「なまら」「したっけ」「こく」「がっぱり」「とんしゃ」「もや」「ぱくった」「おっつい」「しゃみ」等、昭和50年代、北海道の若者は独特の流行語を話していました。
「こく」は「濃厚な旨み」ではなく、「とんしゃ」は「豚の畜舎」ではなく、「もや」は「気象状態の靄(もや)」ではありません。
全国区の流行語には、ならなかったけど、北海道を愛し北海道の方言を愛する、当時の、北海道の若者の流行語の、意味と使い方を分かりやすく解説します。
なまら
今でも多くの道民が日常的に使う言葉。近年はTV等の影響で全国区で用いられる言葉です。
「なまら」の意味は『凄く(すごく)。とても』
使い方
「なまら、しばれるな」:「とても、冷え込みますね」
「○○中の○○、なまら、めんこい」:「○○中学の○○さんは、とても、かわいい」
「なまら、うまい」:「とても、美味しい」
したっけ
今でも多くの道民が日常的に使う言葉。
「しったけ」の意味は『そうしたら。じゃあ、また(別れの挨拶)』
使い方
「したっけ、泣かれちゃってよ」 : 「そうしたら、泣かれちゃってさ」
「したっけ、またあした」 : 「じゃあ、また明日ね」
こく
「濃厚なうまみ。深い趣」という意味とは別の意味でも「こく」を使います。
「こく」の意味は『~する』
使い方
「うそ、こくな!」 : 「うそを、つくんじゃない!」
「なに、こいてんの!」 : 「なにを、してるのですか!」
「へ、こくなや」 : 「おならを、しないで下さい」
がっぱり
この言葉は標準語ではありません。
「がっぱり」の意味は『たくさん(沢山)』。数量の多さの程度に限って用います。
使い方
「がっぱり、食べれ」 : 「たくさん、食べなさい」
「がっぱり、儲けた」 : 「たくさん、儲けました」
「がっぱ、がっぱ、出た」 : 「とても、たくさん、出ました」
注)「とても、たくさん」は「なまら、がっぱり」とは言いません。
とんしゃ
豚の畜舎ではありません。
「とんしゃ」の意味は『タクシー(Taxi)』

使い方
「とんしゃで、帰るべ」 : 「タクシーで、帰りましょう」
「とんしゃ、つかまえるべ」 : 「タクシーを、拾いましょう」
もや
気象状態の靄(もや)ではありません。
「もや」の意味は『タバコ(煙草)』
使い方
「もや、ひきに行くべ」 : 「タバコを、吸いに行きましょう」
「もやを吸う」とは言わずに、「もやをひく」というのが当時の流行でした。
「なまら、もや、臭せー」 : 「凄く、タバコ、臭いです」
「もや、一本くれ」 : 「タバコ、一本ちょーだい」
ぱくった
共通語の「ぱくられた」より、軽い感じで使われます。
「ぱくった」の意味は『捕まった。露見した』
「ぱくられた」は警察に捕まったことを意味しますが、警察以外でも捕まったり、露見(ばれ)たりしたら「ぱくった」と言います。
使い方
「もやひいてるの、親に、ぱくった」 : 「タバコを吸っているのが、親に、見つかっちゃった」
「やべぇ、ぱくったぞ」 : 「やばい、バレたぞ」
「したっけ、ぱくったの?」 : 「そうしたら、捕まったのですか?」
おっつい
当時の北海道の若者は、この方言をよく使っていました。
「おっつい」の意味は、『強そう。いかつい』
使い方
「○○中の○○、なまら、おっつい」 : 「○○中学の○○くんは、とても、強そうです」
「おっつい、頭してんなぁ」 : 「いかつい(カッコイイ)、ヘアスタイルだね」
「おっつい、姉ちゃんだなぁ」 : 「悪そうな、お姉さんですね」

しゃみ
修行未熟な僧「沙弥(しゃみ)」ではありません。
「しゃみ」の意味は『弱そう。ださい』。「おっつい」の反対語として使われます。
使い方
「○○中の○○なんて、しゃみ、だべ」 : 「○○中学の○○くんは、カッコだけの弱い奴です」
「しゃみ、こくなや!」 : 「ださい事を、しないで下さい!」

まとめ
北海道民は北海道弁を愛しています。そのため、北海道の若者は方言を取り入れた独特の流行語を、いつの時代も話す傾向があります。
「こく」や「もや」等は、標準語とは違う意味で用いられ、道外の人が聞くと違う意味で捉えがちな言葉です。「がっぱり」や「おっつい」等は、道外の人が聞いても、意味を想像することすらできない言葉です。
昭和50年代に北海道で青春していた「おじさん」「おばさん」が、当時の流行語をふんだんに使って会話をしていたら、現在の北海道の若者にどの程度通じるのか、興味を引かれますね。
ちなみに、昭和50年代に全国的に流行した流行語には、「およよ」(昭和50年)、「記憶にございません」(昭和51年)、「カラオケ」「ダメだこりゃ」(昭和52年)、「口裂け女」「窓際族」(昭和53年)、「ダサイ」「ナウい」「にゃんにゃん」(昭和54年)、「ぶりっ子」(昭和55年)、「えぐい」(昭和56年)、「逆噴射」「ねくら」(昭和57年)、「義理チョコ」(昭和58年)、「くれない族」「まる金、まるび」(昭和59年)等があります。
