とは?~北海道の冬の定番・郷土料理~

ごっこ 地方・風習・方言

ごっこは北海道の方言です。

スズキ目カジカ亜目ダンゴウオ科ホテイウオ属の魚、学名「Aptocyclus ventricosus(Pallas)」和名「布袋魚(ほていうお)」、この魚を北海道では「ごっこ」と呼びます。

皮と身はゼラチン質で、ぷるぷる。肝は、あん肝にまけないほどの旨味。ごっこの皮・身・肝・白子・卵巣を使った「ごっこ汁」は、函館や小樽の郷土料理。なかには胃や腸も使ったごっこ汁もあります。

函館市では「恵山ごっこまつり」が毎年開催されていて、多くの人で賑わいます。

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北海道で「ごっこ」と呼ばれる理由

布袋魚のことを北海道では「ごっこ」と呼びます。

布袋魚は、七福神の布袋さまに由来し、姿が布袋さまのように太っていて、どことなく似ていることからそう呼ばれるようになりました。

北海道で何故、「布袋魚」を「ごっこ」と呼ぶようになったのか?諸説あり、本当のところは分かりませんが、私が函館出身の知り合いに聞いた説を紹介します。

北海道では、魚卵・動物・魚などの小さい子供を「こっこ」と呼びます。

「スズメつかまえた」

「まだ、こっこ(幼鳥)でないか。逃がしてやれ」こんな使い方をします。

函館は、「あんこう」がよく水揚げされ、その中に、あんこうを小さくしたような魚「布袋魚」が混じっていて、誰かが布袋魚を「あんこうのこっこ」と呼び、のちに「こっこ」となり、「こっこ」が音変化して「ごっこ」になった。

函館には、「行く」を「いぐ」、「此所(ここ)」を「こご」と言うなど、濁点をつけた方言が数多くあります。

あんこうのこっこから「ごっこ」になったという説ですが、ごっこがあんこうに似ているのか?少々疑問が残ります。

ごっこの特徴

普段は水深100メートルほどのところに生息していて、産卵期の12月から翌年4月ころに浅瀬によって来る。

浅瀬によってくる、この時期が「ごっこ」の旬。

北海道では、道南地方や石狩湾が主な産地。

函館など道南地方・小樽など石狩湾沿岸地方などで、よく食べられる。

見た目は頭が丸く体は長丸でグロテスク、大きいもので全長40cm程度、うろこや突起物もなく、表面はヌルヌル・ぶよぶよ、お腹には吸盤がある。

食べる時は、熱湯を魚全体に注ぎ表面のぬめりを取らないと不味い。

ごっこの皮と身はゼラチン質でぷるぷる。地元ではお肌がツルツルになると評判です。

肝はあん肝にもまけないほどの旨味、白子や卵も美味。胃や腸を食べる人もいます。

一般的な食べ方は、醤油味の「ごっこ汁」「ごっこ鍋」。塩味・味噌味もあります。

函館など道南地方では、生干しにしたごっこを焼いて食べるのも定番。

そのほか、唐揚げや生干しにしたごっこをオイルで炒めて食べても美味しい。

まとめ

北海道では、「布袋魚」のことを「ごっこ」と呼びます。

なぜ「ごっこ」と呼ばれるようになったのか?本当のところは分かりません。

見た目はグロテスクですが、食べるとなかなかの珍味。

好き嫌い分かれる魚ですが、「ごっこ汁」は北海道(とくに函館・小樽が有名)の冬の定番・郷土料理です。

札幌近郊で生まれ育った私が初めて「ごっこ」を食べたのは、今から20年ほど前。

子供の頃はもちろん、二十歳を超えても、食べる機会はありませんでした。

おそらく昔は、ごっこが水揚げされる地域だけで食べられていたと思われます。

正直、私は「ごっこ汁」より、生干ししたごっこのオイル炒めの方が好きです。

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